写真
2010年にんげんクラブ全国大会ステージ上にて
(写真撮影:泉浩樹)

「天律時代」の到来に向けて

このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。

また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。

左上 「うず」のイメージ(画:西口貴美)
2011.6.1(第17回)
責任を取るということを考える

 こんにちは。船井勝仁です。
 原発問題を考えるようになって、ずっと気になっていることがあります。これだけの大事故を起こして、いったい誰が責任を取ったのかということです。東電の会長、社長は給料を全額返上しているとか、役員は半分返上しているとか報道されていますが、何もしないよりはましだ程度の対応で本質的な対応にはなっていないと思います。いつも言っていることと矛盾しますが、国民はもう少し怒った方がいいのではないでしょうか?
 『ザ・フナイ』6月号で副島隆彦先生がこの点について鋭い指摘をされています。同誌のP.45から少しだけ引用させていただきます。

(引用開始)

 海江田万里経済産業相は、ぶるぶる震えながら「東電の責任は当然にある」と小さな声でしか言わない。細野豪志首相補佐官で“実質、原発大臣”は、「東電の責任がまずある」とはっきり言った。この二人の若い政治家の判断がまともである。しかし、ほかの原発推進派の、電力会社から金をもらってきた汚れた政治家たちは、たとえ若くても、民主党であっても、自己保身が先に走るので、東電の責任を口にしない。

(引用終了)


 副島先生は、東電だけでなく経済産業省や原子力政策を進めていくことに賛成していた原子力委員会や原子力安全委員会、原子力安全・保安院等の委員である学者たちの責任問題、さらには日本に原子力政策を推進させてきたアメリカの責任や今回の事故を起こした原子力発電機を製造したGEの製造責任についても追及しています。
 この人たちの責任をどこまで追及するべきか、私はまだ自分の意見をまとめていませんが、少なくとも復興のための資金を増税でつくるのではなく、日本が保有している海外債権を売却してつくることを表明する政治家が一人もあらわれないのは不思議で仕方がありません。いま、この状況で増税を議論するなど経済学的には狂気の沙汰としか言えません。お金がないならいざ知らず、世界でも有数の外貨準備高を誇るのですから、増税の前にそれを当然に活用すべきではないでしょうか。

 少し話はずれてしまいましたが、今回の大事故の場合は、やはり東電の責任を明らかにすることが大切です。東電に恨みはありませんし、いわゆるディフェンス株として、多くのまじめな投資家が東電株を持っていることも知っています。しかし、単独で存在できない状態になった会社は、資本主義のルールに則ってまず破綻の処理を進め、株主責任を取ってもらった上で債権者やそれでも足りない場合に、はじめて政府の支援を受けるという透明なプロセスが絶対に必要なことだと感じています。
 それができないで技術的にいろいろなことをしても本質的な問題を先送りすることにしかならないので、やっぱり同じような重大な事故を繰り返し起こしてしまうのではないでしょうか。何度も繰り返しますが、いま私たちに一番必要なのは、自分で事実を調べ、その意味を自分で考え、それから自分や家族の行く末を他人のせいにするのではなく自分で決めていく能力を付けることです。
 事実を直視することはとてもつらいことですし、ましてや自己責任で行動することは大きな責任を伴いますので、できればどこか遠くにいる偉い人がどう生きていけばいいかを決めてくれて、今回みたいな重大な事故が起きても誰かのせいにして評論家的に文句だけ言っていればいい立場にいる方が楽に決まっています。でも、そんな生き方ができる時代は3・11以降無くなってしまったのです。
 政治家や官僚に対して、自分達が考える能力があることを示していくことで、きちんとした情報公開が行われる社会を実現していかなければなりません。東電に責任を取ってもらうことは、日本が自分で物事を考えたり決めたりできる国になるための重要な試金石になるのではないでしょう。

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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会)などがある。
いま明かされるコトダマの奥義
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/

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