加治将一の精神スペース

このページは、作家でセラピストの加治将一さんによるコラムページです。加治さんは、『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)などの歴史4部作が大反響を呼ぶ一方で、『アルトリ岬』(PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(ビジネス社)などのカウンセリング関連の著書も好評です。そんな加治さんが、日々の生活で感じること、皆さまにお伝えしたいことなどを書き綴っていきます。

2012.01.20(第13回)
虎の子のカネは「アンティーク・コイン」にぶち込め! その2

 この世に、大変なことなどめったに起らないのに大変なことが起きました。
 昨年の秋のことです。場所はスイスでのコイン・オークション会場。
 通常の熱気を通り越しての異常といったら、殺気を感じるほどでありまして、つまり買う気マンマン、熱気ムンムン、驚くほど湧きかえっていたのです。
 やはりユーロ通貨危機です。
 どうなるか分からないユーロ通貨の将来を捨て、その一部をアンティーク・コインに変えるために眼を血走らせているのは明らかでした。財産保全用に少しでも多く分捕ろうという魂胆です。
 秋から冬に変っても、異変は続きます。
 寒いスイス、オークション会場。外気とは打って変わって、やはりムンムンですが、妙な人たちを幾人も見かけたのです。

 アメリカ人です。
 スイスのオークションに、アメリカ人のバイヤーなど珍しくありません。しかし、それがみなさんド素人となると話は別です。
 コインのコの字も知らないくせに、大金を抱えてごっそりと売ってくれと囁(ささや)くお人がうろついていたのですね。
 「これはいったい、いかなる現象なのか?」
 ヨーロッパ経済が重病で、アメリカも感染し、吐くほどになっているのかなと一瞬思ったのですが、僕は敏の腕です。すぐにピンときた。

 そう、スイス銀行の方針転換です。
 なんとスイス銀行がアメリカ政府の圧力に屈したのです。伝統と歴史をかなぐり捨て、秘密の匿名口座をやめちまったのですよ。すなわちリストをアメリカ当局に渡すことに決定したのだからさあ大変、蜂の巣を突いたようなてんやわんやです。
 世界の超富裕層に電撃が走っていた。小金持ちの僕はまったくの無関係でシビレませんが、なぜか超富裕層でもない僕にも、そのニュースは耳に届いていたからピンときたのです。
 スイス銀行の匿名口座に預けているというのは、公明正大なるおカネではありません。叩かれれば、いくらでも埃(ほこり)がでてくる、いわばヤバイ裏ガネ。
 パニくるのは当たり前といえば当たり前の話で、即、匿名口座から動かさなくてはならない事態に陥っていた。
 リミットは今春です。
 怪しげなおカネですから、他の銀行に移すわけにもいかず、かといって何十億、何百億という現物をキャッシュで保管することなどとうてい考えられない。
 カネ持ちにはカネ持ちの悩みがあるのですね。
 そこで手っ取り早く、アンティーク・コインに替えちまおうと考えたアメリカ超富裕層がうろついていたわけです。
 謎が、すっと解けました。
 これから世の中とんでもないことになりますが、これからならまだ間に合います。洗いざらい話すのでよく聞いてください。

 さて、そこでお待ちかね、コインの買い方です。
 買い方は三つあります。

    コイン店

 日本にコイン・ディーラー(コイン店)は、100以上あります。
 問題は信用です。
 眼の前に出されたコインが、本物かどうか?
 店主が知っていてニセ物を扱うなら、これはもう立派な犯罪なので論外ですが、店主の目利きがなく、店自体が騙されている、という情けないコイン店も無きにしもあらずで、注意が必要です。
 気掛かりは、やはりその価格です。
 適性相場なのか?
 誇大妄想的価格で掴まされた日にゃあなた、お気の毒な結果は眼に見えている。

 売る場合もディーラーに持ち込めば、商売ですから喜んで買い取ります。この時も問題は値段です。
 実り多き人生をまっとうするためにも、ディーラー(店)選びで押さえるべきは押さえる必要があります。
 ディーラーを間違えると夢は潰れます。注意点とコツは、後の別の機会に述べます。まずは売買できる場所を先に説明させてください。

    コイン・オークション

 二つ目の方法はコイン・オークションです。
 東京、ニューヨーク、チューリッヒ、ロンドン……世界中でコイン専門のオークションが開かれています。規模の大小を取り混ぜると、毎日世界のどこかでやっている。
 だれでも参加でき、買えるし、売れます。
 コインを高く売るには、オークションの出品を勧めます。
 この仕組みや賢い利用法も、後ほどじっくりお教えします。

    同好会での物々交換

 キャリア、ウン十年ともなれば、とことんコインを味わいたいという人たちですから、同好の士とも知り合いになるでしょう。
 自然発生的にプチ・サークルができることもあります。
 わいわいと楽しみながら物々交換をする。
 民族性なのでしょうか、世界ではよく見られる光景ですが、日本人はどうもその辺がオープンではなく、ショボイ。
 それでも都内や地方に小規模なものがあるようです。
 それを捜して参加させてもらうのも、一つの手であります。
 難点は値段。
 仲間内価格に据え置かれるので、無難と言えば無難ですが、その代り自分が売る場合は、期待はできません。
 まあ物々交換が主ですから「無難」はお互い様、コーヒーでもすすりながら趣味と実益と親睦を兼ねた楽しい一時と割り切ることです。
 しかし案外ここに、長い間捜し求めていた、何ものにも代えがたい至福の桃源郷を見つけられるかもしれませんね。
 趣味を同じくする仲間内での、いい時間です。自慢の一品に話の花を咲かせれば、人生の嫌なことはぜんぶ忘れます。
 ただし、そんな同好会が身近にあればですが。

    どんなコインがいいか

 難題なので、少しずつ絞っていきます。
 その前に、この種類だけはやめておいた方がいいという僕のアドバイスに耳を傾けてください。
 なぜ、そんなことが断言できるかですって?
 すなわち僕は、自分のこととなると本気になって考える人間で、その真剣なる独断と偏見が、ゼロから出発した僕を悪戦苦闘もなく「小金持ち」にしたのですから、ほとんど的を得ているという確信があるのです。
 それに人一倍「金運」もある。鵜呑みにすることを勧めます。
 では、いきます。

    記念メダル

 「記念メダル」は僕の性に合いません。
 コインではありませんよ。あくまでもメダルなので、ご注意を。
 「えっ、記念メダルってなに?」
 はいはい、お答えします。メダルとコインの違いはなにかというと、法定通貨として金額が打ってあるかどうかです。
 「記念メダル」は、さほど歴史的意味もないのに無理やり取って付けたように発行します。
 たいがいフランクリン・ミントやボブジョイ・ミントなどという製造会社や、イギリス王室造幣局という常連筋が絡んでいます。
 もう一度いいますが、金額の刻印なし、というのがメダルです。
 したがって貨幣ではなく、いうならば銀製品、金製品です。
 コイン・コレクターというものは通貨一筋、コインだけを追う人種ですから「製品」ならば敬遠します。おおむね手を付けません。
 つまり最初から、「記念メダル」というのは見込み客を地金金収集家と記念好きの市井の人にしぼっているのですね。

 金額が刻印されていないのに、価格はどうやって決定するのか?
 目安は地金の相場です。
 金貨ならゴールドの地金相場、銀貨ならシルバーの地金相場が反映され、その後は、需要と供給のバランスで上がったり下がったりします。
 変動こそすれ、値幅は広くない。ご存知のとおり、ゴールドにしてもシルバーにしても相場の上下幅が知れたものだからです。
 それを考慮すれば、おのずとやさしい投資になります。

    記念コイン

 「記念コイン」は、どうでしょう。
 「日本万博記念コイン」「札幌オリンピック冬季大会記念コイン」「沖縄海洋博記念コイン」……などたくさんありますが、こちらはコインですから法定通貨です。
 つまり金額が、しっかりと刻印されているのです。
 東京オリンピック記念銀貨を見てみます。
 額面は1,000円。
 たとえば1964年発行の1,000円銀貨は、銀相場の値上りにつられて、ぶったまげたことにそれを追い越し、2万5,000円の値を付けました。9年後に25倍になったのです。
 バブルですね。素人が参入してのバブルですから、あっという間にしぼみました。
 現在は2,000円から2,500円です。
 「2倍以上だから、これでよし」
 1,000円で買ったなら、それでハッピーな人がいるでしょう。
 それはそれで、いいと思います。
 人生やりたいようにやればいいのですが、しかし、50年でたった1,000円の儲けですよね。
 すなわち年2パーセントの利回りで、まあ銀行金利よりはましとしても、投資としてはショッパいものです。
 なぜショッパくなったかというと、原因はオリンピック記念コインの発行枚数にあります。
 数が、なんと1,500万枚。
 記念コインにあるまじき品のない莫大な数字で、これでは抜け上がらないのも道理です。
 日本の、とあえて日本を付けますが、日本の大蔵省(財務省)は、コイン収集家、愛好家の心理というものをまったく考慮せず、チャンスをやろうとか、遊び心をくすぐってあげようとかいう洒落っ気はゼロ。
 これではコレクターの虐待です。
 日本のお役人は人によりけりですが、おおむねこうやって、ささやかなる庶民の趣味をもぎ取っては、味気ない世の中を造っているのですね。
 他人様はどうか知りませんが、僕との相性はあまりよくありません。

    地金型コイン

 「地金型コイン」というのもあります。
 地金のことを英語で、ブリオン(bullion)というのでブリオン・タイプともいいますが、コインの型をした金塊です。
 ブリオン・タイプはコインですから、金額が刻印されています。
 しかし、たいがい金の含有量がコインの額面より高いので、表示されている額面に、実質的な意味はありません。
 分かりますか?
 たとえば1万円と刻印されているのに、地金として売れば3万円という感じです。
 だから最初からその辺の値段で、取り引きされます。
 このタイプは毎年補充されます。
 補充、補充、追加、追加で天井がなく、つまり希少価値ゼロですから値上がりは期待できず、もっぱら財産保全の「タンス預金」用です。
 売買価格は、ほぼ地金相場に連動します。したがって、やはりいくら上がってもたかが知れていてせいぜい地金相場の2倍。それを超えることは、めったにありません。
 有名どころはゴールドの産出国、南アフリカが1967年に発行したクルーガーランドです。
 続いて1979年のカナダのメープル・リーフ、米国のイーグルとかオーストリアのウィーン・フィル・ハーモニー金貨、チャイナのパンダ金貨です。
 82年のパンダ金貨は、地金価格の2倍になりました。
 これは珍しいことですが、発行枚数が2000枚と、極端に少なかったので人気が出たのです。
 絵で言えば毎年印刷するリトグラフみたいなもので、わき目も振らず収集するアイテムにはなじまず、筋金入りのコイン・コレクターの受けはあまりよくありません。
 ブリオン・タイプは財産保全用だと割り切ることです。

    チャイナ・コイン

 次に僕が避けているのは、チャイナのコインです。
 チャイナには4000年の歴史があるので、さぞ珍品がざくざくあるのではと、涎(よだれ)を垂らすかもしれませんが、意にはからんや、退屈なのです。
 おもな原因は、チャイナの銅文化でしょうね。そしてコインのデザインです。肖像や絵柄はなく、漢字オンリー。
 漢字と銅という組み合わせは味気ない。
 これが欧米コレクターの感覚です。その結果チャイナ・コインは、安値の数コインとして一山幾らの扱いでした。
 それに加えてチャイナ全土を吹き荒れた「文化大革命」です。
 御記憶の方も多いと思いますが、騒ぎのタネはガチガチの毛沢東思想ですが、問題は「紅衛兵」というはな垂れ小憎集団です。
 このガキどもが傍若無人に暴れまくって、文化的なものを徹底的に破壊焼却した時代がありました。
 1966年から約10年間です。
 イナゴのように文化という文化に襲いかかり徹底的にやったのです。アンティーク・コインも例外ではありません。
 美術館、博物館の館員たちは、展示保管している貴重なコインを、こっそりと持ち出して避難させました。
 緊急避難先は何を隠そう、はるばる海を越えた日本です。
 その結果、日本に珍品が集った。したがってチャイナ本土に空ケツ状態です。

 それにこれまたご存知の、実にけしからんコピー文化です。
 法とモラルが乱れ、贋作(がんさく)文化花開くコピー国家。なんでもありです。
 コレクターにとってはこれほど危険な領域はない。北京や上海での古銭店で、よく日本の観光客がニセモノを掴まされていますが、正直これが現状です。
 ヒヅメの音を聞いたら馬がいると思え! チャイナ・コインを見たら贋作と思え!
 世界中のコレクターの頭に定着していることです。そうなると誰も食い付かない。
 それでもそこは地産地消といいますか、チャイナの富裕層が血眼になりはじめたのは、今からほぼ5年ほど前。もともと投機大好き投資大好きという国民ですから、わっとコインに群がりはじめました。
 一年に4、5倍の高騰はざらで、ひどいのになると7、8倍にも上がって、やはりバブルです。
 僕はそこに危うさを感じます。よほどのことがあったとしてもチャイナものには手を出しません。

    日本コイン

 では、日本のコインはどうでしょう?
                             続く

【お知らせ】
 いよいよお待ちかね。『倒幕の紋章』が加筆と進化をとげて、PHP文庫定価740円(税込)として、1月17日発売されました。
 『亘理伊達家の家臣・奥平長次郎は、支配筋の氏家忠助から消えた三万両の探索を命じられる。長次郎が向かったのは、異人たちが闊歩する横浜・関内。そこでは、攘夷か開国か、幕府か朝廷かで揺れる幕末日本の動乱を見据え、外国の様々な勢力が蠢(とどろ)いていた。接近する外国工作員。やがて長次郎は日本の命運さえ握る「謎の結社」と邂逅(かいこう)する! 驚愕の展開から目が離せない著者渾身の歴史エンターテインメント』。
 ね、面白いのが伝わったでしょう? ノリノリで蜂鳥のようなキータッチで書いた小説、ぜひ読んでちょうだい。
★加治将一著『倒幕の紋章』(PHP文庫 740円(税込))

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Profile:加治 将一(かじ まさかず)

作家・セラピスト。1948年札幌市生まれ。1978年より15年間、ロサンゼルスで不動産関係の業務に従事し、帰国後、執筆活動に入る。ベストセラー『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスキー)、評伝『アントニオ猪木の謎』、サスペンス小説『借金狩り』、フリーメーソンの実像に迫った『石の扉』(以上三作は新潮社)など多数の著作を発表。『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)の歴史4部作は大反響を巻き起こし、シリーズ 50万部の売上げ更新中である。その他、カウンセリング小説『アルトリ岬』(2008年 PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(2010年 ビジネス社)などがある。
2011年4月に最新刊『陰謀の天皇金貨』(祥伝社刊)が発売。

★加治将一 公式音声ブログ: http://kajimasa.blog31.fc2.com/
★加治将一 公式ツイッター: http://twitter.com/kaji1948

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