写真
2010年にんげんクラブ全国大会ステージ上にて
(写真撮影:泉浩樹)

「天律時代」の到来に向けて

このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。

また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。

左上 「うず」のイメージ(画:西口貴美)
2013.01.21(第76回)
2013年の金融情勢

 月も中旬に差し掛かりました。今年も後345日しか残っていないという見方もあるという話を聞いてなるほどと思いましたが、今年が激変の年であることは間違いないと思います。いろいろな経済評論家の今年の金融情勢に関する意見もあらかた出揃いましたので、それを受けた上で私の見解を書いてみたいと思います。

 安倍内閣ができてアベノミクスという言葉ができました。これは、いままで相場が膠着して全然動かなかった状態を脱して相場が動くことを意味していると言えそうです。一本調子で相場が上がっていってくれるのが理想的ですが、多分相場が乱高下して素人が下手に参戦すると大火傷をするというぐらい大きな動きがあると思います。
 相場が膠着している時には儲けの機会はほとんどありませんが、相場が変動する時は儲けるためのチャンスです。日本という国が国債の大暴落からハイパーインフレになっていくという意見を持っている先生は、儲けることに後ろめたい気持ちを持たないことの大切さを主張していました。国が破れた後、誰かがこの国を再建して行かなければなりません。そのためには大きなお金が必要で、だから国が再建できるぐらい壮大に儲けて世の中の役に立てば良いと言うのです。これくらい、気宇壮大なことを考えると気持ちがいいですね。

 主張がかなり違う中で先生たちが口をそろえて言うのは、自己責任で相場に参加すること。もちろん、損失を自分のせいにされたらたまらないという本音もありますが、相場に手を出して、それで意見を参考にした評論家の先生のせいにしかできないようなマインドの方は、大体相場に参加する資格がありませんので論外ですが、他人の意見に左右されながら参加して勝てるようなヤワな相場ではないという覚悟がいるということだと考えればいいのだと思います。

 ちなみに、私は相場に参加するつもりはありません。昔、都市銀行のニューヨーク支店で研修を受けた時に、シュミレーション相場をやらせてもらって熱くなってしまい、損をする方にばかり張ってしまったことがありました。それをみていたディーラーから「君は相場には手を出さないほうがいい」と言われたことが忘れられません。相場の熱い雰囲気に飲み込まれてしまって、勝つために一番大切な条件である、常に冷静でいることに自信がないのです。
 ただ、結果論ですが、昨年は会社で収益不動産に投資をしました。別に不動産相場で儲けようとしたわけではありませんが、その冷静な気持が良かったのか、評論家の先生の大半の意見でも不動産に投資をするべきだと言われています。ただ、一度手に入れた不動産は少しぐらい儲かるからといって売ってしまわないことが大切だと思いますので、しっかりホールドをして行きたいと思っています。

 これは、何度も書いてきたことですが、経済や金融の行く末を見る時に、いま大事なことは、為替と物価だと思います。
 円高が続いてデフレが続くのか、円安になってインフレになるのかです。アベノミクスへの期待感で円安になってインフレ傾向になると相場は織り込んでいますので、そうなれば、現物資産や株式や不動産などを買って持ち続けるという戦略が正しくなる可能性が高いのだと思います。
 デフレというのは企業経営者にとってはとてもつらい状態です。経営者は銀行に利子を払ってその上で利益を出さなければいけないのですが、デフレでお金の価値が上がってくると一生懸命企業活動をして利潤を追求するよりも、何もしないで現金をホールドしている方が結果論としては儲かるということになってしまいます。だから、民主党政権下の原理原則論でデフレが続いていた状態を、経営者の気持ちがわかる自民党がなんとかしてくれるというのは朗報です。

 でも、デフレ状態は日本だけが原理原則論を頑なに守ってきた結果であって、日本も欧米並みに国益をなりふり構わず追求することになれば歯止めがなくなって、世界があっという間に金融破綻に突入する事態も考えられます。目先は日本の景気も良くなりますが、危うい世界に足を踏み出したことをしっかり認識することが大事です。そして、本当の力量を問われるのは、何かが起こった後です。
 例えば、せっかく資産を持ってインフレに備えているのに、相場の乱高下にびっくりしてそれを慌てて売ってしまって大損をしてしまうようなら何をしているのか分かりません。もちろん、大方の見方と反対にデフレが続いていると判断した場合にはすぐに損切りしなければいけないので、自己責任で相場観を持つことが大事になるのです。
 デフレ下では何もしないという選択が一番正しいという楽な状態だったのですが、これからは何もしなければえらい目に会ってしまう可能性が高くなります。責任ある立場にある方は、しっかりと勉強して直感力も磨いて、この難しい世の中を乗り切っていく必要があるのです。お互いに切磋琢磨して明るい世の中をつくるべく頑張りましょう。


『未来から考える経営』表紙画像
『未来から考える経営』
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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)、『失敗から学ぶ』(2012年7月海竜社) 、『未来から考える経営』(2012年10月 ザメディアジョン)などがある。
『未来から考える経営』表紙画像
★にんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/

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