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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2012.04.20(第17回)
白雪姫プロジェクト

 「廃用症候群」という言葉をご存じでしょうか?
 下の文章は「白雪姫プロジェクト」に載せられている文章です。

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 廃用症候群について「寝たきり」というものは、なっていくものではなくて、「寝かせたまま」にしていることで作られたものだ。

 人間の身体的・精神的機能は使わないと衰えて行くことが知られています。健康な人であっても、安静で寝たままの生活を送っていると、筋力はどんどん低下し、さまざまな症状が現れてきます。

 これまでは、病気の人は寝かせておかないといけないし、安静が大切であるというような常識がありました。けれど、これはアメリカなどでは早いうちから、起こしていくことが大切だということは、言われてきたのです。
 もちろん、反対意見はたくさんあったと思います。唾液を誤嚥(ごえん)したり、あるいは、お年寄りの骨粗鬆症の方の骨折などのリスクも確かにあります。
 しかし、かなり長い間、寝たきりであっても、起こしてゆくことにより改善していく人が多くあって、今では、寝かしたままにしておくと廃用症候群という状態になるのだということが、広まってきました。

 実は、わたしたちの体は、常に重力の刺激に抗(こう)して体を支えています。このことが私たちの体には、とても大切なことなのです。筋力を維持するだけでなく、関節を動かさせ、骨に刺激を与えて丈夫にしているのです。もうひとつ言われていることは、頭の重みがしっかりと背骨にかかるようにすることの大切さです。座位をとっただけで、何日かの間に、意識障害が改善したという例はいくつも報告されています。

 起きていると、足が低い位置になり、頭は高い位置になります。そのことが、心臓を活発に活動させて血液を送り出すことにつながります。また、胸郭が動きやすくなり、肺にもより多くの空気がはいることになります。また、脳幹は体の重心を感じることで活発になると言われています。さらには、座ることでバランスを取ろうとすることが、脳幹の働きには重要になってきます。脳幹は生きる部分での大本ですから、内臓をきちんと動かすことや、手や足に刺激を送る上でもとても重要なものなのです。
 よく例にあげられるは、無重力状態にいる宇宙飛行士の話です。宇宙空間という無重力の状態の中で過ごすと、たとえ1週間程度でも、重力のある地球にもどると、歩くどころか、立つことすらできなくなっています。宇宙飛行士が絶え間なく運動を続けるのはそのためです。

 寝た状態が長く続くと、重力などの刺激を受けなくなって、筋力が低下し、関節は固まり、骨がもろくなり、精神的活動も低下し、嚥下(えんげ)などにも障害が起こってきます。つまり、筋力低下、筋萎縮、関節拘縮、骨そしょう症、心肺機能低下、起立性低血圧、精神的活動の低下(痴呆の進行)、じょくそう、尿路感染、うっ血性肺炎などさまざまな病気を引き起こすことになるのです。
 そのようなことを考えてみると、「寝たきり」というものは、なっていくものではなくて、「寝かせたまま」にしていることで作られたものだということがわかってきます。

 そういう意味でも、できるだけ、頭の重みをしっかり背骨に載せるようにして、車いすなどで座るということはとても大切なことです。
 関節が固まらないように、関節可動域の訓練を行っても、寝たきりにしておけば、関節は固まってきます。自分の足で踏ん張って筋力を使わないと、関節は働かないのです。
 車椅子に座れば、膝や、股関節、足首が直角に曲がります。振動によって、関節に力が働き、足首の尖足の予防にもなります。また、寝たままで拘縮された肘も重力で自然と伸ばされていきます。その他にも、車椅子に乗ると、背筋力がついたり、首の筋力も使うことになります。移動することで、精神にも大きな刺激となっていき、車いすは乗るだけでもとても有効なリハビリと言えると思います。  清音クリニック院長 長谷 敏明
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 きっと驚かれた方も多いと思うのです。寝たまますごすと、数日でもう、いろいろな体の機能が衰えはじめ、そしてそれが続くと、たくさんの病気につながっていくのです。けれども、人の体は、使わないで横にしておくと、どんどん衰えていくけれど、体をしゃんと立てて、動かせば、また回復して行く力があるのです。
 2009年に脳幹出血で倒れた宮ぷーのリハビリに毎日出かけるようになったときに、私に力をくれたのは、これまで出会った子どもたちが教えてくれたことでした。子どもたちはいつも、どんなに重い障害があったとしても、誰もが思いをもっているのだということや、人や脳は、あきらめなければ、きっと回復していくものだということを教えてくれました。それが、どんなに大きな力になったでしょう。けれども、みんなに思いがあり、そして、回復の可能性があるということは、おそらくは一般的な常識にはなっていないのだと思います。

 ふた月ほど前のことでした。ある建物の中で、お一人のおばあちゃんがおられたのです。知らない方でしたが、「おはようございます」と最初お声をかけたときは、どこか遠いところをみておられるようでしたが、もう一度「おはようございます。雪がすごく多くて」と声をおかけしたらぱっと私の方を見て、しっかりと見て、口を動かされました。あ、何かおっしゃりたいんだ。そう思って、おばあちゃんに、「お外みますか?」とお尋ねしたら、また口を動かされました。「おばあちゃん、見たいなら口を動かして」とお願いすると口を動かしてくださったのです。それで、少し車椅子を窓のほうに持って行ったら、おばあちゃんは、外をじーっとごらんになりました。
 そのときおばあちゃんの目から涙があふれました。雪を見られたから? それとも、気持ちが通じたから? 私もおばあちゃんの涙を見て、ぽろぽろと泣けました。ちょうど来られた方に、うれしくて、そのことをお話ししました。
 けれど、その方は「ばあちゃんは、なにもわからんよ。わからんようになってしまった」と言われました。私が「意思を伝える方法はあるんです。私お伝えできます」と言いました。けれど、その方は「もうこの人は年寄りやから、仕方がないわ。そんなことしなくても、いいわいね」と言われました。おばあちゃんがスーッとまた、遠いところをみておられるような表情になっていくのが私にはわかりました。
 私は「そんなことないです。何歳だから、もういいってそんなことないです」と言って、つい泣いてしまいました。泣いてしまって、申し訳なかったです。でも、私は、思うのです。私の母はあの方よりは年上です。たぶん。でも、母が、もし心の中に気持ちを持っていて、思いをつたえられないようなことがあったら、それがたった一日でも私は嫌です。
 母がどんなにつらいだろうと思うのです。何歳だからいいってことないもんって思うのです。絶対にそうだもんと思うのです。このおばあちゃんのように、思いを伝えることや回復をあきらめておられる方はたくさんおられると思うのです。

 4月1日に「白雪姫プロジェクト」のホームページをたちあげました。そのページの説明の文章です。

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 白雪姫プロジェクトとは・・・・・・・・・・
 病気や事故のために、意識が無く、回復の見込みが少ないと思われてきた「植物状態」と言われる人たちが世界に何十万人もいるといわれています。 その方たちは、これまで、ベッドで長い間寝たままの生活を送ってこられました。
 けれど、意識を取り戻し、食べる、思いを伝えるなどの生活行動を取り戻すための方法があることがわかってきました。
 白雪姫プロジェクトは、回復の方法や、それにつながる意思伝達の方法、口から食事をとること、リハビリの方法、介護の方法などの情報を集め広めるプロジェクトです。
 私たちは、「誰もが思いを持っていて、回復する可能性がある」ということが当たり前になっていく世界をめざします。
 白雪姫は王子さまの愛によって、目覚めることができました。
 白雪姫プロジェクトはそんな愛でいっぱいのプロジェクトです。
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 握力7キロ、背筋力13キロという私でもできる車いすの移乗の方法なども動画で載っています。思いを伝える方法や、10人のイラストレーターが書いたおはなしノートのダウンロードもできます。私は「知らない」というそれだけのために、思いも伝えられずあきらめてしまっている方がおられることが、本当に我慢ができないほどつらいのです。ぜひ、白雪姫プロジェクトのページを見て、必要な方に知らせていただけたらうれしいです。


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手をつなげば、あたたかい。
著書『手をつなげば、あたたかい。』

・今度新しい本を出しました。こころがあたたまる本です。
『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版 山元加津子著 1,470円)



★ 山元加津子と仲間たちとのおかしな毎日を綴る
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Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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