「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

ひどい花粉症の私は、毎春どこかへ避難に出かけ、鼻や目の粘膜を再生してきます（笑）
今年は、友人が多くいる、アメリカ第２の都市、Los Angelesへ。
スペイン語で天使たちを意味するこの都市は、通年Ｔシャツで過ごせるほど温暖な気候と
18世紀のスペイン人による征服、メキシコ領だった歴史から、
ヒスパニック、アジア系の人が多く、N.Y.で感じる人種差別的な空気がないこと、
ニューヨーカーの流暢な英語より聞き取りやすいことなどから、
私にとっては、とても居心地の良い所です。
今回と次回は、L.A.の今をレポートします。

日系人にとっては、昨年大きく変わったことがありました。
L.A.の中でも、ガーデナ市、トーランス市（人口145000人）は、日系人の多い所。
自動車メーカーを中心に、日本のメーカーの生産販売拠点があったからです。
私もEPSONに勤めていた頃、EPSON America本社があったので
30年近く前から度々、出張で訪れているのですが、どんどん日系人が減って
アジア系では中国人・韓国人が増えています。
その理由の1つは、日産が2006年にGardenaからテネシー州ナッシュビルへ
Hondaが2013年にオハイオ州メリーズビルに移転したこと。
そして昨年は、米国トヨタがトーランスから、法人税が安いテキサス州プレイノ
へ本社移転を完了、周辺企業も含め約9000人が移動したそうなのです。
トヨタが移転を発表した4年前は、殆どの従業員が、テキサスには行かないと
言っていたそうですが、何度かの見学会を経て、多くの人が移動を決意。
理由はL.A.に比べ物価も不動産も圧倒的に安く、良い生活ができるから。
さらにプレイノは、公立学校のレベルも全米No.1。
米国トヨタ本社があった約45万平方ｍの場所には、薬品会社が入るなどの
噂があるそうですが、まだ具体的ではないようで、募集の看板が立っていました。
逆に、これから発展が見込めるテキサスでは、不動産を買って賃貸し
一儲けした人もいるそうです。

小売業の状況

問屋並みに広い手芸専門店 新しい形のモールThe point

AmazonなどのECサイトが成長し、デパートは徐々に閉店する流れの中で
実に盛衰の激しい状況です。
かつての憧れエリア、ビバリーヒルズは、地元の人には人気がない状況。
ハイブランドが入るモールでは、サウスコースト・プラザが盛況で
トーランスでは、かつて全米No.1の規模を誇りながら、
近年はサビ付いていたDel Amo Fashion Centerが
大規模な改装を経て、
約4000坪ある高級デパートのNordstromや
鼎泰豊などができ、人気を取り戻していました。
Macy’s やJCpennyなどの百貨店、H&M、ユニクロの他、
インテリア、キッチン用品、スポーツ用品の専門店や、
大規模な布地・手芸専門店もあり、丸1日楽しく過ごせます。

低層で開放的な、新しい形のモールが台頭してきました。
人々は、買い物そのものよりも、
友人や家族と楽しい時間を過ごす場所を求めている、
というニーズに応えて、テラスのあるレストラン、
スパ、サロン、子供が喜ぶ設備が充実しています。
マンハッタンビーチの「The Point」はローカルな店が入り、
人気です。

一方で、正反対の路線が、「ROSS」。
全米で1400店舗以上を展開、NASDAQの株価も上昇中。
衣料・ファッション小物を中心に、キッチン、インテリア用品を
不調なショッピングモールでの店舗閉鎖に伴う処分在庫を
仕入れて激安で販売しています。
でも私には、安かろう……に見えます。
何といっても、売り場が悲惨。乱雑な陳列、スカスカな棚。
パッケージが傷だらけで、これを売るの？　という商品も多く
買い物の楽しさは殆ど無し。
もしかしたら掘り出し物を探す楽しみがあるのかな？
それでも快進撃を続けているのは、
安さを求めている人が多いということ。



アメリカ版100円均　One Dollar shop
ROSSと同じく、安価で定番人気のショップが
「Dollar Tree」、「99Cents Only Stores」等。
日本の100均と同じような品揃えですが、大型店舗です。
アメリカならではのコーナーは、パーティーグッズ。
St.パトリックデーの緑のもの、イースター用品がズラリ。
それとカード類が充実。素敵なグリーティングカードが
日本の1/5くらいの価格です。

もう1つの流れ
広いL.A.では、車なしの生活は、できません。
でも最近は、日本同様、車を持たない人が増えてきました。
それを可能にしたのは、TAXIの半額ほどで乗れるUberなど。
スマホのアプリで、迎えに来て欲しい場所と行き先を指定し
単独か相乗りか、料金を見て選べば、ドライバー情報や
何分後に来るかが地図上でリアルタイムに分かり
支払いもその場でしなくていい
（アプリに登録したクレジットカードでできる）ので、
運転手と話す必要もなく、旅行者にも便利。
駐車場・ガソリン代も不要になるし、飲酒もできると、
愛車を手放す人が増えているのだとか。
日本でもタクシー会社のアプリができて便利になりましたが
タクシー代はまだまだ高いなあ。
この業界もオリンピック後、変わっていくかもしれませんね。

次回は、キャッシュレス化や、ワイナリー、スーパーマーケット、
トレンディなエリア、トランプ政権の評判などについてお伝えします。