船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
手を離すこと
2016.5.23(Mon)
社名:イリアール(株)
名前:広川 裕子

舩井幸雄.comをご覧の皆様、こんにちは。
イリアール株式会社の広川裕子です。

先日、息子が行方不明になりました。40分後、無事に再会することが出来たのですが、その時に味わった恐怖感は、これまでの人生で一番大きなものでした。
今回は、そのことについて書かせていただきたいと思います。

その日は、息子を習い事に連れて行くため、小学校から帰ってくるのを待ち受けて、自転車の後部座席に乗せ、駅へと急ぎました。習い事の場所までは電車で数駅あります。時間がなかったので焦りながら、駐輪場に自転車を置いている間に、忽然と息子が居なくなってしまったのです。

小学2年生の息子は慎重な性格なので、「興味のある方向に走っていってしまう」ということが、幼い頃から今まで一度もありません。なので、居なくなった理由として考えつくのは、「急な腹痛でスーパーのトイレに駆け込んだ」とか、「先に駅に行った」ということくらい。それと、「その他の不測の事態」でした。

周辺を探しても見つからなかったので、駅に行き、駅員の方に事情を話し、構内を探しました。駅員さんが「他の駅でも探すよう連絡します」とおっしゃって下さったので、何かの事情で電車に乗った可能性も考え、お願いしました。
その後、スーパーで迷子放送を流していただき、自転車置き場の整理員の男性や、道端でティッシュを配っている女性、たくさんの方に息子の容姿と名前を伝え、「見つけたら『○○美容室へ行きなさい』と言ってください」とお願いしました。
『○○美容室』というのは、駐輪場の近くにある美容室の名前で、息子の幼馴染のご両親のお店です。息子が来たら、私に連絡してもらうようにお願いしていました。

駅と周辺とスーパーを何往復もしている内に、どんどん時間が過ぎていきました。
私の心の中で次第に「その他の不測の事態」が浮かんで、膨らんで……。小学校からのお知らせプリントの『不審者情報』が目の前をよぎり、打ち消して……。
手も足もガクガク震えていたと思います。口の中はカラカラでした。夜、お風呂で見ると足に青あざが何箇所か出来ていたので、歩いている時に何かにぶつかったのか転んだのかしたのでしょう。
でも、その時は自分の状態に気づく余裕などなく、ただひたすら、「水色のTシャツを着た123センチの男の子」を人混みの中に見逃すことがないよう、目を見開いて息をつめて歩いていました。

いよいよ、警察に届け出ようと思い交番へ向かう道中、クスンクスンと泣きながら向こう側から水色のTシャツが歩いて来ました。駆け寄って抱きしめて、二人で泣きました。その時に感じた、あらためての恐怖感と安堵感は一生忘れることが出来ないでしょう。

息子の話では、駐輪場で私を待ちながら水筒の水を飲み、蓋をカチャカチャ触っているうちに、私が視界から消えたとのこと。ビックリして見回すと、駅とは反対方向に私とよく似た人が歩いていくのが見えたため、慌てて追いかけて、そのまま小道に迷い込んで分からなくなってしまったそうです。

想像もしたくないけれど、もし、万が一、本当に「不測の事態」が起きていて、今でも息子と会うことができていなかったら……。
本当に、想像するのも、文字を見るのも怖いことですが、この平和に過ぎる日常の中でも、行方不明になったまま何年も見つかっていない子供が多くいると言われています。
ご両親のお気持ちを想像すると、胸が締め付けられます。

「不測の事態」は、決して他人事ではないと感じます。
小学校に入ってから、下校してから私が帰宅するまで留守番したり、おつかいに行かせたりと、一人で行動する時間が多くなりました。この先、時間的にも精神的にも、どんどん私の手元から離れていくでしょう。何かあった時、自分の身の安全を自分で守れるのか……。まだまだ頼りない肩や小さなイガグリ頭を見ると、手を離すのが怖くて仕方ありません。

今回、ご協力をお願いした方たちに、息子と一緒にお礼を言って歩きました。皆さん、「良かったー!」と笑顔を見せて下さいました。駅員さんは拍手もして下さいました。
「ゴメンナサイ」と言いながら、息子は少しビックリした顔をしていました。世界に一人ぼっちの心細さで迷っていた自分を、実はたくさんの大人が心配して探してくれていたことに気付き驚いたのだと思います。

昔のように「子供を社会で育てる」というような雰囲気が希薄になったと、現代を憂う声も多くあります。けれども、実は、「不審者」と間違われることや、各ご家庭の方針を気にしすぎるあまり、気軽に大人が子供に声をかけられなくなったという反面もあるのだと思います。
泣きながら歩いている男の子を、声はかけなくとも、きっと、たくさんの大人の方が心配して見守ってくださったと思います。

本人の力と、社会のあたたかい目を信じて、私も少しずつ手を離す勇気を持たなくてはいけないと思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


13周目:「シンクロの不思議」
14周目:「チューブちゃんのこと」
15周目:「親の心子知らず」
16周目:「最高の褒め言葉」
17周目:「+αのサービスを」
18周目:「Gの恐怖」
19周目:「2013年夏の想い出」
20周目:「一期一会を感じたこと」
21周目:「言い訳大臣と勇気レンジャー」
22周目:「斜45度後方」
23周目:「泣く技術」
24周目:「匂わない日々」
25周目:「想い出音」
26周目:「ならば、どう生きる? 〜『いのちの革命』を読んで〜」
27周目:「文字から気づく意外な自分」
28周目:「なんとなく、ナマハゲを思う」
29周目:「なんとなくナマハゲを思ったあと、妖怪について考える。」
30周目:「何か食べたい!」
31周目:「体感時間」
32周目:「伝える言葉」
33周目:「地味な私の楽しい週末」
34周目:「新人くんの舩井フォーラム2015」
35周目:「生かされていると感じたこと」
36周目:「漢字ってスゴイ!」
37周目:「モデルの気持ち」

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