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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2013.05.20(第30回)
松井選手の生き方

 五月の連休には、宮ぷーは自分の家に外泊することができました。ちょうどそのときに、テレビでは、松井選手と長島さんの国民栄誉賞の授賞式が映し出されていました。宮ぷーも真剣に観ていて、そのあとニュースなどでもお二人について放送があるたびに、観ていました。国民のみなさんが喜んでおられた日だとも思いますが、私たち石川県人にとって、それはやはり特別にうれしいものでした。
 昔むかしに書いた文章ですが、松井選手のことを書いた文章があります。

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松井選手の生き方
 暮れのNHKのBS放送で、ヤンキースの松井選手についての放送がありました。選手としての功績ということではなく、作家の伊集院さんが、松井選手とおつきあいしながら、松井選手の人柄について、報道していくという番組でした。
 番組のあいだじゅう、涙がとまりませんでした。どうして、どうして、こんなに心を打たれるのだろうと思うほど、心が揺さぶられて涙がとまりませんでした。
 番組の中で、松井選手はいつもとても謙虚でした。伊集院さんが「僕の好きな松井選手の写真がある」と言うのです。それは、バッターボックスに入るときに、松井選手が、キャッチャーや審判の人に笑顔で挨拶をしている写真だと。松井選手はいつだって、敵であるはずのキャッチャーにも、審判員にも挨拶をして、バッターボックスに入ると言うのです。
 彼の周りには、日本にいるときはもちろん、アメリカにいるときにも、いつも報道記者がたくさんいます。時には「一人にしておいてほしい」と言いたいこともあると思うのです。でも、いつもいつも、松井選手は、インタビューをしている人にもとても謙虚で誠実です。調子のいいときだけでなく、悪いときにも、いつでもそうです。私はそんな松井選手の様子を見ていると、「人は人と誠実に向き合っていくべきなのだ、誰であろうと、相手に対していつも敬意を持って、接するべきなのだ」という気持ちを、松井選手が心がけているというよりは、松井選手をかたち作っているのだという気すらしてきます。
 私と、松井選手の故郷は同じ石川県です。私が住んでいる小松市と、松井選手の生まれた町、根上町はすぐお隣です。
 地元の少年たちにとっても、松井選手は大きなあこがれの存在です。それは今に始まったことではなくて、松井選手が巨人に入って活躍していたときや、いいえ、それ以前に高校野球で活躍をしていたときから、そうだったと思います。

 まだ松井選手が巨人に入団して、2、3年しかたっていなかった頃じゃないかと思います。(その当時の)私のクラスの松崎くんは、松井選手の大ファンで、毎日のように、前の日の松井選手の活躍について話してくれました。
 松井選手の実家のお隣に「松井野球の館」があります(今はベースボールミュージアム)。
 中には、松井選手のユニフォームや、優勝旗や写真などが飾られ、そこに、松井選手ゆかりの地元の企業が作っている商品(松井ゴジラサブレ、カップなど)が売られていました。
 松崎くんが、野球の館に、よく顔を出すので、松井選手のお母さんが、松崎くんに声をかけてくれたのだそうです。「松井をそんなに好きでいてくれるの? 今度名前入りのサインボールをもらっておいてあげるね。」
 そして約束通り、松井選手が地元に帰ってきたあと、館を訪れると、サインボールをプレゼントしてもらったのだそうです。松崎くんは本当にうれしそうでした。目を輝かせて、「お礼の手紙を書きたいから教えてね」と言いました。
 お礼の手紙のお返事が、松井選手から届いたのは、松崎くんが手紙を出してまもないときでした。手紙には「夢を持つことは、夢をかなえるための原動力になるから、夢を持ってがんばってほしい、応援しているから」というようなことが書かれていました。

 お正月やお盆になると、松井選手が、地元の子どもたちのために、根上の大きな会場で、ファンの集いを開催してくれます。松崎くんは握手の長い順番を並んで、自分の番になったときに、あらためてボールのお礼を言ったのだそうです。「あのね、松井選手、僕の出した手紙を覚えていてくれたんだよ。がんばってるからというと、そうか、よおしって頭をなぜてくれたんだよ。僕の本当のお兄さんみたいだよね」ってこれ以上ないほどうれしそうな笑顔で話していました。
 私の住んでいる家の近くの小学校にも中学校にも、松井文庫と呼ばれている本棚があります。そこには、名前が書いてあるわけでないのだけれど、「松井選手からのプレゼントなんだよ」と子どもたちは言います。「いつからあるの?」「うーんと昔から。今、大学生のおにいちゃんの時からあったんだって」
 松井選手はそのことを公表されてるわけではないのだそうです。それでも、みんなはそのことを知っています。
 テレビの中では、松井選手が書いた手記についても放送されていました。「今、いじめられている子どもたちへ」というような題で(しっかりと覚えていなくてごめんなさい)、松井選手は、死を選ぶことは絶対にしてほしくないということを書き、「どうしようもなくなったら、僕に手紙をほしい」と書いてあって、実際に、松井選手のところに手紙も届き、そしてまもなく松井選手から、返事が届けられたというのです。どんなに練習などでいそがしくしておられるかと思うと、胸が熱くなります。
 それから、あまりあきらかにすることを松井選手は望んでいないけれど、10人もの子どもたちの里親をしているのだということでした。松崎くんに対しても、優しい心をかけてくれたように、松井選手はその10人の子どもたちにも、きっと、生活を金銭的な面から助けるということだけでなく、どんなにたくさんの優しい気持ちを持って接しておられることだろうと思うのです。
 伊集院さんが、インタビューの中でとても心に残ったことがあったのだそうです。
 「君は、人の悪口を言ったことがないと聞いたけれど、それは本当かい?」
 松井選手は「はい、そうです。中学2年生から、人の悪口は言っていません」ときっぱりと言ったのだそうです。もう一度、「本当に悪口は言わないの?」と尋ねられた松井選手は重ねて、まっすぐに前を向いて「はい、言いません」と話したということでした。

 何をしていても、いつもいつも好調だとはかぎらないと思います。アメリカのメジャーにいて、不調な時期が続いたときも、松井選手は自分が打つことより、チームのために自分が何ができるかを考えて、精一杯の守備を見せたのだそうです。マスコミにもたたかれても、そんな松井選手を監督さんはとてもかわいがっておられて、彼を「彼は、とても誇り高い若者だ」と言っていました。松井選手は優しいけれど、優しいからいっそう強いなあ、誰よりも強い人だなあと思います。
 彼がきらいなものは「人と人が争うことですね。戦争は嫌いですね」と言っていました。
 どの言葉からも、彼のあふれるような優しい気持ちを感じました。
 きっとたくさんの人が、この番組を見て心を動かされたことでしょう。それが証拠に、暮れに見たこの番組は、リクエストの多かった番組の再放送だったのです。
 人が変われるのは、演説を聞いたり、人はこう生きるべきだというような本を読んだりした時ではないかもしれないと思いました。
 誰かに生き方を押しつけられても、人は心を動かされたり変わったりすることができないのかもしれません。

 誰かに伝えようというつもりでなく、人が真摯に生きている姿を見て、初めて、人は心を動かされ、変わることができるのかもしれません。
 雪絵ちゃんの生き方に心を動かされるのも、同じかもしれないと、ふと思いました。
 大きな宇宙は、ときどき、そんなふうに素敵な人を私たちの周りに用意してくださってるのかもしれません。
 そして、その素敵な方と出合えたときは、自分が変わることのできるチャンスなのかもしれないと思ったりしました。
 暮れの地元のテレビに、松井選手がお正月を地元ですごすために、小松空港に降り立つ姿が映し出されました。あいかわらずのたくさんの人だかりの中、松井選手は「(何日か地元で過ごすので)姿を見かけたら、声をかけてください」と優しい笑顔で言われていました。誰に対しても誠実な松井選手の一面がまた、そこにもありました。

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 もうずいぶん昔に書いた文章ですが、お人柄は本当にどんなに有名になられてもきっとかわらずにいて、アメリカの選手の方も松井選手のことをみなさんが大好きと言っておられましたね。昔があり、そして今があるんだなあと思いました。松井選手のように有名な方が、「人の悪口を言いません」と言い切られたときに、もしそれが嘘だったら「このあいだ言ってたじゃないか」ってきっとどなたかがおっしゃると思うのです。だから、本当に、自信を持って、「悪口を言いません」とおっしゃるのは、間違いないことなんだなあと改めてそのすごさを思いました。日本人として、松井選手と同じ日本人だということはとてもうれしいし、誇りを持って、いたいと思いました。そしてむずかしいことだけど、私も、自分に恥じないように生きていきたいなあと思いました。



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Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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