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エチオピア北部の街ラリベラにて。
同時刻の月(左)と日の出(太陽・右)

船井勝仁の直感のすすめ

このページは、(株)船井本社社長の船井勝仁によるコラムページです。
船井勝仁は「これからは、これまで私たちを縛りながらもある意味、守ってくれていた過去の“常識”はもう通用しなくなり、各々が、自分で考えて、意思決定し、自己責任で行動しなければならない時代になる」と考えています。

そしてそのような時代に、すべての人に一番求められるのが“直感力”だと考えています。
このコラムは、2013年3月に(株)船井本社に入社したばかりの、目に見えない世界のことなど全く知らない30代前半のステキな独身男性・Kくんに、“直感力”を分りやすく説明する形で展開していきます。

2013.05.01(第3回)
感情のコントロール

 今回もK君にまず私の話した内容をまとめてもらいました。前回は私の原稿をまとめる時の指示の仕方がよくなかったので、彼から上がってきた原稿を見てちょっとがっかりしてしまいました。でも、今回はほぼ完璧に私の意図を汲んだ原稿を書いてくれており、これは彼が成長したと言うよりも、私の指示の出し方がいけなかったのだ、ということがよく分かりました。
 実は仕事において、こんなことが山ほどあるのではないでしょうか。経営者や上司は自分が言ったことを部下は分かってくれているはずだと思ってしまいますが、それが相手に伝わっていなければ、正確な指示を出したことにはならないのです。2回目になると、最初の私の反応やできあがった原稿を見て、勘のいいK君は見事に80%程の完成度に原稿の改善をしてくれたのだと思います。

 そして、スピリチュアルな分野や直感力の分野では、もっとそのことが言えるのだと思います。セミナーやワークショップに参加して感動し、それを周りの人に伝えようと思ってもなかなか伝わりません。それは、実はあなたが勉強してきたことを消化していないので、相手に伝わっていないのではないでしょうか。
 原稿を書かせていただいたり、講演をさせていただいたりする機会が増えました。そこでよく失敗するのは、自分がまだ消化していない内容を話して、全然伝わらなかったな、と感じることです。昔、アメリカの大学に留学していた時に、経営学の授業なのに物理の不確定性原理の話が参考になると思ってプレゼンで話をしようとしたことがあります。当時の私には日本語でも理解できていなかったのですが、日本語の場合はあやふやな所があっても許してもらえるのですが、アメリカでは全然ダメでした。
 先生のコメントは「全く違う分野からの引用で分かりやすくしようとした努力は認めるが、自分が理解できていないことを発表することはやめた方がいい」という厳しいものでした。ときどき、講演が上手く行かなかったなと思った時にこの出来事を思い出します。
 日本では、正直に言うと、自分があまり理解できていないことを講演の場で話しながら、そこで理解が深まるということが多々あります。他人に伝えられるようになってはじめて自分が理解したことになるのですが、世界標準では、しっかりとした準備が不可欠なのです。
 ただ、特にスピリチュアルや直感力の分野では、私は日本流の曖昧さが入る余地がある方が向いているのでは思います。なぜなら、基本的に目に見えない世界は非論理の世界だからです。あまり準備し過ぎると、論理の理屈の世界にはまってしまい、本質からどんどん遠ざかってしまいます。一流のアメリカ人の著者が書くスピリチュアルな本は、屁理屈になってしまうという点すらも見事に克服していますが、その代わりとても難しく、なかなか理解できなくなってしまいます。
 だから、読者の方の大半は日本人だと思いますので、日本ではにんげんクラブのような自分の本音をぶつけあっても安全なコミュニティをまず作り、その場で試行錯誤しながら自分が学んで感動したことを自分の言葉に変えて他人に伝える実践をやってみてもらえば思います。自分の言葉でスピリチュアルなことが発信できてそれが伝わった時、あなたの直感力はかなり高いレベルになっているのです。
 それでは、この辺りでK君の原稿をご紹介します。前回は、かなり赤を入れたのですが、今回はそのまま原文通りの原稿でご紹介します。そして、最後にまた少し私がコメントを入れさせてもらって終わりにしたいと思います。

(K君のレポート 引用開始)

 皆様こんにちは。船井本社のKと申します。前回初めて「船井勝仁の“直感”のすすめ」に参加させて頂きましたが、あっという間に第3回目(私は2回目)の時期となりました。
 前回は、勝仁社長から「内容が全く伝わっていなかった」と少し厳しい評価を頂きましたので、今回は少しましになっているとコメントをいただけるようにお話しをさせていただきたいと思います。

 今回のテーマは「感情のコントロール」についてです。

 前回の内容と同様になりますが、日常生活において自分と相性が悪かったり、考え方が大きく違っていたりすると自分にとって(恐らく相手にとっても)大きなストレスになります。プライベートなどであれば少し距離を取ってみる、もう限界であればこちらから一切近づかない、といったような方法でそのストレスを軽減させることができるでしょう。
 けれども仕事上の関係ではなかなかそうはいかないものです。自分自身が社長にでもなってある程度融通がきくようになればそれも可能かと思いますが、私のような入社したばかりの者や、企業にお勤めをされている大多数の方々にはまず無理ではないでしょうか。
 そんな時私は今まで、一度冷静になりこう思うようにしてきました。
 「私はこの人を嫌いではない」と心で念じることです。それは自分にも当然悪いところはあるし、これからお互い分かりあえば、徐々に仲良くなれるはずだと自分に言い聞かせるためです。「自分が相手に対して苦手意識を持つと、それが相手に伝わり相手もこちらに対して似通った感情を抱き、負のスパイラルに陥ってしまう」と書店に置いてある自己啓発本などにもよくこのような内容が書いてあったので、このように考えるようになりました。

 しかし勝仁社長は、「自分が抱いた相手に対する嫌悪感、苦手意識、相手を恨んでしまうようなマイナスの感情を自分に嘘をついてまで押し込めては駄目だ」とおっしゃいました。
 相手に対して腹が立ったらその気持ちをまず自分の中で素直に受け止め、相手にもその気持ちを伝えていくことが大切だというのです。
 さすがに頭にきた相手に殴りかかったりすることは論外ですが、落ち着いて相手に「私はあなたに対してこういったことで腹が立っています」と説明していくと、その場では険悪な雰囲気になるかもしれませんが、相手に自分の真意が伝わります。何より自分自身に対して正直にいられるので自分の心にも優しいわけです。

 確かに、苦手な相手と無理して付き合い続けるよりは、嫌いは嫌いなのだと素直に認めて付き合っていく方が自分が無理をしていない分、楽に続けていくことができると思います。もしかしたら本当に仲良くなれるかもしれませんし……。

 私は今まで、自分が我慢して穏便に済むならそれで良しとするように考えてきましたが、今後は、自分の心に正直になって、少しだけ楽に生きるために徐々にやってみようかと思います。
 相手に対して、良いことばかりではなく、言いにくいことや期待外れのことを言うのは正直、勇気がいりますが、冷静に感情をコントロールすることができるようになって、相手の思いを大切にしつつ伝えていくことができれば、自分にも相手にも良い結果が訪れるのではないでしょうか。

(引用終了)


 私がK君に伝えたかったのは、「(ネガティブな)感情の解放」の話でした。これは、私の著書などをお読みいただいている方にはお分かりいただいているかもしれませんが、前田知則先生に教えていただいた「心のデトックス」という手法が基本になっています。
 前田先生は、私たちは幼児の時に形成された自分の負の感情に従って生きている。例えば、怒りの感情が優性な人はいつも怒りで物事の結論を出してしまう、と言うのです。

 しかし、いい人生を生きようと思うと、感情にコントロールされるのではなく、感情をコントロールするようにならなければいけません。そのための第一歩として、まず自分の感情を見つめることから入ればいいと言うのです。
 ネガティブな感情が湧いてきた時、人間は3種類の行動を取ります。
 まずは、感情を爆発させるという行動です。例えば、怒りの感情が湧いてきたら、その怒りを「ちゃぶ台をひっくり返す」という行動として表してしまうのです。これは、もちろん、余程の優位な立場にない限り、人生の破滅に向かってしまいます。
 2番目の行動は、感情が湧いてきてもそれをじっと耐えて我慢するという行動です。ほとんどの人はこの行動を取っています。しかし、実はこれは感情を爆発させるよりも、感情解放という面では良くない行動です。なぜなら、少なくとも感情を爆発させれば、それで一度はチャラになるのですが、我慢するとそのネガティブな思いをどんどん貯めこむことになってしまうからです。そして、我慢の限界を超えた時に、考えられないような行動に出てしまったりするのです。
 3番目の行動が、前田先生が「心のデトックス」の根本に捉えている、自分の感情を行動に表すのでもなく、我慢して貯めこむのでもなく、それをじっと見つめて味わう、という手法です。これがK君に書いてもらったことですが、K君の文章だけを見れば、ちょっと危険性も感じるので補足したいと思います。
 まず、感情を味わうことと我慢することは一見とても似ています。しかし、隠そうとして見ないようにするのか、正面から捉えてそこから逃げないようにするのかが違いの大きなポイントです。正面から捉えるためには、まず自分のネガティブな感情を認めてしまうことが一番大切になります。そして、ホ・オポノポノにも通じますが、そんな自分を愛おしく思って、ネガティブな感情を持たせてしまった自分に対して、感謝し、謝罪し、許しを請い、そして愛情を捧げるのです。
 ここでは自分に対して行動することがポイントになります。

 社会生活を営む上で大半の悩みは、人間関係から来ています。他人を変えようというアプローチをしている限り、人間関係はほとんど改善されません。しかし、自分を変えようというアプローチができた瞬間に驚くほど、人間関係は変化していきます。これは、実践していただいて実感していただかないと、なかなかご理解いただけないと思います。でも、他人を変えることに比べれば自分を変えることは簡単です。
 K君は、相手に対するネガティブな感情を相手に伝えてしまったほうがいいと書いていますが、そこまでやると危険です。だから、自分の意識の中にいる相手に向かって、「あなたのこと、苦手です」と伝えればいいのです。そして、プラス発想の考え方が浸透している読者の皆様は、そんなネガティブ発想をしてしまう自分に対して嫌悪感を持ってしまうので、そんな状態に追い込まれてしまった自分を認め、許す、そしてできれば感謝と謝罪を自分に対して行えばいいのです。
 繰り返しになりますが、相手に直接悪い感情を伝えるのではなく、自分の中にいる相手に対してそれを伝えるのです。自分の中にいる相手は難しいですが、ちょうどいいテーマなので、次回のK君へのレクチャーにしたいと思います。
 感情解放という、とても難しいテーマをここまで上手くまとめてくれたK君に今回も大きな感謝をしたいと思います。
 感情解放ができなければ、なかなか直感力は身につきません。そして、直感力が身につかなければ、これからの激変の時代に上手く生きていくのは難しいことは確かなのです。


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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)、『失敗から学ぶ』(2012年7月海竜社) 、『未来から考える経営』(2012年10月 ザメディアジョン)などがある。
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