“本物主義”時代の幸せな生き方
このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
2018年3月14日、国連から『世界幸福度ランキング』が発表されました。
世界156カ国を対象に行われていて、今回で6回目のランキングということになります。各国で約1000人に対して調査が行われているそうです。
「所得」「健康と寿命」「社会支援」「自由」「信頼」「寛容さ」などの要素を基準にランク付けされていて、その総合得点でランキングされるわけですが、昨年日本は51位でした。
さて、今年はいったい何位に位置付けられたのだろう……と思って、順位を見ていくと……。
【世界幸福度ランキング2018】
第1位: フィンランド
第2位: ノルウェー
第3位: デンマーク
第4位: アイスランド
第5位: スイス
第6位: オランダ
第7位: カナダ
第8位: ニュージーランド
第9位: スウェーデン
第10位: オーストラリア
第11位: イスラエル
第12位: オーストリア
第13位: コスタリカ
第14位: アイルランド
第15位: ドイツ
第16位: ベルギー
第17位: ルクセンブルク
第18位: アメリカ合衆国
第19位: イギリス
第20位: アラブ首長国連邦
第21位: チェコ
第22位: マルタ共和国
第23位: フランス
第24位: メキシコ
第25位: チリ
第26位: 台湾
第27位: パナマ
第28位: ブラジル
第29位: アルゼンチン
第30位: グアテマラ
第31位: ウルグアイ
第32位: カタール
第33位: サウジアラビア
第34位: シンガポール
第35位: マレーシア
第36位: スペイン
第37位: コロンビア
第38位: トリニダード・トバゴ
第39位: スロバキア
第40位: エルサルバドル
第41位: ニカラグア
第42位: ポーランド
第43位: バーレーン
第44位: ウズベキスタン
第45位: クウェート
第46位: タイ
第47位: イタリア
第48位: エクアドル
第49位: ベリーズ
第50位: リトアニア
やっぱり……と言ってはよくないのですが、50位以内には入りませんでした。
残念ながら、昨年よりまだ3つ順位を落として「54位」。G7では、またもや最下位でした。いつも比較対象となっている韓国は57位、ロシアは59位、中国は86位。ちなみに、最下位はアフリカの「ブルンジ共和国」で、得点は1位のフィンランドの半分以下という結果でした。
予想通り、北欧の国々が上位を占めていました。アジア地域は、なかなか上位には位置付けられません。シンガポールも日本同様、26位から34位に下落しました。しかし、台湾は26位、マレーシアは35位、タイは46位と、アジア地域でそれなりに経済発展している国は日本よりも順位が高くなっているのです。
調査の内容は、大きく次の6項目です。
(1)人口あたりGDP(対数)
(2)社会的支援(または困ったときに頼ることができる親戚や友人がいますか)
(3)健康寿命
(4)選択の自由度(あなたの人生において何らかの選択する自由に満足していますか)
(5)寛容さ(過去1か月の間に慈善団体に寄付をしたことがありますか)
(6)腐敗の認識(政府や仕事上で腐敗が蔓延していませんか)
この6項目で、本当の「幸福度」が表現されるのか……については、私もよくわかりませんが、なにか「原因」があるのではないかと調べてみました。
日本が優位なのは、(3)健康寿命でした。これは、だれもが納得だと思います。医療制度が整っており、長寿国ですから、当然だと考えられます。明らかにポイントが低いのは、(2)社会的支援と(5)寛容さでした。今回総合3位だったデンマークの社会保障制度や教育制度について、以前、NHKで特集が組まれていたのを観たのですが、はっきり言って「比べものにならない」と感じました。いま、政府主導の「働き方改革」の内容が注目されていますが、「質的」にまったく異なっていて、このままだと追いつきようもないとさえ感じてしまいます。
一方、いまはインバウンド客に溢れている日本ですが、まだまだ外国人にとって住みよい環境であるとは思えません。つまり、観光にはよくても、暮らすのはむずかしいという側面があるということです。2017年9月、ドイツに拠点を置く調査会社『Inter Nations』が行った「外国人が住みやすい国ランキング」というのがあって、調査対象の65か国中、40位という結果だったそうです。母国を離れて暮らす男女約1万2500人が、65の国を「生活の質」「定住しやすさ」「労働環境」「家族としての生活」「個人財産」の5項目で評価したものです。
どうやら、日本は「友だちが出来にくくて」「外国人に対して冷たくて」「仕事と生活のバランスが最悪」だと思われているそうです。ちなみに、このなかの項目別ランキングを見てみると、まったく意味の異なる「幸福度ランキング」の順位の低さを解決するための材料が見つかってくるのです。
【項目別ランキング 日本の順位】
・『個人の安全』=2位(1位:シンガポール)
・『安全・治安の良さ』=4位(1位:スイス、2位:ノルウェー)
・『平和な環境』=5位(1位:フィンランド、2位:ポルトガル)
・『教育の質』=5位(1位:フィンランド、2位:シンガポール)
・『保健福祉』=7位(1位:台湾、2位:オーストリア)
・『交通機関』=9位(1位:シンガポール、2位:香港)
・『政治的安定』=9位(1位:ルクセンブルク、2位:スイス)
・『職の安定』=26位(1位:ルクセンブルク、2位:ドイツ)
要するに、日本は安全な国だというのは、世界的に認知されているということですね。しかし、別のアプローチからすると、残念な側面が見えてきます。
・『フレンドリーさ』=41位(1位:ポルトガル、2位:メキシコ)
・『個人的な幸福度』=48位(1位:メキシコ、2位:バーレーン)
・『仕事&キャリアでの満足度』=49位(1位:ベトナム、2位:バーレーン)
・『外国人を温かく迎え入れる姿勢』=53位(1位:ポルトガル、2位:バーレーン)
・『友だちの出来やすさ』=55位(1位:コスタリカ、2位:メキシコ)
ここから見え隠れするのが、「異質な対象への寛容性」。
寛容性が足りないんです。
たとえば、欧米諸国では、たとえ少額であっても、社会貢献のために寄付をすることなどは、極めて一般的です。しかし、日本のNPOや慈善団体などは、経済的に厳しく、運営が困難な状態になっているところも少なくありません。バリアフリーについてはここでは触れませんが、ベビーカーを押してみると、いかにバリアフリーでないかがよくわかる国です。
人間関係も希薄になっていますね。孤独死も急増しています。確かに、震災のときに日本人がとった助け合い、分かち合いの行動については、世界中から賞賛を受けましたが、苦難の時期を過ぎてしまうと、結局は自分だけがよければいい……的な風潮が見え隠れしてきます。このあたりが、外国人が暮らしづらいと感じる理由になっているのだと、容易に想像されます。
シンガポールに住む子育て中の日本人女性が、つぎのように話していた……というのをネット上で見つけました。
「いや、こちらの人はみな赤ちゃん連れのお母さんに優しいですし、東京だとベビーカーで地下鉄に乗っただけで舌打ちされたりするので怖いです」
とっても残念です。
最近の都内の電車内は、日本人である私ですら、怖く感じることがあるくらいです。ちょっと肩がぶつかった、カバンがぶつかった……程度のことで、口喧嘩がはじまり、車内が凍ってしまうような場面を目にすることが増えてきています。
「寛容さ」って大事ですね。
もっと、寛容な社会をつくらないといけません。
いまこそ、人として優しく、心広くなれる世の中をつくらないといけません。
「幸せな国」「幸せな国民」であるために。
そのためには、人と人が、許し、認め合い、大事にし合い、愛情たっぷりに触れ合う姿勢が必要です。
そのきっかけは、極論じみているかもしれませんが、「笑顔」と「感謝」だと、私は信じています。
笑顔と感謝で、幸せな国をつくりませんか!
※都合により来月(5月)よりしばらくの間、当コラムページの更新はお休みさせていただきます。
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1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。
2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。
講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。