中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2017.07.20(第34回)
怒涛のように崩壊する日本の食の安全

 今でも、世界中で一番、遺伝子組み換え作物の輸入国で、遺伝子組み換え食品を食べている日本人ですが、これはまだ序の口、日本国内での遺伝子組み換え作物の栽培許可は、稲で24品種、西洋菜種で19品種、大豆で50品種が許可されています。稲に関しては、まだ隔離された圃場(ほじょう)という条件が付いていますが、西洋菜種でこの隔離圃場の条件が付いているのは3品種のみ、残りの16品種は一般の農地での栽培許可が出ています。また大豆でこの条件が付いているのは21品種、残りの29品種は一般の農地での栽培許可が出ています。

 私は、どうしても遺伝子組み換えの日本国内での栽培を禁止してほしいと思っています。
 理由は3つ。

【1】遺伝子組み換え作物の栽培をすると、農地から日本の自然破壊が始まります。遺伝子組み換え品種は、除草剤耐性を持つものと、殺虫性を持つものがありますが、除草剤で枯れない作物ですから、除草剤をたくさん投入します。殺虫性に至っては、作物自身が殺虫剤ですから、日本の田畑で生きてきたたくさんの生きものたちが死んでしまいます。文字通り、草も虫もいない「沈黙の田んぼ」、「沈黙の畑」、そして「沈黙の里山」になります。こんな日本を子孫に残すなんて、絶対に嫌です。

【2】遺伝子組み換え作物の栽培をすると、日本の品種が汚染されます。大豆や菜種は、農家が栽培している奨励品種や地元の在来種に、遺伝子組み換え大豆や菜種との交雑が起きてしまいます。大豆や菜種の花粉は何キロも飛ぶので、除草剤耐性の遺伝子や、殺虫性の遺伝子が、日本の在来の大豆に入ってしまうのです。現在はまだ大豆の商業栽培は行われていませんが、輸入大豆が搬送途中にこぼれて野生化し、道端から広がって、すでに農地の中にも入り込んでいるらしく、「除草剤をかけても枯れない大豆が生えているので、心配だから調べてほしい」というメダカのがっこうの会員農家がいます。遺伝子組み換えの作物を作りたくない命を大切にする農家たちが、その意図に反して自然破壊や健康に悪い作物を作ってしまうことになるのです。

【3】日本人の健康に悪いからです。遺伝子組み換え作物や食品は、食品安全委員会で安全だと言われていますが、いろいろな問題を指摘した研究や、組み換え時の事故で意図せざる遺伝子が動き出して毒性が発揮された事件などが隠されています。一番長期間遺伝子組み換え食品を食べてきたアメリカでは、悪影響を受けやすい子どもたちの不調に母親たちが立ち上がり、今では相手にされなくなっているのが、遺伝子組み換え食品です。
 遺伝子組み換え作物や食品は、それ自体も健康を害するのですが、残留農薬が高いことも原因です。

 さて、その農薬の話ですが、今年、グリホサートの残留農薬基準が0.1ppmから40ppmに引き上げられました。400倍です。グリホサートといえば、モンサントが開発したラウンドアップという除草剤の成分名です。小麦、大麦、ライムギ、そば、その他の穀類が30ppmに、主に油の原料となるヒマワリ種子、ごま種子、べに花種子、綿実が40ppm、菜種が30ppmです。
 これは何のための緩和かというと、1つは主にアメリカ、カナダから輸入する穀類や種子の残留農薬が高いために、日本の基準を引き上げたと考えられます。今まで大豆の20ppmが最高値で、これでさえ牛の飼料にすると牛が下痢をしたり死んだりすると言われているのに、この高い基準の穀類を日本では人間が食べると思うと、絶対子どもたちには食べさせられません。今後絶対に輸入小麦で作ったパンやパスタやお菓子類は食べないでください。
 2つ目の緩和理由は、日本の農地に今後、これだけのグリホサートを撒くための準備を整えていると考えられます。つまり、遺伝子組み換え作物の栽培を予定しているのです。

 今まで使われていた輸入小麦のポストハーベスト農薬の恐ろしさを知っている方もいると思いますが、実は、プレハーベスト農薬はもっと残酷です。作物の収穫直前に大量の除草剤を播くのです。ですから作物は除草剤耐性を持った遺伝子組み換えである必要はありません。除草剤を播くと作物が枯れるので、乾燥させる手間が省けるのだそうです。しかし収穫物には、怖ろしく農薬が残留することになります。そうした作物を日本に輸出するには、日本の基準を上げておかなければなりません。
 この法案を出してから、厚生労働省はパブリックコメントを募集しました。多くの反対意見が寄せられたことでしょう。しかしみんなの意見を聞いたというために行っただけで、この法案はもうすぐ通ります。国民の命を守ってくれない日本の行政です。
 ここまで来ても、日本の国民は目覚めないとしたら、どうしたらいいかわかりません。
 アメリカ市民もEU市民も目覚めたので、遺伝子組み換え企業は、世界的には衰退に向かっています。その証拠に次々と吸収合併が進んでいます。イスラム圏もロシアも遺伝子組み換えは禁止です。日本とアジアしか行き場がないのです。情報が多すぎて、趣味やスポーツが楽しすぎて、食べものが狂い過ぎていて子孫のことまで頭が回らない、ボーっとしている日本人がターゲットです。

 でもみんなが気づけば状況は変わります。口コミでも拡散をお願いします。

【お知らせ】
 8月2日(水)、日本の固定種を自家採種している自然栽培や有機栽培の農家たちのための「種子法学習会」を開催します。今まで日本の種子を守ってくださっている農家の方たち、日本の農地に農薬や化学肥料を入れないでくれている農家の方たちが、真剣に今後の対策を議論します。現在の政治家の中で最も農政に詳しい篠原孝氏、日本の種子を守る会顧問の山田正彦氏(元農水大臣)、遺伝子組み換えルーレットの日本語版監修の印鑰智哉氏を講師に、わからないことをすべて解決し、今後の答えを見つけます。
 都市部の消費者の方たちの意識と行動がとても重要になってきます。たくさんのご参加をお待ちしております。
★詳細・お申込みはコチラから→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=119942361

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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