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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2011.1.20(第2回)
開いた目に自分の顔を映しこんで話したよ

 寒い日が続きます。みなさんお元気でいらっしゃいますか?
 前回は、宮ぷーが脳幹出血で倒れて、命をとりとめたところまでおはなししました。その続きをおはなしします。 宮ぷーが倒れて、8日目のことでした。宮ぷーの目が開きました。私はうれしくて、お医者さんや看護師さんに「目が開いた、目が開いた」とお話をしました。けれども、宮ぷーの脳のCTは、例のないほど大きな出血であることを示していました。そして宮ぷーは、ときどき反射でどこかが動くことはあっても、声をかけても、ゆすっても、体のどこも動かせず、眼球すら、動かすことができないままでした。
 お医者さんは本当にやさしい方でしたので、またゆっくり言葉を選ばれるようにして「残念ながら、なぜか、植物状態の人は、昼間目を開けて、夜は目を閉じるのですよ」とおっしゃいました。それでも私は、自分があのとき、だいじょうぶだと思ったからだいじょうぶなのだという、何の根拠もないことなのに、そう思い続けていました。

 宮ぷーはいつか意識を取り戻すのだから、そのときに、意識のない間のことを知りたいに違いないからと、私は、毎日宮ぷーのことを「宮ぷー日記」と題名をつけて書き続けていました。そして、宮ぷーの開いた目に私の姿を映しこんで、日記を読み続けました。もし目が閉じていたら、まぶたをこじ開けてでも、私は話し続けました。なぜって、私が行ける時間はどうしても夕方から夜でした。手をさすり足をさする刺激だけでなくて、目から耳から、とにかくたくさんの刺激を宮ぷーに送り続けたかったのです。開いた目に私の顔を写し込んで話しかけたときに、また私の思い込みだったのかもしれないのだけれど、私が話しかけると、眼球も動いてないけれど、確かに、目の光の様子が違うと思いました。
 宮ぷーは目の玉すら動かすことはできないけれど、何もかもわかっているのだと感じました。
 宮ぷーの目の光が、話しかけると確かに違うと思い込んだ私は、思いを伝えられずにいる宮ぷーの思いをなんとしても知りたい、お互いに気持ちが伝え合えるようになりたいと思いました。どこか、宮ぷーが気持ちを伝えてくれるところはないか? 私の問いかけに、返事をしてくれるところはないかとずっと探し続けました。指でもいい、瞬きでもいい、頬の動きでもいい、どこでも、一箇所でも自分で動かすことができたら、そこに私は、「“はい”だったら、動かして」と話をすることができると思ったのです。けれど、それは、なかなか難しいことでした。脳幹という場所は、脳で思ったことを体に伝える場所です。それから、体が感じたことを脳に伝える場所でもあります。宮ぷーは脳幹を出血したことで、脳と体がばらばらになってしまったのです。宮ぷーは意識がないと思われていたにもかかわらず、お医者さんも、看護師さんも、リハビリの先生も宮ぷーの回復を信じて、声をかけ続けてくださいました。そして、宮ぷーも、本当に頑張り続けてくれました。
 私が学校の子供たちといて、ずっと思っていたことは、どんなに重い障害があったとしても、誰もが気持ちを持っていて、あきらめなければ、思いを伝えあえる方法はきっと見つけられるということです。そばで歌を歌い、手や足を曲げ伸ばしたり、触ったり、声をかけ続けることで、きっと脳がそれに応えてくれると信じ続けることができたことは、今、振り返ってみると、とてもよかったなあと思います。そう思わせてくれたのは、今まで出会った子供たちから私への大きなプレゼントだったと思います。

 何ヶ月も経って、やがて宮ぷーは、たえまないまばたきをしながら、無意識にうなづくようにして、目をぎゅっとつぶって思いを伝えてくれるようになりました。
 けれども、それで、すべて思いが伝えられるようになったかというと、それほど簡単なことではありませんでした。宮ぷーが思いを伝えることで、大きな鍵になったのは、無意識にできることを、意識的にもできるようになるようにするということでした。それができるようになるには半年の月がかかりました。
   次の回では、宮ぷーが思いを伝えるまでの話をさせてください。


【ノーティス!カードについて】

ノーティス!カード
ノーティス!カード

 今、私は意思伝達の方法や装置を多くの方に知っていただきたいという思いの外、「意思伝達希望カード」(Notice!Card)について提案したいと思っています。
 「意思伝達希望カード」略称・ノーティス!
 カードの「Notice(ノーティス)」とは、私の心がここにあることに気づいて! わかって! という意味です。このカードは「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」から生まれました。
 「ロックトイン・シンドローム(症候群)」という言葉があります。日本語で「閉じ込め症候群」と言われています。思いをしっかりと持っていながら、身体のどこも動かないために、自分の思いを伝達する方法がなく、心が閉じ込められた状態を言います。
 宮田俊也さん(宮ぷー)はその「ロックトイン・シンドローム」の状態にありました。
 やがて宮ぷーはゆっくりではありますが、奇跡的な回復を続け、動き出した頭や指の動きを意思伝達装置につなげ、言葉を紡ぎだすようになりました。
 ロックトイン・シンドロームに限らず、何らかの理由で、気持ちを伝えたいと願いながらも、伝えることのできない人たちは世界中に、数百万人、あるいは数千万人いると言われています。そして、その多くの人が、医療、福祉、介護のなどの分野においても、意思伝達の方法があまりに知られていないために、情報が届かず、そのために思いが伝えられないという現実があるのです。
 「おはなしだいすき」のホームページでは、たくさんの意思伝達方法についての情報を提供しています。「ノーティス!カード」に自分の名前を書いて、いつも、持ち歩いてくださることで、何か不測の事態が起きて、突然、自分の意思が伝えられない状態になったとき、家族に知識があるかないかで、ずいぶん違ってくると思います。知識があれば、意識がないと思われていても、どこかで感じているはずだ、必ずわかってくれているはずだという思いで、接してくださると思うのです。それは、あとあとでずいぶん違った結果を生み出すことになると思います。
 そしてもう一つは、その結果、深いところにあった意識のレベルが上がり、手や足やまぶたなど、どこかでお話ができる状態になったときに、ご家族の方が「おはなしだいすき」を見た記憶はそのときに必ず役に立ってくれると思うのです。「意思伝達希望カード」はぜひ、そういう意味でいつも持っていていただきたいです。また、「おはなしだいすき」では、ノーティス!カードが広まることで、意思伝達の方法が、広まってほしいと願っています。近視や遠視の人にめがねが必要と誰もが知っているように、世界中の人が、意思伝達の方法が広まることを望んでいます。
 「ノーティス!カード」は、「おはなしだいすき」のページから無料でダウンロードができます。また、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(三五館)にも、ついています。

 意思伝達の方法や装置が広まっていないということは、人ごとではないなあと思います。ぜひ、「ノーティス!カード」をお財布に入れて持っていていただけたらと思います。


【お知らせ】
・「おはなしだいすき」http://ohanashi-daisuki.com/
 意思を伝える方法をたくさんあります。イラストで伝えるためのおはなしノートの無料ダウンロード、意思伝達装置の紹介など、意思を伝える方法をたくさん紹介しています。
・「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」http://www.mag2.com/m/0001012961.html
 宮ぷーの様子や、気持ちを伝えること、宮ぷーをとりまくこと、私の日常などを毎日日記で無料配信しています。

満月はきれいだと僕は言えるぞ
著書『満月をきれいだと僕は言えるぞ』
・宮ぷーの本が発売になります。

『満月をきれいだと僕は言えるぞ・・GO!GO!意思伝達大作戦』三五館(税別1500円)宮田俊也・山元加津子著
 脳幹出血で倒れた宮ぷーが、意思伝達装置のレッツ・チャットを使って気持ちを伝えられるようになりました。講演会で宮ぷーのお話をさせていただいたり、メルマガを書かせていただいているうちに、意思伝達の方法がほとんど広まっていないために、気持ちを伝えられない方がとても多くおられることがわかってきました。もっと気持ちを伝えあうために、GO!GO!意思伝達大作戦を展開します。この本には、「ノーティス!カード」がついています。手にとっていただけたらうれしいです。

バックナンバー
09/20

星の王子さまと私(最終回)

08/20

誰もが自分しか体験できない人生を生きているから

07/20

宮ぷーが退院しました。

06/20

本当のことの扉

05/20

新しい生活

04/20

風が吹いたみたいに思い出したんや

03/20

新しい春

02/20

くーちゃんはみんな知っていたのだと思います。

01/20

白雪姫プロジェクトに寄せていただいたメール

12/20

大好きなゆきちゃんの夢を見ました

11/20

ダウン症のお子さんを迎えられた方へ

10/20

筆談、指談でお話する方法

09/20

ごめんな

08/20

ロベン島で感じたこと

07/20

雪絵ちゃんのこと

06/20

トックリバチの巣作り

05/20

松井選手の生き方

04/20

だいじょうぶだいじょうぶ

03/20

僕のうしろに道はできる 映画ができました。

02/20

冒険の旅

01/20

傷ついた思い出も宝物

12/20

1000人集会

11/20

渡辺のおっちゃん

10/20

お二人からのメールを紹介したいです。

09/20

白雪姫プロジェクト1000人集会。

08/20

ゆうきちゃんの涙

07/20

特別に好き。

06/20

僕の歩く道

05/20

自分の事を好きでいること

04/20

白雪姫プロジェクト

03/20

12.3.11 つながっていきる

02/20

1月27日は亡くなった父の誕生日でした

01/20

いつもうれしい、いつも幸せ

12/20

明音ちゃん

11/20

学校にクリスマスツリーを飾りました。

10/20

宇宙(そら)の約束

09/20

光ちゃんとララちゃん

08/20

一生植物状態と言われた方も意識を取り戻す方法はあるのじゃないかと思います。

07/20

ありがとうの花

06/20

七夕の願い

05/20

みんな思いをもっているから

04/20

みんな優しくできている

03/20

いきていこう

02/20

回復の大きなきざしがまたありました

01/20

開いた目に自分の顔を映しこんで話したよ

01/01

宮ぷーが倒れた

Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)などがある。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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