船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
「効率よく生きたいなら、生まれてすぐ死ねばいい」という言葉に「??」と感じ・・・
2024.1.30(Tue)
社名:(株)本物研究所
名前:藤原 かおり

 まず、令和6年能登半島地震の被害に遭われた方々に衷心よりお見舞い申しあげます。被災地の一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。

 寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。『舩井幸雄.com』&『舩井メールクラブ』担当の藤原かおりです。 
 去年のことになりますが、社内でひすいこたろうさんと、3月3日の「“ほんもの”未来フォーラム」にも登壇されるSHOGENさんの人気著書『今日、誰のために生きる?』(廣済堂出版)という本が紹介されました。その時、本の帯にも書かれている「効率よく生きたいなら、生まれてすぐ死ねばいい」という言葉も紹介されました。
 もちろん、効率的な生き方を勧めているわけではなく、その意味するところは「効率よく考えるのであれば、生まれてすぐ死ねばいい。人はいかに無駄な時間を楽しむのかっていうテーマで生きている。お前の心のゆとりはどこにあるんだ? お前の幸せはいったいどこにいったんだ?」というSHOGENさんがアフリカのブンジュ村という村の大人から言われた言葉に続きます。

 その伝えたい想いには共感しますが、「効率よく生きたいなら、生まれてすぐ死ねばいい」という言葉は、過激な内容だけに「そうかな?」とちょっと心の中で思っていました。

 このように軽く「そうかな?」と疑問に思っていると、意外とその答えになるようなことに出くわすものです。
 この年末年始に読んだ本の中に私のその疑問に答えてくれるような内容を見つけたので、けっこう長くなるのですが、以下に転載させていただきます。昭和57年より前に書かれた思想家の岸田秀さんの「続 ものぐさ精神分析」(中公文庫)に入っている内容ですが、現在の世界で戦争が止まない状況の理由にも通じる奥深い内容です。↓ ↓

価値について

 私は本書で書いているようなことを大学の講義でもしゃべっているのだが、受講している学生たちからときどき、「そのような考え方をしていてむなしくないのか」と質問されることがある。わたしの考えによれば、人類の歴史は幻想をもってはじまり、社会は幻想で成り立っており、恋愛も幻想なら、異性の性的魅力も幻想、親子の愛情も幻想、何でもかんでもみんな幻想というわけで、わたしの講義を聞いていると、一部の学生は、世の中が何となくむなしくなってき、この先生は本気でそう思っているのだろうか、もしそうなら、何のために生きているのだろうか、まるで人生はそのために生きるに値する価値などどこにもないみたいではないかなどと疑問に思うらしい。
 まったくその通り、わたしは本気でそう思っている。まさかふざけて、幻想だ、幻想だとわめいているわけではない。そして、そのために生きるに値する価値なんかどこにもないと思っている。そのように答えると、「それではなぜ生きているのか、なぜすぐ死なないのか」と重ねて質問してきた学生がいたが、わたしにはこの質問が意外であった。
 こういう質問が出る前提として、人間が生きているのはそのために生きるに値する何らかの価値のためであって、そのような価値がないなら死んだほうがましだという考え方があると思われる。わたしは、このような考え方こそおかしいと思うのである。いや、ただおかしいだけでなく、きわめてはた迷惑な考え方だと思う。
 そもそも人間がそのために生きるに値する価値なんかありっこない。そんなことは、ちょっと考えればわかることである。人類がこの地球上に存在しているということそれ自体が、そもそも価値のないことである。もしあるとすれば、誰が人類にそのような価値を与えたのか、どこからそれは降ってわいてきたのか。もし人類にそのような価値があるとすれば、猫にもそれはあるのか。蛆(うじ)虫にもそれはあるのか。もし人類にあって、猫や蛆虫にないとすれば、どこにその違いの根拠があるのか。それともまた、たとえば人類の価値のほうが猫の価値より高いというような、価値の高低があるのか。もしあるとすれば、その根拠は何か。要するに、価値というものも、わたしに言わせれば、例によって例のごとくいつものことながら、人間の勝手な幻想に過ぎないのである。
 しかし、そういったからとて問題は解決しないことはわかっている。問題は、人間がなぜ生きるための価値というものを欲しがるかということにある。そういうものを欲しがることが、間違いのはじまりなのである。犬畜生は生きるための価値を求めず、ただ生きているだけだが、人間はただ生きているだけでは満足できず、おのれの存在の意味を問い、その価値を求める。したがって、人は犬畜生より高等であると説く人がいるが、わたしに言わせれば、これこそ人間のたわけた思いあがりであって、人間が、犬畜生と違って、生きるための価値を求めるのは、その自然的生命を十全に生きておらず、したがって、生きることにむなしさを感じざるを得ず、そのむなしさから逃れようとして、そのような幻想にすがりつこうとしているのである。つまり、生きるための価値を求めるのは、むなしさに耐えられない人間の弱さのゆえであり、卑怯なふるまいであって、人間が犬畜生より高等である理由になるどころか、逆に、劣等であることを証明するものである。
 第一に、生きるための価値を求めるふるまいは、きわめてはた迷惑である。そのような価値は幻想に過ぎないわけだから、心の底から納得できる確かな根拠があろうはずはない。したがって、どのような価値を信じているにせよ、われわれはつねに不安である。自分一人で勝手に信じているだけならまだましだが、われわれはその不安から逃れようとして同じ価値をできるかぎり多くの人たちに信じさせようと、相手の迷惑を顧みず、伝道や折伏をしようとする。それはおのれの心の安定を得るために相手を引きずり込んで利用することだが、主観的には、傲慢というか愚かというか、まだ啓蒙されていない人に、「救い」の道を示してやっているつもりでいる。そしてまた、その不安を消し去ろうとして、われわれはともすればわれわれの信じている価値を体系化し、一元化し、絶対化したがる。不安であるがゆえにわれわれは、その価値と矛盾する別の価値を認めるゆとりを失う。一元化され、絶対化された価値体系ができあがれば、その結果は火を見るよりも明らかである。すべての存在がその価値体系にもとづいて系列化される。われわれは、すべてのものについてその価値の高低を判断し、あるものは無価値におとしめられる。価値体系というものがある以上、何らかのものが不可避的に価値の低いもの、価値のないものにされざるを得ないからである。そして、価値というものはもともと根拠のない幻想で、恣意的なのだから、価値体系は何種類でもつくることができ、対立する価値体系を信じている者同士の争いはまったく始末がわるい。一人分しかない食物を二人の人間が奪い合うという争いなら、もう一人分の食物をどこかからもってきさえすれば、簡単にやめさせることができるし、それができなくて、どちらかが勝ち、負けた方が餓死するとしても、もともと一人分の食物しかなかったのだから、二人が争わずゆずり合ったにせよ、どっちかは餓死せざるを得なかったわけで、その争いは無用に被害を増大させたわけではない。それに、こういう場合なら、勝ったほうはどうしても多かれ少なかれ罪悪感を感じるから、その罪悪感ができるかぎりそういう事態が起こらないようにする歯止めになる。それに反して、対立する価値体系を信じている者同士の争いには歯止めがない。おたがいに相手を滅ぼすことを価値あることだと信じているわけだから、ときには自分が滅びてでも相手を滅ぼそうとする。そのあげく、両者が共倒れになったり、一方が勝つとしても、負けたほうを必要以上に残酷に扱ったり、その必要もないのに徹底的にやっつけたりすることになる。そして、勝ったほうは、価値あることを成し遂げたつもりだから、勝利感、優越感をもちこそすれ、罪悪感などは感じない。
 わたしは、価値体系の対立に起因する争いがなくなれば、人類が大昔からつづけてきた争いの大部分をなくすることができる、あるいは少なくともある限度内にとどめることができる、いいかえれば、人間をせめて犬畜生並みの道徳的水準に、たとえば負けたほうの狼が降伏の身振りとして喉元をさらせばそれ以上は攻撃をやめて見逃す勝った狼のように、必要以上の殺傷はしない犬畜生並みの水準に引きあげることができる、と考えている。
 ある価値を信じているからこそ、人間は他人の生命、降伏はおろか、自分の生命、幸福さえ軽んじることになるのである。特攻隊員たちは、大日本帝国の悠久の大義とやらのために、身を鴻毛の軽きに比して死んでいった。彼らを死に駆り立てた司令官たちだって、自分もその大義の価値を信じていたからこそ、そうできたのであって、そうでなければとても恐ろしくてそんなことはできなかったであろう。アメリカ軍は、アメリカ的自由と民主主義とやらのために、敵国の非戦闘員にまで残虐の限りを尽した。ドイツ軍は、アーリア民族の純血とやらのために、六百万人のユダヤ人を殺した。こういうことはすべてある価値を信じている人にしてはじめてやれることである。
 彼らは誤った価値を信じていたから無用な被害を自他に及ぼしたのであって、正しい価値観を見出し、人びとが一致協力してその価値のために尽すようになれば、理想の世界が実現すると考える人がいるかもしれないが、言うまでもなく、これこそ誤った危険な考え方である。その正しい価値とやらのために一致協力しない人が必ず出てくる。理想の世界を実現するためには、彼らを抹殺しなければならなくなるだろう。ナチスにしても、ユダヤ人問題を最終的に解決し、恒久平和を実現するための世界最終戦争をやっているつもりであった。  (後略)(転載ここまで)

 この後、資本主義の仕組みについても言及されていて、こちらも興味深いものでした。

 一昨年から問題になっている旧統一教会についてや、ウクライナやガザでの終わらない戦争の理由にも大いに通じるように思いました。
 とはいえ、岸田さんも最後に
「しかし、われわれ人間は、犬畜生のように強靭ではないから、何らかの価値にすがらざるを得ないだろう。自分の存在に何の価値もないというむなしさは耐え難いだろう。ほかならぬわたしにしても、むなしいむなしいと言いながら、こそこそとある種の価値を心の隅で信じていて、だからこそこのような文章も書いているのである」というような内容で締めています。
 少し前から「推し活」という言葉が流行り、「推し」の文化が世代を問わず盛んですが、自分なりの価値(推し)を持って、応援したり影響を受けたり、気(価値)の合う仲間を見つけて交流したりするのは意外と健全かな、と思えました。

 そして、そんな「推し」が見つかるかもしれないイベントがこちらです。よろしければご参加ください。
↓ ↓
https://honmono-pro.com/neojapan/


2周目:「鳥インフルエンザからニワトリを想う」
3周目:「日本の独立と個人の自立」
4周目:「資本主義について思うこと」
5周目:「“野性”を目覚めさせるには・・・」
6周目:「にんげんクラブ全国大会で気づいた“つながり”」
7周目:「歪みを正す方法」
8周目:「“グレー”からの脱却」
9周目:「“コンサバ”に思う」
10周目:「“野菜”は本当に健康にいいのか?」
11周目:「ロンドン・シティで感じた意外な“気”」
12周目:「フリーエネルギーとUFOの関係」
13周目:「最近読んでショックを受けた本」
14周目:「“寄り添う”ということ」
15周目:「“五井野イズム”に触れて……」
16周目:「秘伝のお茶と新コラム」
17周目:「偶然とは思えない3つのこと」
18周目:「「本物」は野性的!?」
19周目:「日本人の「水戸黄門」幻想」
20周目:「嫉妬の時代」
21周目:「久しぶりに会った舩井幸雄」
22周目:「舩井幸雄との出会いを思い出してみました。」
23周目:「後から思い出してみるといろいろシンクロがあったこと。」
24周目:「竹中平蔵とは何者か。」
25周目:「足指から目覚める?」
26周目:「舩井SAKIGAKEフォーラムが無事終わりました。」
27周目:「私にとっての12月25日」
28周目:「“本物の健康”を追求するセミナー」
29周目:「最近ビックリした、アンチエイジングのエネルギー」
30周目:「舩井幸雄の「氣」の力を想う」
31周目:「「願い」のちから」
32周目:「本物時代の到来」
33周目:「Dr.コパさん」
34周目:「一神教vs多神教」
35周目:「空海から義経へ」
36周目:「“ミンパク”を知っていますか?」
37周目:「人生に難がやってくる意味」
38周目:「旅先でのシンクロ」
39周目:「オザケンの「うさぎ!」」
40周目:「宇宙での生活」
41周目:「最近のおススメ!2つ」
42周目:「竹田和平さんがメンターと出会われた神社」
43周目:「『君の名は。』とムー」
44周目:「卵がけごはんがごちそうになる・・・」
45周目:「「雑草魂」はもう古い?」
46周目:「銀座のはちみつ」
47周目:「ひょっこり見つかった舩井幸雄の健康情報」
48周目:「加計学園問題で揺れる今治市の可能性」
49周目:「“品格”について考えてみる。」
50周目:「“差別”から歴史を読み解く岸田秀さん」
51周目:「おすすめワイン」
52周目:「会津への旅」
53周目:「究極の“じっくりコトコト”」
54周目:「バリ島でのニュピ体験」
55周目:「「舩井フォーラム ザ・ファイナル」と生アーモンド」
56周目:「リピート必至の逸品」
57周目:「ドアーを閉めさせていただきます」
58周目:「都内でも八十八ヵ所巡り」
59周目:「健康指南 〜アーユルヴェーダより〜」
60周目:「おやつの力」
61周目:「昭和が歴史になる前に読んでおきたい本」
62周目:「わたしの太宰治」
63周目:「パリでも一風堂」
64周目:「カリスマの生き方」
65周目:「奄美大島に伝わる“ミキ”」
66周目:「お茶の力」
67周目:「みんなの力 〜「本物研究所感謝総会&“ほんもの”未来フォーラム2019」開催〜」
68周目:「二つの「こうどうかん」」
69周目:「モノを捨てよ世界へ出よう」
70周目:「自己理解と他者理解を深めるためのとっておきのツール」
71周目:「インフルエンザ対策にオススメの健康法」
72周目:「「総理」と「草履」は使い捨て」
73周目:「オーストラリアの森林火災とバンクシア」
74周目:「肺炎のウイルスから思うこと」
75周目:「いまは「本物時代」を迎えるための準備期間?」
76周目:「元号について改めて考えてみる」
77周目:「白も、黒も。みんな違って、みんないい」
78周目:「いつか、Go To ごと」
79周目:「千島学説のびっくりするウイルスの捉え方」
80周目:「やっと読めた『裏切られた三人の天皇』」
81周目:「やっと読めた『陰謀の日』(上・下)」
82周目:「伊藤詩織さん事件の真相」
83周目:「一寸の虫の五分の魂を輝かせている鈴虫寺」
84周目:「やっと読めた『風の王国』」
85周目:「私の最近の2つの愛用品」
86周目:「日本新生」
87周目:「キャベツの可能性」
88周目:「日月神示と将棋」
89周目:「目まいがするほどショックだった本、『新版 悪魔の飽食』」
90周目:「「スパイの妻」と「新版 悪魔の飽食」」
91周目:「電力契約のプランを変えてみました」
92周目:「女のアホが世界を救う!」
93周目:「舩井幸雄の手土産」
94周目:「舩井幸雄からのメッセージ」
95周目:「「数霊REIWA」と百匹目の猿現象」
96周目:「「アイカサ」を使ってみました」
97周目:「ミステリーによく合うコーヒー」
98周目:「高島康司さんや佐藤じゅん子さんのお話をぜひ聴いてください!」
99周目:「ペリー公園と東京湾フェリー」
100周目:「「幸福な死」」
101周目:「今年やりたいこと100」
102周目:「マイノリティによるアメリカ史」
103周目:「『ゴールデンカムイ』」
104周目:「無料動画、ご視聴いただきましたか?」
105周目:「熱海で土石流が起こった本当の理由」
106周目:「防衛費拡大は本当に必要か?」
107周目:「再び原発事故が起こる前に」
108周目:「川端康成」
109周目:「河合隼雄さんの『ケルト巡り』からケルトと日本のつながりを想う」
110周目:「下田でペリーの足跡をたどってみました」
111周目:「創立20年を迎えられた本物研究所、21年目からの小さな変化とは?」

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