写真
2010年にんげんクラブ全国大会ステージ上にて
(写真撮影:泉浩樹)

「天律時代」の到来に向けて

このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。

また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。

左上 「うず」のイメージ(画:西口貴美)
2012.05.21(第52回)
インフレは来るのか?

 ギリシャで組閣が失敗し再選挙が行われることになり、最悪の場合、ユーロからの離脱の可能性が出てきました。金融マーケットはキャッシュへの逃避が進み、より流動性の高い金融資産が買われています。
 例えば、日本やドイツの国債が買われていて金利が低下しています。また、アジアの株式は、ヨーロッパへの輸出の落ち込みの懸念から売られていますし、金などの実物資産の価格も下落しています。どうも、20年以上にわたって日本を苦しめてきたデフレが世界中に広がっていくようです。

 いままでは、お金の仕組みの本質論を書いてきましたが、最近の社会情勢を受けて、デフレ経済がずっと続くのかどうか、それとも朝倉慶先生が主張されるようなインフレになるのかどうかを考えてみたいと思います。また、インフレが来ると考えた場合の対応方法についても考えてみたいと思います。

 朝倉先生の主張を整理すると、サブプライム危機やリーマンショックを境に、金融の問題は、金融機関の危機という段階からソブリン危機、つまり国そのものの危機に移りました。ソブリンが資本主義の根本であるマーケットを壊さないために、金融機関に無制限に資金を供給するようになったのです。そして、危うい信用という砂上の楼閣に守られているにすぎない金融システムが破綻すると、今度は国が破綻する可能性が高くなってきました。
 そして、ここで問題になるのは株式市場の暴落ではなく、国債市場の暴落であり、すなわち金利の高騰やそれがコントロールできる範囲を越えてしまえば、ハイパーインフレにつながっていくのです。ハイパーインフレとは紙幣が紙屑になることであり、1923年のドイツで実際に起こりました。1月に100マルクだったパンの値段が12月には3,990億マルクになり、アメリカ人夫婦が1ドルで1週間豪遊しても使いきれなかったという状態になったのです。
 そして、恐ろしいことに、日本の国の債務の額は、対GDP比でギリシャなどの現在問題となっているヨーロッパの国よりも遙かにひどい状態になっており、日本が世界恐慌のきっかけを作る可能性が高いというのが、朝倉先生の問題提起なのです。日本の財政状態を家計に例えると、年収400万円弱の収入に対して、900万円の支出をしており、その結果、たまった債務が1億円を超えている状態にあるのです。

 一方、日本の国債は大半を日本の金融機関や機関投資家、さらには個人が持っており、対外債務を抱えているギリシャなどのヨーロッパ諸国とは大きく違うこと。また、国の経営を家計に例えるのはまったく間違った議論だという話もあり、日本の国債が真っ先に暴落することは考えられないという意見もあります。

 私はハイパーインフレがくるかどうかはともかく、いまのデフレ経済は食料やエネルギーの高騰が原因で終わり、インフレがくる可能性は高いと思っています。それも、不景気でかつインフレが来る、スタグフレーションという最悪の展開になると考えた方がいいのではと思います。だから、インフレヘッジの方法も考えなければいけないと思っています。

 インフレが来るとすると、一番大事なのは生きていく力を付けることです。貯金をしてもインフレになると実質的には目減りしてしまいますので、貯金がいらないとは言いませんが、何割かは自分に対する投資やいい仲間づくりのために使うべきだと思います。我田引水ですが、にんげんクラブに入るとか、『ザ・フナイ』『船井メールクラブ』を購読するなどはいい投資になるのではないでしょうか。
 そして、既得権益や資産に頼らなくても生きていく力を付けることです。貯金がなくなっても稼ぐ力があればそれでいいわけですし、金融危機がきて、お金が機能しなくなっても、食料を確保する能力や、仲間で助け合える体制ができていれば何とかなります。
 企業の経営者やリーダーなどの立場でそれでも、資産を守らなければいけない人は、キャッシュや金融商品以外の資産に分散投資をしておくことも考えなければいけないのかもしれません。
 例えば、企業で農業に取り組んでみるのも面白いのではないでしょうか。すでに実施している経営者のお話を聞いていると、昔の運動会と同じように、社員が家族の人たちも含めて一体化する効果もあると言っていました。
 さらに現実的には、時流にあった優良企業の株式や、自分で使用するもしくは流動性の高い不動産の取得、さらには資産に占める割合は多くない方がいいと思いますが金などの貴金属の現物、さらにはアンティークコインやアンティークジュエリーなど、いざというときにすぐに持ち運べる形の現物資産も持っていた方がいいのかもしれません。

 こうすれば、絶対大丈夫という正解がない時代ですが、しっかりと現実を直視して、自分で考え、自分で意志決定し、自己責任で行動できるという自立の条件をクリアし、助け合い相談しあえる仲間がいれば、厳しい時代も何とか乗り越えていけるのだと思います。自分なりの資産防衛の方法や、激変期の乗り越え方を考えてみる時が来ているようです。

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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)などがある。
未来から考える新しい生き方
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/

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