中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

メダカのがっこうには、以下のような3つの宣言があります。

1.私たちは、田んぼから瑞穂(みずほ)の国日本の自然再生をします。
2.私たちは、お米中心の一汁一菜の食事で日本人の心身を健康にし、食料自給力をつけます。
3.私たちは、命を大切にする農家と手をつなぎ、生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になります。


このコラムでは、「メダカのがっこう」での活動内容や、様々な経緯で「メダカのがっこう」に参加された方々のご紹介や、健康のための大切な情報などをお届けしていきます。

2016.04.20(第19回)
野草を愛する人は自然を理解してほしい。

●野草をテーマにした変な番組
 先週、夕方5時からのテレビ朝日を母と見ていたら、野草摘みをしている女性たちと、その中に毒草がないかどうかチェックする先生が出ていました。ニラと水仙の葉が似ているが、水仙は毒野草だとか、キツネノボタンとセリが似ているが、キツネノボタンは毒野草だとか、食べられる野草と毒野草は好きな環境が同じで一緒に生えているので要注意だと、毒草への注意を促していました。私も今の季節は、毎週春の野草料理教室をしているので、野草をテーマにするとはいい番組だなと思って目を離さずに見ていました。
 すると、話はだんだんおかしくなっていき、二輪草とトリカブトが群生している公園にやってきて植生を調べ、二輪草70%とトリカブトが30%だからと公園管理者に伝えたところ、除草剤を撒いて処理したというナレーションがあり、テレビの前の私は思わず「エッ」と大声を上げてしまいました。
 そこからまずます番組はおかしくなり、多摩川の河川敷に生えているクサノオウという毒草を見つけ、そばで遊んでいる親子連れに、これが毒草だとご存知ですか? と質問、親子連れも「怖いですね〜。子どもに触らせないように注意しないと」という反応。これでいいアドバイスでもしたかのような自己満足の恐ろしい番組は終わりました。

 なんたる無知、認識の無さ、愚かな自然観!クサノオウに限らず、黄色くてかわいい花が咲くキンポウゲ科はほとんどが毒草。食べれば毒でも、目を楽しませてくれるし、摘んで帰って部屋に飾っても何の問題もありません。田んぼの植生調査を13年も続けていると、自然界に生えている草で毒草はたくさんあることがわかります。それに野草といわれている草も、アク抜きを十分しないで食せば腎臓や肝臓を傷め、寿命を縮めます。毒草といわれている草も漢方薬になっているものもたくさんあります。
 それに毒野草という言い方もおかしいです。野草というのは、もともと食べられる植物のこと。大まかに説明すると、植物の中に、毒草と毒のない草があり、毒のない草の中に食べてもまずくない草があり、それを野草と呼んでいるのですが、さらに食べておいしいと感じる草があり、それらが喜ばれる人気の野草なのです。

 トリカブトが混ざって生えているから除草剤を撒いて処分したという信じられない愚かな判断には、怒る元氣もなくなるほどショックです。「二輪草というかわいい花に交じって、トリカブトという紫の美しい花が咲く毒草が生えています」という掲示板でも立てたら、そこを通る人々にとって、どんなに自然の神秘を感じる勉強になったことでしょう。

 野草は除草剤を撒いたところには生えなくなります。除草剤は主にイネ科の作物のために作られたもの、イネ科にやさしくできているので、メヒシバやオヒシバ、エノコログサなど、イネ科の雑草が優先する場所になってしまうのです。ヨモギやヨメナやハコベやナズナなどの優しい草は生えなくなってしまうのです。野草をテーマにする番組で、除草剤を撒くことになるなんて……。そんなことをする人間が野草の番組をつくるなんて……。

●私たちはなぜ野草を食べるのでしょうか?
 私たちはなぜ野草を食べるのでしょうか? それは今みんなが食べている野菜の99%以上が、命がないF1種や遺伝子組み換えの作物だからです。F1(エフワン)と言うのは、一代限りの交配種で、収穫した作物の種を蒔いても、実がつかないのです。これは1960年代から広く栽培されるようになり、まず大豆やトウモロコシや小麦から始まりました。たとえば大豆の種を蒔いても、芽が出て葉も威勢良く出ても、花がついても鞘がぺちゃんこで豆ができてこないのです。遺伝子組み換えなどが問題になる遥か前、40年以上昔から、じわじわと種類が増え、現在はほとんどの野菜がF1種です。F1種は、毎年種と化学肥料と農薬を買うように設計されています。無農薬と自家採種の農業には向かない種です。

 遺伝子組み換えの種は更に最悪です。除草剤にも枯れない遺伝子や、虫や菌を殺す遺伝子を組み込まれた作物を食べた人間も、家畜も、内蔵されている殺しの遺伝子情報のしっぺ返しを受けて、いのちを弱らされています。種も農薬とセットで毎年買うことになるので、食を防衛する農業の推進を阻むものです。
 そして何よりも問題なのは、命をつながない実や作物を私たちが食べているということです。ニンジンが体にいいとか、ゴボウがいいとか言う話しではなく、玄米菜食がいいという食養生の段階でもなく、野菜の実態が命のないものになっているのです。これではいくら野菜を食べても、どんないい料理を作っても元気になれません。
 しかし、野草は自分で命をつないで繁栄しています。野草から私たちは、栄養成分や薬効成分をいただくことを期待するより、その生命力をいただくことに最も意味があるのです。
 野草はすごい力をくれます。まず元気になる。目覚めが良くなる。動くことが好きになる。気持ちが明るくなり、毎日が楽しくなって人が集まってくる。草はすごい根を持っていて硬くて重いコンクリートをめくり上げて生えてくるのですから脱帽です。野草を食べると打たれ強さをいただくのです。

●命ある食べ物が無くなったことに気づかない私たち
 戦後私たちは、どんどん命のない食べ物ばかりになってしまいました。米を食べなくなり、いのちが生まれた海の成分が含まれていた塩が塩化ナトリウムの塩に変わり、水が塩素入りの薄い毒薬液の水道水になり、F1種や遺伝子組み換えなどの命のない食べ物ばかりになり、更に添加物や合成甘味料をいっぱい身体にため込んでしまった結果、今までなかった病気が増え、若者は生殖不能を起こし、女性には無月経や無排卵、不妊につながり、野生生物だったら当たり前である種族保存の大命題は忘れ去られ、民族存亡の危機に立たされています。

●春の野草と食べ方の知恵
 ですから、野に出て野草を摘み、正しく料理して命をいただき、野生の力を取り込みましょう!早春から順にあげると、フキノトウ、つくし、タンポポ、ハコベ、カラスノエンドウ、野カンゾウ、ヨモギ、菜の花(のらぼう菜など)、ノビル、アサツキ、ウシハコベ、ヨメナ、セリ、ミツバなど、春の野草を摘んで来たら、下処理としてあく抜きを怠ると肝臓や腎臓をやられますから、しっかり覚えておください。また、野草は少量食べればいいということも覚えておいてください。食べ過ぎは禁物です。

 アク抜きの基本は、塩茹でして水にさらし、よく水気を絞って醤油洗いといって、醤油3水7の醤油水に10分くらいつけたものを良く絞ってから使います。使った後の醤油水は捨てます。5月以降のヨモギなどアクの強いものは、くぬぎの灰や木灰を使います。
 つくしなど生から炒めるだけでよいもの、タンポポなど4月ごろまで生で食べられるもの、野カンゾウや三つ葉など塩ゆでして水にさらすだけでよいものなど、アクの少ないものもあります。

 反対にアクが強くて心配なものは、三段階のアク抜きをしっかりすることが肝心です。しかし裏ワザとして天ぷらが最も簡単にアクが抜ける食べ方です。その他にアクが強くてもどうしても食べたい秋に穫れるアカザの実などは、塩ゆでして水にさらし、色が出る間は何回も水を変え、最後に醤油を煮立てた中に入れて煮ます。苦労はしても出来上がりはキャビアのようにおいしいです。

 せっかく命あるものを料理するのですから、味付けは、塩、しょう油、味噌を基本に調味料は原料から無農薬・無添加の手造りの物を使い、砂糖は使いません。甘味は、米と米糀で作った甘酒とみりんだけです。お茶は、ヨモギ茶、黒焼き玄米茶、マコモほうじ茶、梅醤番茶、カキドオシなどの葉を乾燥させたものなど、体調により季節により使い分けます。

●野草を採り続けるために
 野草を採ると言っても無断で人の土地に入るわけにはいきません。私たちが良い野草を安心して取りに行けるのも、長年農薬や化学肥料を使わずに田んぼや畑を造り続けていて下さる農家がいるからです。除草剤を撒いた畦(あぜ)には、稲科の雑草が繁茂します。前記したように、メヒシバ、オヒシボ、エノコログサ、などです。柔らかい野草類は生えてきません。
 ですから、メダカのがっこうの農家のように、環境を取り戻してくれている農家が農薬を使わずに継続してその農地を守っていけるように、行動しなければなりません。お米の価格革命=フェアートレードや田の草取りのお手伝いをする援農隊の活動など、出来る限りの努力をするつもりです。草取りに一緒に出掛けてくだされば、野草の摘み方や料理の仕方をお教えできます。ご協力よろしくお願いします。

 野草が食べたい方、田んぼカフェでは、田植え草取りのシーズンである7月までは、毎週野草を摘んでくるので、野草料理を提供する予定です。土日は田んぼに出かけています。その他毎週火曜日は金曜日には教室をやっていて、ランチ営業していません。ですから電話で予約をしてから来てください。おいしいお料理を用意して待っています。

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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