船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井幸雄グループスタッフによるコラムページです。
日々仕事をする中で感じていることなどを自由に語ったページです(このページでは、便宜上、船井幸雄を“船井会長”と呼び、敬語表現を使わせていただいています。ご了承ください)。

船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
胡蝶の夢 (テーマ:私が最近思ふこと)
2009.12.9(Wed)
社名:(株)船井メディア 『ザ・フナイ』編集長
名前:高岡 良子

 大分県中津市の料亭「筑紫亭」の女将、土生かおるさんは、十数年前から船井幸雄の親しい知己でありました。そのご縁で、『ザ・フナイ』2009年3月号にて、特集にご執筆をいただき、10月には「ザ・フナイのつどい」という勉強会を筑紫亭にて開かせていただきました。
 地元・中津のことはもとより、文学、歴史、建築、科学、思想哲学に至るまで、その博識と魅力的な語りっぷりには目を見張るものがあり、お目にかかるたびに、私は感嘆を新たにしていました。
 その土生かおるさんの特集原稿のなかで、「福永光司」(ふくなが みつじ)の名前が出てきたときには、正直たいへんびっくりしました。
 といいますのも、私は少女時代の数年間、福永光司の書いた本を座右の書と言ってもいいくらい好きで読んでいたからでした。
 福永光司は、紀元前300年頃に書かれた『荘子』を訳し、解説した大著をこの世に出した人です。『荘子』のおおもとである『老子』とともに、老荘哲学の研究者として、京都大学、東京大学で教鞭をとり、当時の日本では見向きもされなかった老荘哲学の普遍的価値を不動のものにしました。
 私は高校の授業で、『荘子』のなかの「胡蝶の夢」という物語を初めて知って非常に心惹かれ、福永光司がわかりやすく書き下ろした『荘子物語』を夢中になって読みました。
 この本を読んでいると、不思議に心が楽になり、明るくのびのびとした心境になることができました。「あたしが悩んでいることは、大宇宙から見たら、なんとちいちゃなことか。そんなこと、クヨクヨするのは、ばかばかしい。もっと広やかな心で生きてみよう」という気持ちにさせられるので、さびしいとき、孤独感に陥るとき、よく読んでいました。
 『荘子物語』のあとがきに、「戦時中、兵隊にとられていたとき、私の心を慰めてくれる本が『荘子』であった」と書かれてありました。この人も、私と同じように荘子に救われていたんだな……と思い、福永光司という人の名前が、高校時代の私の心に刻まれました。
 そして、『ザ・フナイ』の原稿を書いてくださった土生かおるさんの口から、「福永光司」の名前が飛び出し、彼が中津の出身者であり、土生さんとは深い交流があったことを知って、不思議な不思議な縁を感じたのです。
 特に、土生さんが語ってくださった旧制中学時代の福永光司の逸話には、涙が出そうになりました。学校に行く前の早朝、家から1時間も2時間もかかるような遠い道のりを、重い天秤棒を担いで、彼は筑紫亭のあるところまで野菜を売りに来ていたそうです。
 私も福永光司に会いたかった、先生の『荘子物語』に助けられた一人であったことを先生に伝えたかった……と思わずにはいられませんでした。しかし、福永光司先生は、2001年の暮れに、83歳で亡くなっていました。亡くなる1ヵ月くらい前、自ら自転車をこいで、近くのスーパーマーケットまで買い物に出ていらっしゃるお姿を、土生かおるさんのお嬢さんが拝見されていたそうです。
 今年の6月、中津を訪ねたとき、土生さんにお願いして、福永光司先生の家に連れて行っていただきました。そして、いまは亡き福永光司先生をしのびました。

「胡蝶の夢――いつのことだったか、荘周(ソウシュウ)は夢のなかで一匹の胡蝶(コチョウ)となっていた。ひらひらと飛びまわる蝶になりきって、楽しく心ゆくままに空を舞っていた。そして自分が荘周であることに気づかなかった。

 ところが、ふと目がさめてみると、まぎれもなく自分は荘周である。いったい、この荘周が胡蝶となった夢を見ていたのか、それとも、今までひらひらと舞っていた胡蝶が夢のなかで今、荘周となっているのであろうか。自分にはさっぱりわからない。

 けれども、世間の常識では、荘周と胡蝶とでは、確かに区別があるだろう。それにもかかわらず、その区別がつかないのはなぜだろうか。

 ほかでもない、これが万物の変化というものだからである。彼には結局、今までの胡蝶であった夢が本当の現実なのか、今人間である現実が実は夢なのか、さっぱり分からない。しかしそれがいったい自己にとってどうだというのであろう。
                    ……(中略)……
 実在の世界では、夢もまた現実であり、現実もまた夢であろう。荘周もまた胡蝶であり、胡蝶もまた荘周であろう。一切存在が常識的な分別のしがらみを突きぬけて、自由自在に変化しあう世界、いわゆる物化の世界こそ実在の真相なのである。
 人間はただその万物の極まりない流転のなかで、与えられた現在を与えられた現在として、楽しく逍遥すればよい。
 目ざむれば荘周として生き、夢みれば胡蝶としてひらひら舞い、馬となれば高く嘶(いなな)き、魚となれば深くもぐり、死者となれば静かに墓場に横たわればいいではないか。あらゆる境遇を自己に与えられた境遇として逞しく肯定してゆくところに、真に自由な人間の生活がある。絶対者とは、この一切肯定を自己の生活とする人間にほかならないのだ。」(福永光司著『荘子』斉物論篇より抜粋)



1周目:「淀のお墓と赤ちゃんの泣き声 (テーマ:私からみた船井幸雄)」
2周目:「心に花園を (テーマ:ひそかに続けている私の習慣)」
3周目:「健康のクセづけについて (テーマ:船井幸雄グループに入って変化したこと)」
4周目:「大事にすると安心できる (テーマ:船井会長と山本富士子さんに学んだこと)」
5周目:「ホ・オポノ・ポノ (テーマ:船井会長のブログから教わったこと)」
6周目:「私が最近教わったこと (テーマ:私が最近学んだこと)」
7周目:「抱きしめの効用 (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」
8周目:「平常心と即時処理 (テーマ:私からみた船井幸雄)」
9周目:「無言の屈服 (テーマ:仕事をしていて感動したこと)」
10周目:「求めよさらば与えられん、叩けよさらば開かれん(私から皆さんにお伝えしたいこと)」
11周目:「日の出の効用(テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」
12周目:「忙しいときこそ (テーマ:船井会長や娘の本から教えられたこと)」
13周目:「思考エネルギー (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」 
14周目:「神さまは私の恋人 (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」 
15周目:「朝の喜び (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」 
16周目:「結婚20年を振り返って (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」 
17周目:「初めてのインド旅行 (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」
18周目:「過去の断裂を修復して (テーマ:最近私が感じたこと)」 
19周目:「心をワクワクさせる「ほんもの」 (テーマ:最近私が感じたこと)」 
20周目:「いのちをかける男らしさ (テーマ:船井会長から学んだこと)」
21周目:「自分の心に正直に生きること (テーマ:私が最近思ふこと)」

バックナンバー
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