写真
2010年にんげんクラブ全国大会ステージ上にて
(写真撮影:泉浩樹)

「天律時代」の到来に向けて

このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。

また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。

左上 「うず」のイメージ(画:西口貴美)
2012.11.21(第70回)
信用創造と日本独自の金融政策

 天野統康さんの『サヨナラ! 操作された「お金と民主主義」 なるほど! 「マネーの構造」がよーく分かった』(成甲書房)を読みました。著者は社会派ファイナンシャルプランナーでまだ30歳台前半の新進気鋭のエコノミストです。一度対談をさせていただいたことがあるのですが、本当に勉強家でずいぶん知らないことを教えていただきました。

 今回、11月12日に発売になったばかりの新著をお送りいただき、それで読ませていただいたというわけです。ちょっと分厚くて内容も難しいのですが、注目したのは出版社が成甲書房だったこと。成甲書房は小さな出版社ですが、社会派の硬派な本質的な本を次々に出版しているすばらしい出版社で、先般、船井幸雄有料メルマガの「船井メールクラブ」にも田中社長から原稿を寄せていただきました。
 じっくり読んでみて、改めて今の金融の仕組みの本質的な仕組みを分かりやすく解説していることにびっくりしました。
 通貨という側面から見ると、金融のマーケットは大きく分けて二つあります。
 ひとつは、中央銀行と銀行との間(ゼロ金利でない時は銀行同士の市場もありましたが、今は日本やアメリカでは消滅しています)のインターバンクのマーケットであり、もうひとつは、銀行と一般企業や政府、個人との間の間接金融のマーケットです。
 広義には、銀行の絡まない証券会社を経由する株式市場等の直接金融市場も存在しますが、通貨という面から見るとどうでもいいマーケットです。なぜなら、銀行が絡まないマーケットはお金がぐるぐる回っているだけのマーケットで、誰かの利益は誰かの損失で成り立っているゼロサム(本当は証券会社等の金融機関が手数料を取っていくので、マイナスサム)マーケットだからです。
 金融という世界で通貨という経済の血液とも言えるお金を生み出しているのは必ず銀行が絡むようになっており、それが近代資本主義の大前提になっているのです。そして、信用創造という、銀行が企業や政府や個人にお金を貸し付ける行為自体が、通貨を生み出しており、その貸出が返済されることで通貨が減少していることが、本当に単純に通貨という側面から経済活動を見た結論です。
 この信用創造、つまり銀行がお金を貸し出す時に、銀行はその原資は預金を元に作り出しているわけではなく、ただ単に顧客の預金通帳に預金金額を印字するだけなのです。そして、銀行の帳簿には資産の部の貸付金が増加して、負債の部の預金(銀行は一般の企業とは逆で預金は負債になります)が増加してバランスが取れることになります。
 6月11日の本コラムにも書きましたが、こういう面で見ると複式簿記というシステムはこの信用創造という、銀行が無から有を生み出し、しかもそれに対して金利を取るというマジックを分からないようにするために発明された仕組みかもしれません。
 逆に、一般の企業や個人から見ると高度成長をする時はともかく、今のように成長が期待できない時は全体で見れば必ず損をする仕組みになっています。つまり、今のようなデフレで経済が成長しない時には借金はしてはいけないのです。
 ただし、社会全体で見れば銀行が貸付をした時にしかマネーは生まれませんので、その行為が増えないと景気は良くなりません。
 今のように金融緩和をしても、日銀と各銀行間のインターバンク市場はお金がジャブジャブに余りますが、それが銀行と一般企業間に回ってこない限り、景気は絶対に良くならないのです。自民党の安倍総裁がより一層の金融緩和を言っていますが、それによって円安になることで株価が上がる効果はありますが、実態社会にそれだけではお金が回るようにはならないのです。
 お金を実体経済に回すようにするには、昔の日銀がやっていた窓口指導を復活させて、銀行がどの業種にどれだけの融資をしているかを日銀が指導するような体制を復活させる必要があると思います。ここまでやると実態経済にお金が回り、本当にデフレが克服されて景気が良くなってくるのです。
 金融緩和だけを続けると、金融市場にお金がジャブジャブになって、大手金融機関が大博打を打つことはできるようになりますが、それだけでは市中の景気は良くなりません。アメリカというか世界の金融を牛耳っている人たちの本音は、デフレを続けていって実体経済から自分たちに資産を移動させることなので、窓口指導のような本当に景気を良くする政策は取らせてくれません。

 安倍総裁が本気で日本の景気回復に取り組むためには、日銀を政府の言うことを聞く機関にすることはもちろんのことですが、その政府の政策がアメリカの言いなりではなく、本当に日本の景気を良くする日本独自の金融政策であることが大事だと思います。

『未来から考える経営』表紙画像
『未来から考える経営』
★船井勝仁の最新刊『未来から考える経営』(2012年10月発売 ザメディアジョン刊、1,200円(税込))が好評発売中!!

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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)、『失敗から学ぶ』(2012年7月海竜社) 、『未来から考える経営』(2012年10月 ザメディアジョン)などがある。
『未来から考える経営』表紙画像
★にんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/

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