船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
『長の十訓』を読んで
2015.6.9(Tue)
社名:(株)本物研究所
名前:長 博信

『長の十訓』

 先日、お客様より「長ちがいだけど、ネタになるんじゃない」ということで、書籍をご紹介いただきました。早速、購入して読んでみたところ、非常に勉強になったので、抜粋してシェアさせていただきます。皆様のご参考になりましたら幸いです。

〜そこにどういう人がいるか
国も会社も家庭もそこに
どういう人がいるかで決まる。
いつの時代も問われるのは
リーダーの器量である。〜


『長の十訓』
(著者:藤尾秀昭氏/出版:致知出版社)



「一国は一人を以て興り、一人を以て亡ぶ」
 宋代の人、蘇老泉(そ・ろうせん)の言葉です。
 会社しかり、各種団体しかり、家庭しかり。どういう形であれ、人間が集まるところには、そこにどういう人物がいるかでその人間集団の運命が決まる。

 故舩井幸雄は、「トップで99%決まる」と申しておりましたが、一人ひとりがどのような修養を積み、いかなる資質を身に付けているかが問われているわけで、中でも長たる者の責務は重く、理由は、その人のあり方が他の多くの運命にもろに関わっていくからだということです。

 「人恒の言あり。皆曰く、天下国家と。天下の本は国に在り、国の本は家に在り、家の本は身に在り」
 これは孟子(もうし)の言葉です。
 意味は、人々は誰もが口を開けば天下国家というが、天下の本は国であり、国の本は家であり、家の本は我が身、自分自身である、という意味です。天下を論じ、国を立派にしたいと思うならば、何よりも先に我が身を修めなければならないということに思いが至ります。

 リーダーたるにふさわしい器量とは、一にバイタリティ、二に楽天性、三に絶えざる自己修練。
 この三つはいつの世もリーダーに欠かせない資質のようですが、人間的器量はいかにして養えるのか?

 安岡正篤師 『経世瑣言(けいせいさげん)』によれば、
「第一に古今の優れた人物に学ぶこと。私淑(ししゅく)する人物を持ち、愛読書を持つことが、人物学を修める根本的、絶対的条件です。次の条件は、怯めず、臆せず、勇敢に、己を空しうして、あらゆる人生の経験をなめつくすこと。人生の辛苦艱難、喜怒哀楽、利害得失、栄枯盛衰を勇敢に体験することです。その体験の中にその信念を生かしていって、初めて知行合一的に自己人物を練ることができるのです」とのこと。

 壁が前に立ちはだかった時に、人が辿る道は二つに分かれます。
 一つは壁に敢然と挑み、なんとしても乗り越えていこうとする道、もう一つは壁に圧倒され、委縮し、逃避する道。
 壁に苦しみ、悩み、傷つき、苦悶し、格闘する中で、人は人格を成長させていくのです。壁はその人の能力をさらに高め、魂を磨き、本物の人物にするために、天が与えてくれる試練だということです。

 松下幸之助氏いわく、
「人間は自らの一念が後退する時、前に立ちはだかる障害物が物凄く大きく見える。
 それは動かすことのできない現実と思う……そう思うところに敗北の要因がある」とのこと。

 王陽明は、「広大な池の溜まり水のようであるよりも、小さくてもこんこんと湧き出る泉のような人間になれ」 という。生気湧出(せいきゆうしゅつ)とは、このことです。
 画家であり書家でもある中川一政氏によれば、「志」という字は、「士」と「心」ではなく、「之」と「心」でできた文字であり、「心」が「之」(行く)の意で、心が方向を持つことだという。

 吉田松陰は、海外渡航を企てたという罪で入獄したが、停滞と怠惰を自らに課すことなく、14ヵ月間に618冊の本を読破し、獄を囚人の教育の場とし、松陰は塾生たちに、その場で励めばそこが華になると教えました。
 人にはそれぞれ与えられた場がある。その場がたとえどんなにささやかであっても、その場を少しでも高める。そこに集う人々の心も高める。そのことに心して、日々精励したいものです。

 幕末の大儒学者である佐藤一斎氏の『 言志耋録(げんしてつろく) 』によれば、
「心志(しんし)を養うは養の最なり 体軀(たいく)を養うは養の中なり 口腹を養うは養の下なり」
 『 言志耋録(げんしてつろく) 』では、大きく分けて2つのことを言っています。
 一つ目は、「人生に対して覚悟を決めよ」、二つ目は、「敬の心を忘れるな」ということです。

 覚悟を決めても「敬」の心を失う人は傲慢になり、人生を誤ります。
 心を養うことが自らの生を養い、豊かにする唯一の道であるということです。

 松下電器(現パナソニック)の社長を務めた山下俊彦氏が色紙に好んで書いたのが、「知好楽」。
 この出典は、『論語』です。
 「子曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」
(これを知っているだけの者は、これを愛好する者に及ばない。これを愛好する者は、これを真に楽しむ者には及ばない)という意味であり、仕事でも人生でも、それを楽しむ境地に至って初めて真の妙味が出てくるという極めてシンプルな人生の真理です。

 ここでいう「楽」は、趣味や娯楽に興じる楽しさとは趣を異にする。
 何事であれ、対象と一体になった時に生命の深奥から湧き上がってくる楽しみが「真楽」である。
 物事に無我夢中、真剣に打ち込んでいる、まさにその時に味わう楽しさが真楽なのであり、人生の醍醐味とは、この真楽を味わうことに他ならないというわけです。

 私たちは開闢(かいびゃく)以来の第一人の人生を生きている。
 第一人の「第」は「ただ」と読み、第一人は「ただ一人の自分」であり、第一人の人生を生きるとは、粗末に生きてはならぬということであり、自分の人生に責任を持つことである。
 つまり、人は皆、自分の人生のリーダーとして生きなければならないということです。

 古来、リーダーたる者には必須の条件があると言われています。それは、「修身」です。
 気まぐれ、わがまま、ムラッ気を取り去り、自分という人間を少しでも立派に磨いていく。
 これが「修身」です。

 上に立つ者の必読書とされる『 大学 』が最も重んじるのも「修身」であり、身を修めていない小人が上に立つと災害が並び至ると書かれています。
 その修身の土台となるのが、「格物(かくぶつ)」「致知(ちち)」「誠意」「正心(せいしん)」である。
 自分の立つ立場に真剣誠実に全力を尽くす。それが修身の根本であると『大学』は教えています。

 また、薄衣佐吉(うすぎさきち)氏によれば、心は発達するものであり、7つの段階があるという。

第一は、自己中心の心。自分の欲求だけに生きている=赤ちゃん
第二は、自立準備の心。幼稚園児の頃。
第三は、自立力の段階。成人を迎える頃。
第四は、開拓力の時代。困難に立ち向かい、開発改善していく力を持つ。
第五は、指導力。他人を正しく導く力を持つ。
第六は、包容力。好き嫌いを越えて人を包容していく。
第七は、感化力。その人がいることで自ずと感化を与える=最高の状態

 人は歳月とともに身体的年齢は増えるが、心の発達は必ずしも歳月には比例しないのです。

 約150億年前、ビッグバンによって誕生した宇宙は、絶えざる創造進化を繰り返し、今日の姿になりました。しかし、宇宙は現状で静止しているのではなく、いまも膨張し続けており、宇宙はなおも前進し続けています。
 宇宙は己の存在を知らしめるために人間を創ったともいわれるように、宇宙に抱かれて生み出された人間もまた、小宇宙そのものということになります。ならば、人間もまた常に前進し続ける使命を宇宙より課されているということなのです。

 国であれ会社であれ家庭であれ、あらゆる組織はそこにいる長がどういう一念を持っているかで決まり、優れた長には共通して2つの条件として、一は「修身」、二は「場を高める」。
 この二点に意を注がない長は長たる資格がないと断言できるとのこと。

 気まま、わがまま、ムラッ気を取り去る。つまり、修身とはこのことであり、さらには、「公平無私」「自己犠牲」「先義後利(目先の利益を追わない。義務が先、娯楽は後)を率先垂範することです。
 長が私意をほしいままにして、組織が健全に成長するわけがないのです。

 次に場を高めること。長たる者は自分のいる場に理想を掲げ、そこに集うすべての人をその理想に向け、モチベートしていく人でなければならない。
 「適切な目標を示さず、社員に希望を与えない経営者は失格である」とは、松下幸之助氏の言葉です。

 安岡正篤の言葉にも思わず感銘を受けました。
 「偉くなることは、必ずしも富士山のように仰がれるようになるためではない。なるほど富士山は立派だけれども、それよりも何よりも立派なのは大地である。この大地は万山を載せて一向に重しとしない。限りなき谷やら川やらを載せて敢えていとわない。常に平々坦々としておる。この大地こそ本当の徳である。われわれもこの大地のような徳を持たなければならぬ、大地のような人間にならなければならぬ」

 最後に、舩井幸雄の晩年の言葉より、
「40余年経営コンサルタントをやってきて分かったことがある。どうしたら経営がうまくいくか。それはそこにいる人が命を懸けている。それが第一条件。いるところに命を懸ける。これが大事」

 長として欠かせない姿勢であり、一念です。
 私は、船井グループで、故舩井幸雄の教えを学んでおりますので、本書は腑に落ちました。
 少なくとも私たちは皆、自分の人生の長なので、本文が少しでも参考になりましたら幸いです。


2周目:「新しく正しい時代を築いていく」
5周目:「属国日本の現状」
7周目:「本物について」
9周目:「小沢氏がつくった「新政研」」
11周目:「現在の気象や地殻の大変化」
13周目:「米債務問題について」
14周目:「最近の自然の異変について」
21周目:「食関連の偽装問題について」
22周目:「児童相談所に関する問題」
23周目:「携帯基地局の設置がもたらす恐怖」
24周目:「仙臺四郎に学ぶ」
25周目:「未来の新しいコンセプト=麻」
26周目:「志の高さが未来を切り拓く」
27周目:「ゼロ磁場のエネルギーについて」
28周目:「富の二極化」
29周目:「現代人にとって必要なミネラル」

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