写真
2010年にんげんクラブ全国大会ステージ上にて
(写真撮影:泉浩樹)

「天律時代」の到来に向けて

このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。

また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。

左上 「うず」のイメージ(画:西口貴美)
2013.02.01(第77回)
安倍政権

 安倍晋三総理が就任して1ヵ月が経ちました。船井幸雄は安倍政権の特に経済運営に関して批判的な意見を持っています。
 しかし、実際に我々の暮らしがどうなったかという観点からみると、野田前総理が国会の解散を決めた時点で次期総理に実質的に安倍総理が就任することが予想された時点から、為替が大きく円安に動き、それに伴って株式も高騰と言ってもいいほどの動きで上げに転じて、経済の実態はかなり改善しているように思います。

 一方では、デフレからの脱却を目指すのですから当然の結果ですが、ガソリンの価格などは確実に上がっており、原発が稼働していないことから大量に増えている原油の輸入価格も上がっており、近い将来にさらなる電気料金の値上げが予想されます。インフレ傾向になってもすぐに給料が上がるわけではありませんので、弱い立場にある人にとってはますます生活の実態が苦しくなったということになるのかもしれません。

 日本はドイツや韓国などと比べるとGDPに占める輸出の割合は10%強しかなく、経済の実態としてはアメリカと同じように輸出で経済を活性化するのではなく、国内の消費を刺激することで改善が図られる状況にあります。リフレ政策で通貨安政策をとっても恩恵を受けられるのは自動車や家電など日本を代表する大企業ではありますが、それらの企業の業績改善が庶民の暮らしに直接恩恵をもたらしてくれるという時代ではないのです。
 でも株価が上がれば、キャピタルゲインを得た投資家の人たちが新たな消費を始めようとするきっかけにはなります。実際に知り合いの経営者と話していても昨年末から高額商品が売れるようになってきたと言っていました。インフレが予想されると投資家や経営者は相対的な現金の価値が下がってくるのでリスクを取って資産の取得や設備投資を行おうとします。これが確実に景気を刺激することは明らかだろうと思います。

 また、日銀の動きも安倍総理から批判されている形の白川総裁を含めて、民主党政権下にあったときよりも積極的に政府に協力をしているように見えます。これは、私の意見ですが、野田前総理は、ひとり日本だけがデフレというつらい状態を引き受けて世界の金融秩序をギリギリ守ろうという意志を持っていたのではないでしょうか。白川総裁もその政策を受け入れていたのだと思いますが、安倍総理はこれ以上日本だけが酷い目にあってデフレ状態を享受するわけにはいかないという意志を持っていると考えると、政権交代の意味が分かりやすくなるのではないでしょうか。
 だから、父が言うように、これで日本や世界は、金融恐慌に陥る可能性が格段に高くなりました。
 リーマン・ショックの時に金融的には傷が浅かった日本は、デフレ状態さえ我慢出来ればポーズだけの金融緩和でも何とかやってこられたのですが、投資家や企業経営者はもうこれでは持たないという限界点に追い込まれており、これらの人たちから支持されている自民党政権は日本も限りないリスクを取って将来の破綻を前提にする政策に打って出ることにしたということになります。
 どちらかというと民主党を支持している庶民の人たちには、インフレが来てつらい状態になり、多分そんなに遠くない将来にハイパーインフレなどの大変な状態が来る可能性が高くなったと考えればいいのだと思います。それまでは、表面的には景気のいい状態が続くのが安倍政権になった大きな効果です。金融危機的な状態が今夏の参院選挙まで来なければ、自民党が有利な選挙になるのだと思います。

 また、安倍政権の外交や安全保障面の運営を少し考えてみたいと思います。
 通常であれば、新総理が就任したら第一に会いに行かなければいけないアメリカの大統領との会談が実現する目処さえたっていません。また、アメリカの主要紙などに批判的な記事を書かれるなどマイナス材料も見受けられます。しかし、歴代の自民党政権が目指してきたアメリカとの関係を中心に、日本の国益もしっかりと主張しようとする、ごく当たり前の政策を目指しているように感じます。
 アルジェリアで日本人が10人犠牲になる事件が起こりました。先月末のにんげんクラブ福岡大会の講演で、ベンジャミン・フルフォードさんは首謀者が日本人を探しだして殺していったという情報があるというお話をしていました。ベンジャミンさんのお話なので、首謀者はイスラム系のテロリストではなく、欧米人(金髪で青い目をしていたカナダ人?)だったという話で、私はその信憑性が100%分かるわけではありませんが、政府の役割は国民の命を守ることだと考えると、強い政府の存在が望まれる環境になってきているようです。
 戦争という状態にはならないことを祈りたいと思いますが、一番懸念のある中国は過去の歴史の中で一度も自ら侵略戦争を仕掛けたことはないという意見を言っている友人がいます。蒙古襲来は中国ではなくモンゴルであり、中国は侵略されることは度々あるが自分から領土を求めて外に出て行くことはないというのです。
 一方で、中国に投資をして、それを日本に持って帰ってこられたことは一度もないと教えてくれた識者もいます。中国という国と付き合うのは難しいのですが、どうも中国との関係を決めるのは日本の対応次第のようです。クレバーな外交、安全保障政策を安倍総理にはお願いしたいと思います。前にも書きましたがせっかくアメリカ等が外交は下手だと見下してくれるのなら、ケチなプライドは捨ててそれを利用するぐらいの度量を持ってもらえればきっとうまく行くと思っています。


『未来から考える経営』表紙画像
『未来から考える経営』
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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)、『失敗から学ぶ』(2012年7月海竜社) 、『未来から考える経営』(2012年10月 ザメディアジョン)などがある。
『未来から考える経営』表紙画像
★にんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/

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