中村陽子の都会にいても自給自足生活
このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。
(種苗法改正が次の国会で通ってしまうと大変です)
「自家増殖原則禁止」と聞いても、何のことか、どんな不都合が起こるのか、皆目わからないと思いますが、これは本当に大変なことになります。
「自家採種」というのは、栽培した植物の種子を採り、またそれを播くことです。人間の歴史で栽培が始まった時からずっと今に至るまで続けている行為です。それも、ただ種子を採るだけでなく、よりおいしくて形が良く、多収穫な形質を持った作物の種子を採り続けてきました。種子は気候変動にも、人間の趣向にも合うように変化し続けています。
「自家増殖」というのは、種子ではなく、芽の出た芋を植えて増やしたり、ランナーという蔓が伸びたものを土に植えて増やしたり、株分けして増やしたりする栽培技術で、農家の腕の見せ所です。
「自家増殖原則禁止」とは、この2つを禁止するものです。農水省知財課の説明会では、禁止するのは、登録品種だけで、登録品種というのは種子全体の5%ほどだから、全く心配はいらないということで、私も一瞬大丈夫なのかと思いましたが、違いました。
先日鹿児島の農家が、地域ではとてもおいしい紫芋をたくさん作っていて、みんな在来種だと思ってどんどん増やしているが、調べてみたら登録品種だった。自家増殖原則禁止になったら、みんな法律違反を犯していることになると心配していました。これは氷山の一角だと思います。増やすことは農業の基本ですから、美味しい野菜はどんどん増やしているでしょう。日本中の農家が訴えられれば罪に問われることになる法律が、今度の国会で可決されようとしています。
国が自家増殖原則禁止にする理由に挙げているのは、シャインマスカットという優秀なブドウの品種が、海外に持ち出され栽培され、日本の市場を奪っているからだと言っています。しかし国内の品種を海外に持ち出すことは今の種苗法でも禁止されているので、このような順法精神のない海外の盗人を、いくら国内法を厳しくしたからと言って、取り締まれるわけがありません。一例ごとに裁判を起こすしかないのです。自家増殖原則禁止で権利を奪われるのは前述した日本のまじめな農家です。
では今の種苗法はどうなっているかというと、農家は原則として自家採種は認められています。しかし農水省は、自家採種を禁止する作物を増やし続けています。2016年には82種でしたが、2019年には872種になりました。ほうれん草や人参は登録品種ではありませんが、この禁止植物に入っています。どうしてこんな変なことが起こっているのか?
それは世界の動きを見るとわかります。世界のグローバル企業は特許権、知的財産権でお金を儲けようとしているからです。日本政府もこの方針です。これは工業製品なら理解できます。発明したものや、工夫し、それを実現するために研究を重ねたものに、ある年数の特許権が与えられ、それまでの苦労や費用を回収し儲けることは、必要だと思います。
しかし、種子や苗などの命あるものを特許の対象にするのはおかしいことです。特許をとれるとしたら、遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術でしょう。この技術によって出来た種子や苗に特許を与えるのはへんです。この種子には元の種子が存在し、それは何千年もの間先祖が工夫しながら繋いできた種子なのですから。それにその大本の種子の命は人間には作れません。
これは生命とは何かという哲学的なところから考えなければなりません。インドでは種子の特許は禁止されています。またEUでも生物特許は認めないという動きが出ています。これは特許の適用に反対する市民団体No Patents on Seedsの活動の成果でもあります。
グローバル企業の狙いは分かります。TPPもFRAもUPOV条約も国家がグローバル企業への利益誘導をするために利用されています。しかし、これと同じ次元で反対しても成果は出ないでしょう。命の性格、種子の特性をよく知れば、おのずと正しい判断ができます。たとえば種子は、自然界の野生の種子でも常に変化し続けています。それは登録品種でも同じです。1年として同じ気候、同じ環境はないのですから、命あるものは常に適応するため、その環境で繁栄するために変化しています。現在ある種子の多様性は、各地の農家が種子を播き育て自家採種を続けてくれたおかげです。お米も大豆も数千種位以上の品種があります。
特許を取るには、その遺伝子や形質を記録します。しかし本当は、同じ遺伝子でも違う品種、違う形質が出る植物もあります。命は変化するので管理できません。同じ品種と言えども変化します。それは生きているからです。規格のある工業製品のように、品種を同じ遺伝子同じ形質で維持することは非常に難しいことで、多大な費用がかかります。それゆえ、たとえ維持できたとしてもほんのわずかな品種しかできません。
これは食の安全保障上、非常にまずいことなのです。気候変動によりある品種が全滅することがあります。過去にもありました。その時出来るだけ多様な種子を持っていることが必要なのです。今までの歴史では、農家が自家採種で守ってきた多様な品種の中からまた私たちの食料となる作物を見つけてきたからです。今まで日本は農業試験場でたくさんの品種を維持管理してきました。民間ではいつ役に立つかわからない品種を維持管理することはできません。もうけに繋がらないからです。しかしこれも種子法廃止で国から民間に移せというのが国の方針です。本当にヤバいことになりました。
日本は種子の種類は多分世界一、水も豊かな国で、今まで危機感はありませんでした。しかし、世界を支配しようとする人は、水と種子を押さえることで、その国を征服するのです。そして今日本は、ほぼ征服されてしまいました。だから、国を私たちの手に取り戻さなければなりません。生きるためには、みんな水と食料は必要とするのですから、主義主張は関係なく、生きているものに特許を与えることと、自家増殖原則禁止に、反対の声を上げてください。お願いします。
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2019年12月2日〜12月12日 アメリカを変えたママがやって来る!日本のお母さんたちも、アメリカのママたちに続こう! |
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首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。
1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。
長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/