船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
一神教vs多神教
2015.11.17(Tue)
社名:(株)船井本社 『船井幸雄.com』事務局&『船井メールクラブ』事務局
名前:藤原 かおり

 皆さまこんにちは。日に日に秋が深まり、紅葉が目を楽しませてくれる季節になってきました。いかがお過ごしでしょうか。いつも社員コラムをお読みくださり、ありがとうございます。(株)船井本社『舩井幸雄.com』事務局&『舩井メールクラブ』事務局の藤原かおりです。

 今年は年初から、後藤健二さんら日本人がシリアでISILの人質になり最悪な結果を迎えたり、最近もパリでイスラム過激派によるとみられる同時多発テロが起こりました。私は以前、パリに1年間住んでいたこともあって、魅力的なパリの街で今年、痛ましい事件が重なって起こることに胸が痛みます。
 ちょうど最近読んだ本がタイミング的にも大変参考になったので、紹介させていただきたいと思います。
 それは、『一神教 VS 多神教』(岸田秀(聞き手・三浦雅士) 朝日文庫)という本です。
 農耕民族で多神教が主の私たち日本人は、「ISIL」などイスラム過激派組織と言われても、なぜ宗教にそこまでこだわり、命まで投げ出せるのか、そのメンタリティはどういうものなのか、ということがいまひとつ理解できないという人が多いのではないでしょうか。

 岸田秀さんは私が好きな思想家で、独自の“唯幻論”(=「人間は本能が壊れて、現実を見失い、幻想の世界に迷い込んだ変な動物である」という論)から、自我、神経症、宗教、歴史などを読み解いています。それがシンプルでわかりやすく、人としてもとても真っ当だと思うので、いろいろと参考にさせていただいています。
 この『一神教vs多神教』では、岸田秀さんに評論家の三浦雅士さんが質問をするという形態で進められています。
 その中で、一神教と多神教の違いについて私が最もよくわかった箇所を以下に転載させていただきます。(同書103-107ページ)

多神教はつねに一神教に負ける?

――(三浦さん)そうすると、多神教的なものは、突きつめると、共同体の血縁幻想に支えられ、母親的、女性的なものに支えられているが、それが一神教を打破し、その後の指針になるとは思えないと言うことですね?

岸田:
指針になるとしても、その範囲は限られているでしょう。多神教同士が団結するということはあり得ない(笑)。当然ですけどね。それぞれの神々は違うのですから。

――団結しないことにおいて、良いということですか。

岸田:
そうです。団結してどうするんですか。一神教は団結し、激しく対決し、そして戦います。

――多神教は戦わないということですか。

岸田:
戦わないわけではありませんが、自分の血縁幻想の範囲以上には自分の神々を広めようとしないから限度があります。一神教同士だと、両方が普遍性を主張するわけですから、当然、血みどろの戦争になる。

――それで文明の衝突になるわけですね。でも、要するに近親憎悪ですよね。

岸田:
そうです。もともと出生が同じですものね。ユダヤ、キリスト、イスラムは親戚のようなものですから。

――それに共産主義を入れたら全部ですね(笑)。

岸田:
共産主義も一神教ですからね。ユダヤ教かキリスト教の改訂版です。ユダヤ教も、キリスト教も、イスラム教も、中近東に発生し、世界へと広がったわけです。一神教が普遍的現象なら、中近東以外の地域に別の一神教が発生したっていいはずなんですが、発生しませんでした。ということは、一神教というのは、自らの普遍性は主張しますが、本当はきわめて地方的な現象だということです。言ってみれば、中近東の風土病ですね。やはり、人類のごく一部に発生したきわめて特殊な病気だということです。そう考えざるを得ない。

――実際、ローマ人はユダヤ教徒やキリスト教徒のことを病的な狂信者であると思って恐れていたわけですね。殉教者として喜んで死んでゆく人々というのは、マルクス・アウレリウスとか、ああいうローマの知識人から見たら、かなり気持ちが悪い人々だったでしょうね。ところがその気持ちの悪い人々の病気が、やがてはローマ帝国の隅々にまで浸透し蔓延してゆくというわけですね?

岸田:
強いからでしょうね。病気が重いほうが強い。狂信者は強い。絶対にこうでなければならないと信じている奴と、こうでもいいし、ああでもいいと思っている奴が喧嘩すれば、勝負は初めから決まっています。結局、一神教が世界を植民地化していったわけですよ。多神教のほうは負けちゃうんですよ。

――ファナスティックという言葉、狂信的という言葉がありますが、あれは、基本的に一神教にしか当てはまらないわけですね。

岸田:
もちろんですよ。多神教の信者は、こっちの神さま、あっちの神さまと、いろいろ信じているわけだから、物を見る目が相対的になって、狂信的にはなれませんよ。日本人は無節操で、正月には神社に初詣に行って、結婚式はキリスト教の教会で挙げて、葬式は仏教でするなんて言われますが、ぼくに言わせれば、それは理想的な信仰形態です。それに対して、一神教というのは自分の神だけが絶対的に正しいと思っているわけです。多宗教の神さまは邪神であって、神じゃないわけだから。極端な話をすれば、アステカやインカを殲滅していったかつてのスペインの征服者のように、キリスト教徒じゃないから人間じゃない、だから殺してもいいんだという考え方になってしまうわけです。それが一神教の典型的な考え方でしょう。いま現在のテロや報復の連鎖も、基本的にはまったく同じ考え方をしているんじゃないですか。パレスチナ人もイスラエル人もアメリカ人も一神教ですから。

――かりにそういう一神教にはもう未来はないとした場合、それに代わるものとして、母性的なかつ具体的な神、つまり多神教のほうがまだましだということですか。

岸田:
そうですね。まだましでしょうね。(転載ここまで)


 砂漠の過酷な環境の中近東だったからこそ、一神教が発生した。一神教は中近東の風土病だという考えはとても興味深かったです。
 また、一神教は「集中」とか「交感神経」、多神教は「緩和」とか「副交感神経」をあらわしているようにも思えました。どちらも必要だと思いますし、また、環境によって偏ってしまうことはある程度やむを得ないような気もしますが、これからは、緩和や副交感神経……すなわち多神教や平和が優勢の世の中の方がバランスがとれていて時代にもマッチしているのではないかと思えましたが、いかがでしょうか。


2周目:「鳥インフルエンザからニワトリを想う」
3周目:「日本の独立と個人の自立」
4周目:「資本主義について思うこと」
5周目:「“野性”を目覚めさせるには・・・」
6周目:「にんげんクラブ全国大会で気づいた“つながり”」
7周目:「歪みを正す方法」
8周目:「“グレー”からの脱却」
9周目:「“コンサバ”に思う」
10周目:「“野菜”は本当に健康にいいのか?」
11周目:「ロンドン・シティで感じた意外な“気”」
12周目:「フリーエネルギーとUFOの関係」
13周目:「最近読んでショックを受けた本」
14周目:「“寄り添う”ということ」
15周目:「“五井野イズム”に触れて……」
16周目:「秘伝のお茶と新コラム」
17周目:「偶然とは思えない3つのこと」
18周目:「「本物」は野性的!?」
19周目:「日本人の「水戸黄門」幻想」
20周目:「嫉妬の時代」
21周目:「久しぶりに会った舩井幸雄」
22周目:「舩井幸雄との出会いを思い出してみました。」
23周目:「後から思い出してみるといろいろシンクロがあったこと。」
24周目:「竹中平蔵とは何者か。」
25周目:「足指から目覚める?」
26周目:「舩井SAKIGAKEフォーラムが無事終わりました。」
27周目:「私にとっての12月25日」
28周目:「“本物の健康”を追求するセミナー」
29周目:「最近ビックリした、アンチエイジングのエネルギー」
30周目:「舩井幸雄の「氣」の力を想う」
31周目:「「願い」のちから」
32周目:「本物時代の到来」
33周目:「Dr.コパさん」

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