加治将一の精神スペース

このページは、作家でセラピストの加治将一さんによるコラムページです。加治さんは、『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)などの歴史4部作が大反響を呼ぶ一方で、『アルトリ岬』(PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(ビジネス社)などのカウンセリング関連の著書も好評です。そんな加治さんが、日々の生活で感じること、皆さまにお伝えしたいことなどを書き綴っていきます。

2012.11.07(第22回)
マナーについて。

 最近目にした新聞記事。
 『電車の中での化粧は、是か否か』
 時々いますねえ、コンパクトの一点を凝視して、アイ・ラインを書きこんでいる女とか、物凄い形相のルージュ引きが。
 いつ頃出現したのでしょうか、僕の若いころも、中年のころも記憶がありません。
 気が付いたら、何を考えているのか分からない電車化粧女がいたのです。
 時代というやつが、若い人の許容範囲を広げたのでしょう、おばさんや、おじさんにとっては見苦しい行為ですが、まあ、見なきゃすむだけの話ですから、口泡飛ばしての論争に価値はない、と僕はあきらめております。
 それよりもっと迷惑なものがあります。

 路上喫煙、新幹線ホーム喫煙ですね。
 ふぁっと一瞬に襲ってくる煙は、避けようがない。
 気管支炎や喘息の人にとっては、迷惑千万を通り越して深刻です。煙害は嗜好では片付けられない問題です。
 考えてみてください。
 マナー以前に、あれだけの健康被害を放置していいのでしょうか?
 これだけでも充分、発売禁止に値しますが、そのうえに全国各地で引き起こすとんでもない火災の悲劇。人間は焼き殺すし、年間、500億円もの財を灰にしてしまうしまうし(あくまでも僕の推定金額ですが、もっと多いでしょう)、こんな煙草を、国が認めているですから不思議です。
 万人の敵を、行政が公然と認める場合、理由はただ一つ官益です。
 人の幸せより、官の幸せが大切なのですよ。

 賭博がそうです。
 ギャンブルには麻薬と似た効果があり、絶対歯止めのかからない脳を持つ人間は、けっこうあちこちにいるものでありまして、すなわち庶民の生活を壊す可能性があるので、「禁止」という選択は正しいのです。
 家庭崩壊、人生破産。
 それを逆手にとって、たとえ1000円の掛け金であっても、厳罰をもって臨むわけですが、国の本音は、庶民を思ってのこととは別にあります。おカネです。
 その証拠は、白昼堂々と行われている公営賭博。
 一方では「生活を壊す可能性がある」と禁止しておきながら、目を外に向ければ、おびただしい公営賭博場のオンパレード。
 唖然とするご都合主義、競馬は農水省、競輪とオートレースは経済産業省、競艇は国土交通省、サッカーは文部科学省、パチンコは警察庁。管轄官庁は、それぞれ胴元となって、きっちりとあがりを分け合っているのですから、官益ならば庶民の生活を壊してもいいのであります。
 あれっ、なんの話しでしたっけ。
 失礼しました、迷惑の話しでした。

 迷惑と言えば、何度も言いますが新幹線や電車のアナウンスも過剰です。
 これって日本人は、気にならないのでしょうかね。うるさいという声はぜんぜん聞こえず、半ば許容します。僕はダメです。
 「この電車は〇〇行きです。停車駅は〇〇駅、〇〇分、〇〇駅、〇〇分、〇〇駅、〇〇分・・・全席禁煙、御遠慮ください・・・携帯はマナーモードで・・・お手洗いは〇号車・・・」
 こっちは疲れて眠っているのに、やれワゴンが通るだの、やれゴミは捨てて帰れだの、やれ忘れ物に気をつけろだの・・・やれ座席の背は元に戻せだの・・・余計なお世話です。
 欧米の感覚からみれば、異常の一言。
 日本の友人に訊くと、てんで気にならないのだという。びっくりして訊き返すと、あっさりとこう答えたものです。
 「別に、聞いてないもの」
 恐れ入りました。
 友人はこう続けます。
 聞くとか、聞かないとか以前の問題で、由緒正しき日本人は、脳が進化しているため、新幹線、電車、飛行機、エスカレーターのアナウンスは、耳栓なしでも聞こえなくなるというのです。
 「聞いてないなら、やめればいいのに」
 むろんアナウンスする会社側も、そんなことは百も承知だと友人が答える。
 「それはだね、なぜ無駄な、ただうるさいだけのことに手間暇かけて続けるかというと、保身なのですな」
 本気度ゼロ。
 一応、ぐだぐだしゃべっておけば、後になって事故があったり、難癖をつけられたりした場合「弊社は事前告知をしっかりとしており、当方に落ち度はありません」とかなんとか言って、少しでも言い逃れができるからだそうで、やらないより、やったほうが、責任が軽くすむアリバイ的な、一種の気休めらしい。
 「たわごとでも、気休めになるのですな」
 そんなこたあ、あなた、床マットの裏に「滑りやすいので、ご注意を」と小さく警告文を貼っておくようなもので、利用者にはクソの役にも立ちません。
 立ちませんが、会社側にとってのこの手法は、日本株式会社の宗教儀式みたいなものですから、けっしてなくならないという。
 しかし、進化していない僕はばっちり聞こえ、電車の中くらい静かに眠りたいのです。

 迷惑ついでに言いますが、究極の迷惑は日本の煩雑な手続きです。
 煩雑さゆえ、先日、車を買おうとして辞めました。
 理由ですか?
 カリフォルニアの運転免許は通用せず、日本で取り直さなきゃならんからです。
 むろん僕は、20歳の時に日本の普通免許も自動二輪も、あまつさえ小型船舶操縦士一級さえ保持しておりました。
 それがなんと全部パーになったのです。
 悔しいのは小型船舶操縦士。
 昔は更新などなかったのですよ。それがアメリカに長年滞在している間に、なんと人知れず更新制に切り替わってしまっており、知る由もない僕は、当然手続など夢に思っていなかったため、免許証は無情にも無効にされてしまったのです。
 どう思います?
 小型船舶免許の有効期間は無限だと言っておきながら、僕に無許可で、こっそりと有限に切り替える。完全な契約違反ではないですかね。
 受けて立ってもいいが、泣く子とお上には勝てないので、もうダメです。
 船舶操縦を一から出直す時間的余裕はありません。あきらめますが、それでもときおり海辺を新幹線で通過すると、ああ〜大海原の彼方に乗り出したいなあ、と少年のように心が疼(うず)くのですよ。悔しーい!

 失礼、少々取り乱しました。
 で、自動車の免許証です。
 本の取材先の足として、レンタカーの必要を感じていたので、それならばなんとか日本の免許証を取り直そうと、そしてついでに車なんぞ買おうかなあと・・・。
 それにしても日本は、どうしてこうまで手続きが煩雑なのか?
 住民票、印鑑証明・・・車庫証明・・・身元保証人・・・あまりの煩わしさに正直、気力が萎えました。
 アメリカでは住民票も、印鑑証明も、車庫証明も、身元保証人も、ついでに車検もいりません。というか、そんなもの存在しないのですよ。
 車を買う、家を買う、家を借りるはサイン一つです。あとはぜ〜んぶ、いらない。
 単純明解、買えばその場で新車が引き渡され、さっさと乗って帰れます。
 「売り手」と「買い手」の、行政による「つなぎ方」が実に上手いのですよ。
 本来、行政とはそうあるべきで、国民の公僕なのですから邪魔になってはいけないのです。
 ところが日本の行政は真逆で、国民の公僕ではなく、ご主人様でありますから、すべからくお上の許可、申請を必要とし、日本に住んでいる人は気が付かないと思いますが、外から見れば煩雑さは強烈となります。
 山積の手続き。
 「よくみんな我慢して、乗り越えるなあ〜。なんで簡素にしないのだろう」
 僕は、車も家も考えるだけでダメージを受け、放棄したのです。
 買いたいのに買えない。
 スタートする前に疲労困憊するなら、なにもしないのが一番。
 小金持ちの貧乏暮らし。
 日本の若者も無気力ですが、こんなに障害物があってはシニアも、無気力になります。
 これって景気回復にとって、最悪の体制です。
 政府は、庶民の邪魔を取り除き、頭と税金を低くすれば、庶民の心が鷲掴(わしづか)みにされ、おカネがバンバン回ることを知っているのだろうか?
 大き過ぎる役所。
 言論統制もなく、拷問もなく、餓死する人もいないのに、暮らしを自由にエンジョイできないのは、アホらしい規制と手続きが、立ちはだかっているからに他なりません。
 日本の時間の流れは早瀬に打った杭の如し、世界の流れにぽつりと取り残されている。そう思うのは僕だけでしょうか。
 幸せを祈りつつ・・・。

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『ビジュアル版 幕末 維新の暗号』(祥伝社)が8月1日に発売されました。
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Profile:加治 将一(かじ まさかず)

作家・セラピスト。1948年札幌市生まれ。1978年より15年間、ロサンゼルスで不動産関係の業務に従事し、帰国後、執筆活動に入る。ベストセラー『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスキー)、評伝『アントニオ猪木の謎』、サスペンス小説『借金狩り』、フリーメーソンの実像に迫った『石の扉』(以上三作は新潮社)など多数の著作を発表。『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)の歴史4部作は大反響を巻き起こし、シリーズ 50万部の売上げ更新中である。その他、カウンセリング小説『アルトリ岬』(2008年 PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(2010年 ビジネス社)などがある。

西郷の貌(かお) 『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)

2011年4月に『陰謀の天皇金貨』(祥伝社刊)を、2012年1月に『倒幕の紋章』(PHP文芸文庫)を文庫版として発売。2012年2月に『西郷の貌(かお)』(祥伝社刊)を、2012年4月に新刊『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)を発売。

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