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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2005年3月23日
本物時代が到来した

 私が主宰している本物研究会では、毎年3月に会員だけでなく会員外にも公開して、一泊二日の本物スタディツアーを行なっています。今年は3月8日、9日に行いましたが、40余人が参加され、楽しい2日間の勉強ツアーを行ないました。参加者の90%まで経営者だったからか、「経営者の生きざま」に参加者が強い反応を示されました。
 多くの人がもっとも共鳴されたのが、シャボン玉石けんの森田光徳社長のお話しだったのです。森田さんが、どんなプロセスで合成洗剤から現在の「無添加石けん」に製品内容を100%切りかえ、どのような苦労をされたかは、月刊「Funai-Media」の2004年
12月号の77ページから79ページに私との対談で紹介しました。ぜひ読んで欲しいのですが、その一部を紹介します。

船井 高度経済成長時代に合成洗剤を売り続けてきた御社が、純石けん一筋に方向転換されたきっかけは何だったのですか。
森田 家業の石けん問屋を受け継いだのが1964年。安くて便利な合成洗剤が当たり前の時代でした。それが71年に、当時の国鉄から「合成洗剤で車体を洗うとサビが出る。無添加の粉石けんを作ってくれないか」といわれたのです。面倒な注文だとは思いましたが、国鉄はうちで扱う商品の半分を買ってくれる大得意先です。何とか苦労して無添加石けんを作って納入しました。
船井 サビとは酸化すること。人間もサビるから病気になるんですね。
森田 ええ。それがわかったのは、国鉄用に開発された石けんを家に持ち帰り、洗濯に使い始めて5、6日目。10年以上悩んでいた湿疹が治まっていたのです。このとき、自分が作っている合成洗剤が湿疹の原因であることに気づきました。さらに、しばらく使ってみて驚いたのは、我が家の排水溝に、何年も見たことがなかった糸ミミズが出てきたことです。こうした小さな生物が河川にいることで、本来の自然生態系は成り立っている。そうしたものを、合成洗剤が断ち切っていることを知り愕然としました。そうはいっても、当時の合成洗剤はわが社のドル箱商品。肌にも環境にもよくないことを知りながら合成洗剤を作り続けることに、私はだんだん罪の意識を感じるようになりました。そこで、思い切って粉石けんのサンプルを1万個ほど作って無料配布してみたのです。私と同じように悩んでいた消費者からの反応は予想以上。一般の方からも、赤ちゃんのオムツかぶれがなくなった、湿疹が治まったなどうれしいお便りが次々寄せられました。でも、デパートやスーパー、薬局などはまったく相手にしてくれません。しばらくして私は体調を崩し、高血圧症で緊急入院。医師から「このまま働いたら、確実に死ぬ」といわれたとき、「後ろめたい思いをしてまで金儲けをして何になる。これからは石けん専業でやっていこう」と
はっきり気持ちが決まりました。しかし、思えばそれが苦労の始まりでした。

船井 経営者としては苦渋の選択ですね。売り上げは維持しなければならないし、従業員の生活も守らなくてはいけない。先が見えない状態で、よく決断されたと思います。
森田 結果は散々(笑)。合成洗剤をやめて1ヵ月後、前月8000万円あった売り上げが、たった78万円にまで落ちてしまったのです。しばらくすると、毎朝、従業員の退職願いが私のところへ届くようになり、一時は100人いた社員が私を含めて5人にまで減ってしまいました。でも、いいものはいつか必ず売れるはずだ。前に進むしかないと思ってがむしゃらに突き進み、その後、1975年の有吉佐和子さんの新聞連載小説『複合汚染』で環境問題が取り上げられたことも手伝って、徐々に無添加石けんのよさが認められるようになりましたが、4〜5年で軌道に乗る計算が結局18年もかかってしまいました。

 3月8日も、「合成洗剤をやめて無添加石けんにすると決めたら、ほとんど全社員が順にやめました。42才だった私が、60才になってやっと期間黒字になったのですが、ともかく本物は売れるのです」と淡々と話してくれました。
 彼の話しを聞き、現在の同社の業績を見ると、いよいよ本物時代が来たといえそうです。
 これからは、「本物ならビジネスになる」といえるでしょう。
 なお、「シャボン玉友の会だより」No.91に載った森田社長の挨拶文が非常にすばらしいので、以下に掲載します。 

 今年、弊社は創業九十五周年を迎えます。ありがたいことです。これも多くのお客様のご支援のお蔭です。私もあと五年がんばって、百周年を迎えて引退しようかと思っています。
 古代ギリシャの哲学者タレスに「人生でいちばん楽しいことは何か」と一人の青年が聞きました。タレスの答は「それは目標をつくって、それに向かって努力することだ」。
 振りかえってみれば私は四十にして初めて人生に戸惑い、合成洗剤から無添加石けんに切り替えました。五十にして倒産目前の艱難辛苦(かんなんしんく)を骨身で味わい、六十にしてやっと仕事が軌道に乗りました。そして七十にして安定した経営ができるようになりました。あとはもう八十にして熄(や)むのみです。
 今年は工場の増築、設備の更新、新製品の発売などで忙しくなりそうです。順調に推移すれば結構なことですが、何事も一寸先は闇です。凪の日に時化の日を忘れないようにしなければなりません。
 命を知らざれば以て君子たること無きなり(論語)
 人間は何のためにこの世に送られてきたのか、自分の使命、いわゆる天命というものを自覚しなければ人から尊敬されるような優れた人間になることはできない、ということです。二十代、三十代頃の私は、この意味がわからずに、ただ仕事の拡張、利益の追求に明け暮れていました。
 人を玩(もてあそ)んで徳を喪い、物を玩んで志を喪う(書経)
 人をいい加減に扱えば徳をだめにし、物を遊び半分に扱えば志をなくします。しかし人間は目や耳の欲望にくらまされるのです。
 使うべき金に使われ、老いにけり(川柳)
 案外こういう人が多いのではないでしょうか。
 お金は目標を達成するための手段がいつの間にか目標とすりかわっている。立派な家に住みたい、リムジンに乗ってみたい、名誉ある地位が欲しい。いわゆる「物に使役される人間」です。
 これに反して心がなごやかで楽しければ、粗衣粗食のあばら家でも十分に身体を楽しませることが出来る人もいます。自分の身を重んじて外物に誘惑されない人を「よく物を使役する者」と言います。
 人間には欲望が果てしなくあります。だから自分で自分をときどきチェックしないと、外物に振りまわされます。私も然り、です。なかなか良寛さんのような人間にはなれません。あと五年もすれば私も「天を楽しみ、命を知る、故に憂えず」(易経)の心境に近づきたいものです。本年もよろしくご指導願います。
                                         =以上=

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