船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
熱海で土石流が起こった本当の理由
2023.5.29(Mon)
社名:(株)本物研究所
名前:藤原 かおり

 皆さまこんにちは。
 例年になく気温差が大きい日々、夏が近づいてくるのを感じるこの時期、いかがお過ごしでしょうか。『舩井幸雄.com』&『舩井メールクラブ』担当の藤原かおりです。
 さて最近紹介されて、パラパラと見るだけですぐにじっくり読みたくなり、思わずその場で注文した本があります。この場でご紹介させていただきたいと思います。
 それは『よくわかる 土中環境』(高田宏臣著 PARCO出版)という本です。
 著者の高田宏臣さんは、株式会社高田造園設計事務所代表、NPO法人地球守代表理事で、「ザ・フナイ」に登場されたり、51コラボで講演してもらったこともある方です。 
 ここ数年で高田さんの日本の森を守る活動に共感される方がどんどん増えていて、一部ではカリスマ的な人気があるのだと聞きます。

 この『よくわかる 土中環境』では冒頭から、2021年7月3日に発生し多数の犠牲者を出した熱海の土石流の原因が、小学生でもわかるやさしい文章で説明されていました。
 というのもこの本を出版されるきっかけになったのが、熱海の土石流の原因に疑問を持った小学生の女の子からの一通のメールだったからです。ちょっと長くなりますが、その女の子からのメールと補足としての彼女のお母さんからのメール、さらにそれに対する高田さんの返答メールをすべて以下に転載させていただきます。

引用開始
・小学生からのメール
『高田さんへ
私は自由研究で、熱海の土石流の原因を調べています。
私も高田さんと同じ意見です。
これからどのような森にしたら、泥水がたくさん出ないようになりますか?
                 京都 〇〇〇小学校4年 田中麗花』


*   *   *   *   *   *
高田様
突然のメール、失礼いたします。高田様の記事を長周新聞で知り、その後、娘が夏休みの宿題の自由研究に熱海の土石流について書きたいと言うので、『土中環境』(建築資料研究社)を拝読させていただいています。私が高田様の土石流への見解を紹介する前に、「大人は雨の量とか、盛土が原因っていうけど、たくさん泥水が流れてきた原因を調べないと、土石流の本当の原因はわからないから、私が調べる」と言いました。子どもの直感は侮れないなと思っている次第です。
これまでに信玄堤のDVDや近所の太閤堤跡、大阪の狭山池を見たり、大津の穴太衆がいらっしゃる坂本などで、昔の工法について見せてきたのもあるかもしれません。
お忙しい中大変申し訳ありませんが、娘にアドバイスいただけないでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
                          田中美紀
*   *   *   *   *   *
《高田からの返信メール》
田中麗花さん

こんにちは。メールをありがとう。
自由研究で土石流の原因を調べているとのこと、素晴らしいことです。

このことの問題を感じて、それを調べようとする麗花さん、本当に大切なことをしようとしています。そしてそれは正しいことですので、どうかこれからも自信を持ってやっていってくださいね。

「これからどのような森にしたら、泥水がたくさん出ないようになりますか?」

という質問にお答えします。難しいかもしれないけど、お母さんに聞いたり自分で調べてみたりしながら読んでくれると嬉しいです。

森と川は別のものではなくて、一つにつながっているものなので、森がダメになったら川もダメになります。また、川がダメになったら森もまた健康でいられなくなるものです。
川も山も、一つになって生きているもので、それは人間に例えると、山は「心臓」で、川や谷や土の中の水脈は「血管」と言えると思います。
そして人間の場合、血液をきれいにするための肝臓や腎臓という、体の中の器官がありますが、大地の場合、健康な土の中を通ることで水はきれいになります。
水をきれいにして、その水がたくさんの生き物を養う土の中の仕組みについては、偉い学者さんたちもあまりわかっていないのですが、本当にこの仕組みはすごいものなのです。

血液が汚れると、人間は病気になってしまうのと同じで、水が土の中に浸み込まなくなると、雨の水は土の上を流れて泥水となります。
健康な森では、大雨が降っても雨の水は地面をたたきつけることなく、静かに土の中に浸み込んでいきます。そして、雨の後は木々が喜んでいるように森が美しくキラキラと輝きます。
土の中を伝った水は岩の間をゆっくり抜けて、湧水となって谷を作ります。
その水は冷たくてきれいで、キラキラしていて、とてもおいしいのです。
川の透き通るほど、青く輝いて、川の周りには苔が覆って、どんな大雨でも周りの土が流れるということはなかなか起こりません。

水が浸み込みやすい森の環境を保つのは健康な森と木々、そして動物たちや虫たちです。
動物や虫たちも、土の中に穴を掘って、そしてそこで生きます。動物や虫たちが掘った穴は、雨が浸み込んでも崩れず、洪水になることもないのですが、それは、穴の壁の土にはたくさんの菌の糸が張っているからです。そして、菌の糸が余分な水を吸っていくので洪水にもならないのです。

雨の日に、アリの巣に吸い込まれる水を観察してみてください。たくさん水が入っていくのに、巣の中は洪水にならないのです。
虫たちも植物たちも、自然の仕組みをよくわかって暮らしていて、そして、そこで暮らすことで土がよくなっていき、環境もよくなっていくのです。

今の人間が機械を使って無理やり土を固めようとしてもまたどこかで崩れます。私たち人間もまた、動物たちや虫たち、木々たちのように、自然の仕組みを知って、それを壊さないようにしないといけないのです。

もともと健康だった川になぜ、泥が流れ込んでそしてそれが川の底にたまってしまうのでしょう。
今回の熱海の土石流はそれがとてもわかりやすいものでした。

山のてっぺんを尾根(おね)といいますが、尾根は岩が盛り上がってできています。それが草木に覆われて、木々が根っこで包み込み、岩の隙間にも根っこや菌糸が入って、そこを伝う水は山全体に浸みわたって草木を育て、そして、谷に湧き出します。

尾根の岩と谷の岩はつながっていて、山の方が高いので、水はその隙間を伝って、押し出されるように水が湧くのです。

ただ単に、水が上から下に流れるだけでなくて、菌糸や木の根は、下の水分を上にひっぱりあげます。だから、健康な森はいつも乾かず、しっとりしているし、そしてまた余分な水は下に行って谷に湧き出すので、川の水は雨がしばらく降らなくてもいつまでも変わらずに湧き続けるのです。

それが、熱海では、谷の上の方が埋められて、そして、山の尾根は削られて太陽光発電所が作られました。
山の尾根を削ったり、木を伐(き)って乾かしてしまうと、岩も乾いてしまい、菌糸も木の根も死んでしまいます。そうすると、岩の間は砂ほこりが詰まり、浸み込まない水は地面の上を流れてしまいます。
尾根で水が浸み込まなければ、木の根も深く伸びることができないし、そうなると土の中もますます生き物が棲めない環境になっていきます。

川の下には町があって、その町を守るために今は、砂防ダムというコンクリートの壁が川の途中に作られています。
この壁で、土石流をせきとめるために作られるのですが、これによってまた、川の底の水の湧き出しをふさいでしまうのです。
今回、土石流があった川にも、町の上に砂防ダムがありました。でも、土石流は起こりました。

また、町の中を流れる川もコンクリートで固められていて、土の中の水は湧き出すことができなくて、その上流でますます泥をためてしまうのです。

川が健康でなくなると、山の土の中に空気も水も流れなくなって、山全体が荒れていきます。そうなると、いつどこで山が崩れるかわからない。危険な山になっていきます。
今、人間はこうして、自分で危険を招いているみたいですね。

「どうしたらよいか」ですが、まずは、川と山がつながっている仕組みをみんなが知って、健康な自然環境を守ることが、人が安全に暮らしていくために大切なことだと知ることが必要だと思います。
こうした自然の本当の仕組みは、なかなか学校でも教わることはなく、大人たちの多くは知らないのです。

「どんな森にしたらよいか」ですが、たくさんの種類のたくさんの草木が、共に生きていくことができる森を育ててゆくことが大切だと思います。
人間がそれを育てるのではなくて、人間は、森が健康に育ってゆくお手伝いをするのです。
そのためには、浸み込まなくなった山にちょっと手を加えて水が浸み込みやすい場所を作って、そしてその周辺に木を植えたりすることもあります。
もう一つ大事なことは、泥にふさがれてしまった谷を掘って、水が湧きやすくすることです。昔はこうした仕事を、そこに暮らす人がみんなでやっていたのです。

いくら泥をくみだしても、また、山に木を植えて水を浸み込みやすくしても、結局は尾根を削ってしまったり、川に砂防ダムを作ったり、谷の上に土を捨てて埋めてしまったりしていたら、いつまでも山は自分の力で健康を取り戻すことができないままで、いつまでも人が手をかけていないといけなくなります。

今、多くの大人はこの自然の仕組みを知りません。学者も偉い人もみんな知らないのです。だから、間違ったことばかりしてしまいます。
みんながこうした自然の仕組みを知って、人が安心して暮らすためには自然を傷つけてはいけないと気づくことが大事だと思います。

またわからないことがあったら、いつでも電話してください。

麗花さんのような人がたくさん増えれば、地球もよくなると思います。
応援しています。頑張ってね。
2021年8月13日 高田宏臣

引用終了

 これを読んで、とてもわかりやすく納得のできる説明だと思いました。
 そしてこのまま変わらずにいると、熱海と同じような土石流が発生してしまう地域はたくさんあるでしょう。

 また、この本を読んで知ったことで感動したのが、江戸時代、東京湾で魚を捕っていた日本橋の漁師たちは、秩父の山々を守っていた三峯神社に感謝して毎年献木(苗木代を奉納)していたということです。三峯神社といえば私も一度お詣りに行ったことがありますが、東京湾からははるか遠い埼玉 秩父の山の奥の奥にあり、およそ海とは縁がなさそうに思えるところにある神社です。
 でも昔の日本人は、山が健康であれば川が健康になり、山のミネラル分が川や伏流水を通して海に供給され、いい漁場になることがわかっていたのです。
 東京湾でたくさん魚が捕れるのは、元をたどれば山を守ってくれている三峯神社のおかげと感謝して400年も献木を続けてきたという日本人・・さすが!としか思えません。まさに世界最古の国に住む、深いつながりがわかる人たちの発想、智恵だと思います。
 起こる現象は(良いことも、そうでないことも)急に起こったわけではなく、そこに至るまでの理由や原因があるものなのだと思います。そういうことを日常的に意識して、何より自然に敬意を持って過ごしたいと思いました。


2周目:「鳥インフルエンザからニワトリを想う」
3周目:「日本の独立と個人の自立」
4周目:「資本主義について思うこと」
5周目:「“野性”を目覚めさせるには・・・」
6周目:「にんげんクラブ全国大会で気づいた“つながり”」
7周目:「歪みを正す方法」
8周目:「“グレー”からの脱却」
9周目:「“コンサバ”に思う」
10周目:「“野菜”は本当に健康にいいのか?」
11周目:「ロンドン・シティで感じた意外な“気”」
12周目:「フリーエネルギーとUFOの関係」
13周目:「最近読んでショックを受けた本」
14周目:「“寄り添う”ということ」
15周目:「“五井野イズム”に触れて……」
16周目:「秘伝のお茶と新コラム」
17周目:「偶然とは思えない3つのこと」
18周目:「「本物」は野性的!?」
19周目:「日本人の「水戸黄門」幻想」
20周目:「嫉妬の時代」
21周目:「久しぶりに会った舩井幸雄」
22周目:「舩井幸雄との出会いを思い出してみました。」
23周目:「後から思い出してみるといろいろシンクロがあったこと。」
24周目:「竹中平蔵とは何者か。」
25周目:「足指から目覚める?」
26周目:「舩井SAKIGAKEフォーラムが無事終わりました。」
27周目:「私にとっての12月25日」
28周目:「“本物の健康”を追求するセミナー」
29周目:「最近ビックリした、アンチエイジングのエネルギー」
30周目:「舩井幸雄の「氣」の力を想う」
31周目:「「願い」のちから」
32周目:「本物時代の到来」
33周目:「Dr.コパさん」
34周目:「一神教vs多神教」
35周目:「空海から義経へ」
36周目:「“ミンパク”を知っていますか?」
37周目:「人生に難がやってくる意味」
38周目:「旅先でのシンクロ」
39周目:「オザケンの「うさぎ!」」
40周目:「宇宙での生活」
41周目:「最近のおススメ!2つ」
42周目:「竹田和平さんがメンターと出会われた神社」
43周目:「『君の名は。』とムー」
44周目:「卵がけごはんがごちそうになる・・・」
45周目:「「雑草魂」はもう古い?」
46周目:「銀座のはちみつ」
47周目:「ひょっこり見つかった舩井幸雄の健康情報」
48周目:「加計学園問題で揺れる今治市の可能性」
49周目:「“品格”について考えてみる。」
50周目:「“差別”から歴史を読み解く岸田秀さん」
51周目:「おすすめワイン」
52周目:「会津への旅」
53周目:「究極の“じっくりコトコト”」
54周目:「バリ島でのニュピ体験」
55周目:「「舩井フォーラム ザ・ファイナル」と生アーモンド」
56周目:「リピート必至の逸品」
57周目:「ドアーを閉めさせていただきます」
58周目:「都内でも八十八ヵ所巡り」
59周目:「健康指南 〜アーユルヴェーダより〜」
60周目:「おやつの力」
61周目:「昭和が歴史になる前に読んでおきたい本」
62周目:「わたしの太宰治」
63周目:「パリでも一風堂」
64周目:「カリスマの生き方」
65周目:「奄美大島に伝わる“ミキ”」
66周目:「お茶の力」
67周目:「みんなの力 〜「本物研究所感謝総会&“ほんもの”未来フォーラム2019」開催〜」
68周目:「二つの「こうどうかん」」
69周目:「モノを捨てよ世界へ出よう」
70周目:「自己理解と他者理解を深めるためのとっておきのツール」
71周目:「インフルエンザ対策にオススメの健康法」
72周目:「「総理」と「草履」は使い捨て」
73周目:「オーストラリアの森林火災とバンクシア」
74周目:「肺炎のウイルスから思うこと」
75周目:「いまは「本物時代」を迎えるための準備期間?」
76周目:「元号について改めて考えてみる」
77周目:「白も、黒も。みんな違って、みんないい」
78周目:「いつか、Go To ごと」
79周目:「千島学説のびっくりするウイルスの捉え方」
80周目:「やっと読めた『裏切られた三人の天皇』」
81周目:「やっと読めた『陰謀の日』(上・下)」
82周目:「伊藤詩織さん事件の真相」
83周目:「一寸の虫の五分の魂を輝かせている鈴虫寺」
84周目:「やっと読めた『風の王国』」
85周目:「私の最近の2つの愛用品」
86周目:「日本新生」
87周目:「キャベツの可能性」
88周目:「日月神示と将棋」
89周目:「目まいがするほどショックだった本、『新版 悪魔の飽食』」
90周目:「「スパイの妻」と「新版 悪魔の飽食」」
91周目:「電力契約のプランを変えてみました」
92周目:「女のアホが世界を救う!」
93周目:「舩井幸雄の手土産」
94周目:「舩井幸雄からのメッセージ」
95周目:「「数霊REIWA」と百匹目の猿現象」
96周目:「「アイカサ」を使ってみました」
97周目:「ミステリーによく合うコーヒー」
98周目:「高島康司さんや佐藤じゅん子さんのお話をぜひ聴いてください!」
99周目:「ペリー公園と東京湾フェリー」
100周目:「「幸福な死」」
101周目:「今年やりたいこと100」
102周目:「マイノリティによるアメリカ史」
103周目:「『ゴールデンカムイ』」
104周目:「無料動画、ご視聴いただきましたか?」

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