船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
麻のこと
2012.9.10(Mon)
社名:(株)船井メディア 『ザ・フナイ』 編集長
名前:高岡 良子

【写真1】とくに農業・特産物としての麻について詳しい高安淳一さん。

【写真2】栃木県鹿沼市にある麻畑(種子を採取するために残してありました)。

【写真3】干しあがったばかりの麻の繊維。

 8月27日、栃木県に、麻の取材に行ってきました。
 栃木県の特産物である麻製品のための麻畑が、栃木県鹿沼市にはあるのです。種を取るための畑がまだ残っているというので、麻という植物がいかなるものか、見に行きました。

 今回ご案内くださったのは、高安淳一さんです。【写真1】

 高安さんは、幼稚園のころから麻の面白さに目覚めたそうです。
 麻の歴史的意義はもとより、栽培から、糸に縒(よ)る作業、織って布にするまでを幅広く勉強されていらっしゃるとのこと。たいへん博学、かつ、きさくな方でした。

 ちなみに、以下に記す麻の知識は、すべて今回、高安さんから教わったことです!

 麻の背丈は2mを越えるくらい。酷暑の炎天下を経ているにもかかわらず、濃緑にはならない若緑色のすずやかな麻畑に入りました。【写真2】

 麻という繊維は、シャリシャリした夏のもの、とか、チクチクとした肌触りのもの……という印象がありますが、現在、衣類に用いられている麻は外来の品種で、日本古来の麻とは異なる品種です。

 もちろん、「日本古来の麻」は、タバコのような「吸うための品種」とも異なります。

 ところで、日本古来の麻の品種が、どんなにすばらしい繊維だったかを、ご紹介したいと思います。

 肌に触れてみると、柔らかで肌触りが良く、しかも暖かい。
 高安さんが真綿のようなふわふわの繊維を目の前で見せてくださいましたが、肌に当ててみると、これまでの麻のイメージがガラッと覆るほどの柔らかさでした。

 夏だったら、日本古来の麻で織ったショールを水で濡らして肩に掛けると、その特異な性質がよくわかります。水を戻さないので木綿のようにベタつかず、快適に涼を取ることができます。しかも30分もすると、もう乾いている……。これも実際に体感してわかったことです。

 そうそう、江戸時代の火消しが火の中に入っても大丈夫だったのは、この日本古来の麻の衣類のお蔭だったとか。もともと火をつけてもすぐ消えてしまう特質のうえに(これも実験で見せていただきました)、水で濡らせば断熱効果抜群で、火傷をせずに火の海にも飛び込めたって訳なのです。

 夏涼しく冬は暖か、水を戻さない、洗濯してもあっという間に乾いてしまう、燃えにくい、しかも丈夫……こんな夢のような繊維があったとは……!
 しかも古来からの日本に!

 それで納得しました。「万葉時代、庶民の衣服は麻だった」と中学時代、先生が言っていましたが、こんなに肌触りが良く断熱効果や保温性があり、夏は涼しく速乾性、そして丈夫な繊維だったら、真冬でも真夏でも1年中快適だったことでしょう。

 それだけではありません。「日本古来の麻」が重要視されたのは、じつは、その繊維が金色に光り輝くからなのです。【写真3】

 まるで光の束のような……!

 だからこそ、御神事には欠かせない神聖なものとされたのですね。

 日本には、古来、塩、水で身の穢れを祓う習慣がありましたが(本来、海水で禊をするのがもっとも効果があったそうです…)、身の外の穢れはそれで祓えても、身の内の穢れは麻でないと祓えなかったそうです。これが、「麻を曳(ひ)く」という行為です。

 「麻を曳く」とは、麻の繊維の束を両手で握り下ろすこと。御神事に臨むときには、そうやって身の内の穢れを清めるそうです。

 ところで、麻の製品を生活のなかで取り入れることができたのは、女性たちが気の遠くなるような長い時間をかけて手作業をしてくれたお蔭でした。収穫した麻から、繊維を取り出すまでの工程、糸に縒(よ)る過程、それを織る作業が、それはそれは手間ひまのかかるものなのです。特に繊維を取り出す工程が面倒なため、戦前の日本にあっても、工業化を阻む素因になったとか。
 ですが、現在の技術なら、きっと工業化も夢ではないでしょう。

 この夢のような、さまざまな長所を備えた繊維である「日本古来の麻」が、再び日本人の体をつつみこむ日が来ることを、私は夢見ています。

 麻(衣)と米(食)、これは、日本人を支える車の両輪でした。
 もちろん、繊維をとったあとの麻の残り(オガラ)は、住居(屋根など)の大切な材料にもなっていたのです。
 「麻」という大切な片輪が外れている現在、日本人は、かなりムリな走行を強いられている……といっても、あながち間違いではなかろうと思います。

 麻と米、これを日本人の両輪に戻すためにも、先代たちが累々と守ってくれた「日本古来の麻の品種」の栽培と、繊維に加工する技術が、より現代的な工業化をともなって、広く復興する日が来ることを願ってやみません。

☆今回、高安さんに取材をお願いすることができたのは、彼をご存知だった高島敏子(セミナー担当)のお蔭でした! この高安さんと、『ザ・フナイ』の連載でもおなじみの船瀬俊介氏をナビゲートに、12月1日(土)〜2日(日)「日本古来の麻を巡るツアー in栃木」を船井メディアにて企画中です。
 詳しくは、9月中旬頃、船井メディアHPにてアップいたします。お楽しみに!



2周目:「「気楽に」は、魔法の言葉です。」
4周目:「想像力を使ってすること」
5周目:「花の愛情」
6周目:「言霊の力」
7周目:「麻の葉紋様」
8周目:「心躍る小道」
9周目:「1分間で2億5000万円が使えたら?」
10周目:「生命の充ち満ちている道」

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