娘からみた“真（芯）”の船井幸雄

このページは、船井幸雄の実の娘で現在、本物研究所社長の佐野浩一の妻の佐野ゆかりさんによるコラムページです。実の娘だからこそ知っている、家庭での船井幸雄の姿を中心に、過去も振り返り、家族間の様々なエピソードも交えながら本音で語っていただきます。
娘の視点から、“真”の船井幸雄を語っていただき、より深い、船井幸雄の“芯”に迫っていきます。

　実家のリビングにはたくさんの写真立てが置かれています。孫の写真がほとんどですが、中には、確か５年ほど前になるかと思いますが、母がいつもお土産などにさしあげるために編んでいるアクリルたわしの「マジッククロス」製作が一万個を超えた時に、兄たち家族と集まって開いたお祝いの会の集合写真などもあります。
　そして、その中に一枚だけ、ちょっと年代を感じさせるような色をした一枚の写真がありますが、これはなぜか父と私が二人で写っているものです。
　２０数年前になりますが、都内のとあるホテルの庭でさくらの花を背景にして、いつもの笑顔の父とあきらかにひきつり笑いをしている私。。。父も私も丸々した顔をして、腕なんて組んでいます。これは、某雑誌の「嫁になんか行くな！」というコーナーに掲載されたときの写真で、父はこういう場面に慣れているので余裕の笑顔ですが、私はというと、幼稚園に就職してまだ一年目で二十歳そこそこ。。。とにかく恥ずかしくてたじろぎっぱなしだった記憶があります。そんな状態が写真にも表れているので、いまだに恥ずかしくて直視できません。これがなぜ実家のリビングに飾ってあるのかわかりませんが、これを見た息子や娘には「このときのママはぷっくぷくだね〜」とか「もうちょっとましな写真はなかったのかねえ〜」と笑われて、思わず机の下に隠れたくなるくらい困っています。

　先日、実家のリビングで母と話していた時に書斎から降りてきた父が、私の顔を見るなりニヤッと笑って、上着のジャージのファスナーを下ろし始めました。何ごとかと思っていると、中に着ていた茶色のシャツを指さして「これ、懐かしいだろう。。。覚えてるか？」と言っています。それは雑誌に載ったときに着ていたシャツでした。
　飾ってある写真は直視できないにしても、なんとなくいつも眼の端に入っていたようで、私もすぐにわかりました。「うわーなつかしいねえ〜って言うか、ものもちがいいねえ〜」と思わず感嘆の声をあげると、父も「そうだろう。。。」と言いながら写真を見ています。
　「このころは、お父さんも私もよく太ってまん丸だねえ〜」と言って、さらに二人で笑ってしまいました。
　２０数年前に着ていたシャツを今もしまってあって着られることもすごいと思いますが、そんなに色落ちすることもなくよれよれになっていることもなく、じゅうぶん近所になら着ていけそうな雰囲気です。たくさんある服の中から、たまたま見つけて思いだして着てくれたのでしょうか。。。数日後に実家で父に会うと、またそのシャツを着ていて「どうや！！ものもちいいだろう。。。」とまた嬉しそうに言っていました。
　洋服に限らず、物を大切にする父。。。たまに母に「ものすごく古いものまで置いてあるのよ。。。さすがにもう使えないから捨てないとね。。。」と小言を言われていることもありますが、我が身を振り返ると、父を見て反省するところは山のようにあるな。。。と今回思いました。
　物にも愛情を持って大切にする心。。。それは時にこうして昔を懐かしく思い出して振り返るいい機会にもなることがわかりました。忙しく時間の過ぎていく毎日の中で、ふと心が安らいだ父との出来事でした。
　母が当時の雑誌を探して見せてくれました。
　「ゆかりの好きな相手ならやってもいいけど、この嫁になんか行くなというタイトルは気にいっている」と父は雑誌の中で言っています。そして「気功術で３メートルくらい人を飛ばせる」とも言っていたようで、「ゆかりさんに近づく男性は、飛ばされないように注意されたし」と記者の方が締めくくっていらっしゃいました。主人にこのページを見せて、飛ばされなかったか聞いてみようと思います。