船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
日本人の「水戸黄門」幻想
2013.9.10(Tue)
社名:(株)船井本社 『船井幸雄.com』事務局&『船井メールクラブ』事務局
名前:藤原 かおり

 皆さんこんにちは。朝晩はようやく秋が少し感じられるようになってきましたが、まだまだ残暑の日々が続いています。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
 船井本社『船井幸雄.com』事務局&『舩井メールクラブ』事務局の藤原かおりです。

さて、このコラムで前々回、小室直樹さんの『痛快!憲法学』(2001年 集英社インターナショナル刊)という本を紹介させていただきました。
 その中の結論的な内容で、「現在の日本を支配しているのは『官僚』である」とありましたが、その官僚について、もっと詳しく知りたいと思い、最近、岸田秀さんの『官僚病の起源』(1997年 新書館)という本を読みました。

 岸田秀さんは舩井幸雄と同年生まれの思想家であり、精神分析者です。実は私は岸田さんの長年のファンでもあります。
 岸田さんは中学生の頃に、借りてもいないのになぜか人からお金を借りていると思いこんでしまい、「返さなければならない」という脅迫観念にとらわれ神経症になり、それを克服するために自分自身に対する精神分析を徹底して行った人で、それが岸田さんの精神分析の原点になっているようです(結局、自分と母親との間の決定的な歪みに気付いたことで、脅迫観念の症状は一旦は快復されたようです)。
 しかしそれ以後も、ふと疑問に思ったことが時に“脅迫観念”となって岸田さんを襲い、それを徹底的に解明し、納得できるまで“脅迫観念”が去ってくれないのだそうです。
 それだけに岸田さんの分析と洞察はどれも大変深く率直で、まるで『裸の王様』の物語に出て来る、「王様は裸だよ」と最後に指摘する子供のような、鋭さとウソ偽りのなさを感じるのです。
 とくに、歴史や国際関係においても、「人間」に焦点を当て、人間の心理を軸に解明しているので、分りやすく納得もしやすいのです。

 中でも岸田さんの主論でもある、「幕末、ペリーによって無理やり開国させられたことがトラウマになって、日本人はずっと、外国を崇拝し外国に屈従する『外的自己』と、外国を嫌い憎み、誇大妄想的自尊の中に閉じ籠ろうとする『内的自己』に分かれた分裂病の状態にある」という考えは衝撃的です。しかしそのような視点で明治から現在に至るまでの日米関係を捉えてみると、大体が腑に落ちるのも事実です(その論を展開している岸田さんの処女作『ものぐさ精神分析』(1977年)は一読の価値があります)。


 ……と、前置きが長くなりましたが、そんな岸田さんが説く『官僚病の起源』も大変興味深いものでした。
 同書では、江戸時代から明治時代にかけて日本は、国の在り方や政治体系を欧米に対抗しようと、形の上で中央集権的な方向に急激に変化させたのにもかかわらず、肝心の、そこに携わる日本人の意識や習性が江戸時代までとあまり変わっておらず、それらの間に大きなギャップが生じていることが、昨今の官僚が問題を起こす大きな原因ではないか、と論じています(同書が書かれた1997年頃、薬害エイズ問題で厚生省(当時)のひどい実態が暴かれていました)。
 ちなみに、同書で岸田さんは、日本の官僚組織の特徴を次のように述べています。

(一)官僚組織は、本来、国民のためのものであるにもかかわらず、自己目的化し、仲間うちの面子と利益を守るための自閉的共同体となっている。
(二)しかも、その自覚がなく、国のため国民のために役立っているつもりである。
(三)共同体のメンバーでない人たち、すなわち仲間以外の人たちに対しては無関心または冷酷無情である。
(四)同じことであるが、仲間に対しては配慮がゆき届き、実に心やさしく人情深い。
(五)身内の恥は外にさらさないのがモットーで、組織が失敗を犯したとき、失敗を徹底的に隠蔽し、責任者を明らかにしない。
(六)したがって、責任者は処罰されず、失敗の原因は追及されず、失敗の原因は追及されないから、同じような失敗が無限に繰り返される、等々。


 以上ですが、上記のような特徴は、私たち日本人が所属する集団(企業などの組織だけでなく地域や学校、家族、親せき間などでも)なら、どこでも少しは思い当たるところがあるのではないでしょうか。
 岸田さんいわく、このような特徴を持つ集団は、その力が及ぶ範囲が狭く限られた場合は、そんなに大きな問題にはならないが、日本国や国民全体に対して多大な権力を持つ官僚(省庁)が、一番このような特徴を持った状態にあるから大きな問題になるのだ、と指摘しています(なぜなら、官僚にとって、私たち国民は「集団外」の存在になるからです)。

 翻って私たち国民の方にも厳しい指摘があります。
 「国民が『有能で清潔な支配者(官僚)』に支配されたがっていること、もしくは支配されていると思っていること自体が結局は、官僚の腐敗を助長することにつながっている。そもそも『有能で清潔な支配者』などというものは、虫がよ過ぎ、(そんなものを求めること自体)欲が深すぎる。『有能で清潔な支配者』など、水戸黄門と同じでどこにもいないのである」と。

 手厳しいながら、グサッと図星を指された感があるのも事実です。
 日本人の好きな「水戸黄門」はきっと、夢と憧れ、幻想の象徴なのでしょう。。。
 同書には「官僚病」の解決策なども提示していますので、興味を持たれた方はぜひ御一読ください。


2周目:「鳥インフルエンザからニワトリを想う」
3周目:「日本の独立と個人の自立」
4周目:「資本主義について思うこと」
5周目:「“野性”を目覚めさせるには・・・」
6周目:「にんげんクラブ全国大会で気づいた“つながり”」
7周目:「歪みを正す方法」
8周目:「“グレー”からの脱却」
9周目:「“コンサバ”に思う」
10周目:「“野菜”は本当に健康にいいのか?」
11周目:「ロンドン・シティで感じた意外な“気”」
12周目:「フリーエネルギーとUFOの関係」
13周目:「最近読んでショックを受けた本」
14周目:「“寄り添う”ということ」
15周目:「“五井野イズム”に触れて……」
16周目:「秘伝のお茶と新コラム」
17周目:「偶然とは思えない3つのこと」
18周目:「「本物」は野性的!?」

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