「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

かがり火に照らされた夜桜が醸し出す幽玄の世界へ

お姉様と私が同級生というご縁で、
プラチナ万年筆100周年行事で能の奉納をお願いした、
観世喜正さんがシテを務められることと、
受付責任者をお友達の関直美先生がなさっていることから、
靖國神社で「夜桜能」第三夜を鑑賞させていただきました。
こちらの能楽堂の右側にある桜の木が、気象庁が指定した東京の桜の標本木です。

夜桜能の舞台と標本木の桜

薪能の篝火

海外に行くと、オペラやミュージカルを鑑賞するのに
日本の古典芸能を鑑賞する機会は殆どないという日本人は多いと思います。
そんな方に是非ご覧いただきたいのが、「薪能」
火入れ（松明に火が灯される）から、もうワクワクします。
そして幻想的な雰囲気の中、お能が奉納されます。
感動されること間違いなし！
日本人として是非、体験していただきたいなあと思います。

薪能は、平安時代中期の奈良の興福寺が起源と言われます。
東京なら、お薦めは靖國神社での「夜桜能」。
毎年開催されていて、イヤホンガイドがありますので、
初見でも理解でき、楽しめます。
満開の桜の下、桜吹雪が舞う中、謡や笛や鼓が響き渡り
伝統的な雰囲気で鑑賞していると、別の世界にワープしたよう。

2021年4月の第三夜の演目は、
　舞囃子「鞍馬天狗」　梅若 紀彰
　狂言　「呼声」　野村萬斎・野村裕基
　能　　「大般若」　梅若 実・観世喜正

YouTubeに事前講座もありました。
https://www.youtube.com/watch?v=VcQoLp-7Slk

野村萬斎さんと、ご子息の狂言も、
西遊記を題材にして、登場人物が多い大スペクタクル劇の
「大般若」も、本当に素晴らしかった。
「大般若」は、大王、二人の天女、二人の龍神・・・と
登場人物が多く、蛙、般若などの「面（おもて＝能面）」や
カラフルな衣装、頭に付けた龍や獅子などの大きな飾りも見所。
初めて能を鑑賞される方にお薦めの演目です。

本番前に楽屋へご挨拶に伺い、人間国宝の方々や
鏡の間から橋掛を拝むこともでき、恐悦至極の想い。

楽屋へ入る関先生

実は先日、長瀬智也さん主演のドラマ「俺の家の話」のロケ地
宝生能楽堂で、面を着けて、鏡の間から橋掛かりを経て
舞台まで歩かせていただきました。
面を付けると、目の部分にあいた左右2つの穴に右目と左目、
それぞれを通して見ることになるのですが、
視界は1つになり、まっすぐ前しか見えないのです。
かなり視界が遮られて、足元は見えないし、距離感が掴めないので
これで舞うのは、かなり大変だなあと思いました。
一方で、視界が狭まると意識が自然に自分の内側へ向かいます。
とても貴重な体験でした。

能楽堂	橋掛かり
鏡の間から橋掛かりを臨む	舞台から見た客席と橋掛かり

友人の関直美先生は、ニューヨークの大学を卒業された後
能に魅入られ、帰国し、35歳で東京藝術大学音楽学部邦楽科を
能楽の専攻にて受験し、現役合格。
卒業後も大学院に進み、修士課程、博士課程を修了し
能楽師で初の音楽博士になられ、能楽シテ方宝生流　職分として
活動され、「伝統の橋がかり」を主宰、平成30年度に
東京都女性活躍推進大賞優秀賞を受賞されています。

その能楽鑑賞会が、2021年6月5日 (土) に開かれます。
https://hashigakari.org/2021/03/nogaku4th/
東京・水道橋の「宝生能楽堂」での鑑賞の他、
オンラインでも2000円でご覧いただけます。

コロナ禍で、芸能の世界は、続けていくことが困難な状況です。
日本の伝統芸能の継承のためにも、是非ご覧いただければと思います。